坂の上の雲
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『坂の上の雲』(さかのうえのくも)は司馬遼太郎による長篇歴史小説。司馬の代表的作品の一つとされる。1968年(昭和43年)から1972年(昭和47年)にかけて『産経新聞』に連載された。
目次 |
[編集] 内容
当初は秋山好古、秋山真之の兄弟と、正岡子規の3人を主人公に、松山出身の彼らが明治という近代日本の勃興期をいかに生きたかを描く青春群像小説を意図したようで、前半は、師範学校を経て陸軍士官学校に学びフランス留学を経て日本騎兵を一からつくりあげてゆく好古や、松山中学から共に東京へ行く、受験勉強で一時在籍した共立学校を経て大学予備門(のちの一高)の時代、そこから一方は帝国大学文学部へ、一方は海軍兵学校へと異なった道へ進む子規、真之の姿が中心となって描かれている。この時点での重要なモチーフの一つは、羸弱な基盤しか持たない近代国家としての日本を支えるために、青年たちが自己と国家を同一視し、自ら国家の一分野を担う気概を持って各々の学問や専門的事象に取り組む明治期特有の人間像であり、好古における騎兵、真之における海軍戦術の研究、子規における短詩型文学と近代日本語による散文の改革運動などが、それぞれこうした状況の代表的事例として丁寧に描かれている。
後半、特に子規の没後は、秋山兄弟が深く関わった日露戦争の描写が中心となり、あたかも「小説日露戦争」であるかのような雰囲気になる。作者が日露戦争そのものを巨視的かつ全体的に捉えることを意図したために、後半部分では本来の主人公である秋山兄弟の他に児玉源太郎、東郷平八郎、乃木希典などの将官や各戦闘で中心的な役割を果たした師団と日本海海戦についての記述に紙幅が割かれている。
「坂の上の雲」とは、封建の世から目覚めたばかりの幼い日本国家が、そこを登り詰めてさえ行けば、やがては手が届くと思い焦がれた欧米的近代国家というものを、「坂の上にたなびく一筋の雲」に例えた切なさと憧憬をこめた題名である。
また、1979年から翌年にかけて連載された小説「ひとびとの跫音」は子規没後の正岡家が描かれており、後日談的位置づけもされている。
[編集] 評価
本作品は司馬の著作の中でも特に議論が多いことで有名で、明治という時代そのものに対する高評価、日露戦争を一種の自衛戦争であると捉えた司馬の史観、旅順攻撃を担当した乃木希典およびその配下の参謀たちが能力的に劣っていたために多大な犠牲を強いることになったとする筆者の見解などについては、未だに賛否両論がある。また藤岡信勝が自由主義史観を標榜するきっかけとなったのもこの作品であるという。
[編集] 映像化
司馬自身は本作品の映像化に対して否定的であったが、著作権を相続した夫人の許諾を得て、NHKが大河ドラマとは別枠で「21世紀スペシャル大河ドラマ」として放送の予定である。
当初は2006年度の放送を予定していたが、制作費が高額となること、2004年6月に脚本担当の野沢尚が自殺したこと、2004年から2005年にかけての一連の不祥事の発覚などにより、製作の継続が再検討された。脚本については製作スタッフが外部諮問委員会などの監修のもと完成させ、2009年秋から3年間に渡って放送を目指して製作されることとなった。
全13回・各90分の予定で中国やロシアでの大規模なロケが行われるが、製作費は、一部マスコミが1話4億円と巨額(通常の大河ドラマは1話6,000万円程度)としているが、真相は不明。
- スタッフ
- 脚本 - 野沢尚、柴田岳志、佐藤幹夫
- 脚本監修 - 池端俊策、岡崎栄
- チーフプロデューサー - 西村与志木、菅康弘、藤澤浩一
- 監修 - 山折哲雄、鳥海靖、松原正毅、宮尾登美子、松本健一、関川夏央、川口幹夫
- 演出 - 柴田岳志、佐藤幹夫、加藤拓
- プロダクションデザイナー- 山下恒彦
- キャスト
- 秋山真之:小林廉→本木雅弘
- 秋山好古:田中祥平→染谷将太→阿部寛
- 正岡子規:ささの貴斗→香川照之
- 正岡律:吉田里琴→菅野美穂
- 夏目漱石:小澤征悦
- 秋山久敬:伊東四朗
- 秋山貞:竹下景子
- 佐久間多美:松たか子
- 伊藤博文:加藤剛
- 広瀬武夫:藤本隆宏
- アリアズナ:マリーナ・アレクサンドラ
- ニコライ二世:ヒョードロフ
- 丁汝昌:ジョ・ブンリン
- 東郷平八郎:渡哲也
- 高橋是清:西田敏行
- 児玉源太郎:高橋英樹
- 藤井茂太:宮内敦士
- 八代六郎:片岡鶴太郎
- 大原観山:真実一路
- 清水則遠:菊地真之
- 井林広政:檜尾健太
- 放送予定
- 第1部 2009年秋
- 第1回 「少年の国」
- 第2回 「青雲」
- 第3回 「国家鳴動」
- 第4回 「日清開戦」
- 第5回 「留学生」
- 第2部 2010年秋
- 第6回 「日英同盟」
- 第7回 「子規、逝く」
- 第8回 「日露開戦」
- 第9回 「広瀬、死す」
- 第3部 2011年秋
- 第10回 「旅順総攻撃」
- 第11回 「二〇三高地」
- 第12回 「敵艦見ユ」
- 第13回 「日本海海戦」(最終回)
[編集] 外部リンク
[編集] 関連項目
[編集] 関連書籍
- 福井雄三 『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』明治と昭和の虚像と実像 主婦の友インフォス情報社 ISBN 4072440507
- 菊田慎典 『「坂の上の雲」の真実』 光人社 ISBN 4769811810
- 桑原嶽 『名将 乃木希典-司馬遼太郎の誤りを正す-』 中央乃木会
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1960年代 | 花の生涯 - 赤穂浪士 - 太閤記 - 源義経 - 三姉妹 - 竜馬がゆく - 天と地と |
1970年代 | 樅ノ木は残った - 春の坂道 - 新・平家物語 - 国盗り物語 - 勝海舟 - 元禄太平記 - 風と雲と虹と - 花神 - 黄金の日日 - 草燃える |
1980年代 | 獅子の時代 - おんな太閤記 - 峠の群像 - 徳川家康 - 山河燃ゆ - 春の波涛 - いのち - 独眼竜政宗 - 武田信玄 - 春日局 |
80年代・NHK新大型時代劇 | 宮本武蔵 - 真田太平記 - 武蔵坊弁慶 |
1990年代 | 翔ぶが如く - 太平記 - 信長 KING OF ZIPANGU - 琉球の風 - 炎立つ - 花の乱 - 八代将軍吉宗 - 秀吉 - 毛利元就 - 徳川慶喜 - 元禄繚乱 |
2000年代 | 葵徳川三代 - 北条時宗 - 利家とまつ〜加賀百万石物語〜 - 武蔵 MUSASHI - 新選組! - 義経 - 功名が辻 - 風林火山 - 篤姫 - 天地人 |
21世紀スペシャル大河ドラマ | 坂の上の雲 |
2010年代 | 龍馬伝 |