葵の上
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葵の上(あおいのうえ)は紫式部の物語『源氏物語』に登場する架空の人物。光源氏の最初の正妻。源氏との間に一粒種(夕霧)をもうける。この名は後世の読者がつけた便宜上の名前で、彼女が主役級の扱いを受ける「葵」帖から取られている。
[編集] 境遇
父は桐壺帝時代の左大臣、母は桐壺帝の妹の大宮。頭中将という同腹のきょうだいがいる(どちらが年上なのかは作中では不明)。
[編集] 生涯
当初東宮(のちの朱雀帝)妃にと希望されていたが、左大臣の思惑で源氏の北の方に納まる。(「桐壺」)だがこの結婚は初めからしっくり行かず、密かに藤壺を恋い慕う源氏は他の女君に現(うつつ)を抜かし、葵の上も4歳下の夫をつれなく扱う素っ気ない態度をとっていた。源氏との夫婦仲の冷淡さは、葵の上が詠んだ和歌が一首も登場しないことにも象徴されている。(「帚木」~「花宴」)
10年後(源氏22歳)にようやく懐妊、周囲は喜びに沸き、源氏も悪阻の苦しさに心細そうな葵の上の様子に珍しく愛しさを感じた。折りしも時は賀茂祭(葵祭、4月 (旧暦))、周囲に勧められるままに賀茂斎院の御禊の見物に行ったところ、図らずも家来が源氏の愛人の六条御息所の家来と車争いし、六条御息所の牛車を壊し恥をかかせてしまう。この頃から葵の上は物の怪に悩まされて臥せるようになり、床を見舞った源氏の前で彼女に取りついた御息所の生霊が姿を見せるという事件が起きた。8月の中ごろに難産の末夕霧を産み、源氏との仲も修復されたと思うもつかの間、秋の司召の夜に急に苦しんで呆気なく他界。火葬と葬儀は8月20日過ぎに行われ、源氏はそれまで妻に冷たくあたってきたことを後悔しつつ、左大臣邸にこもって喪に服した。(「葵」)