菜種油
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菜種油(なたねゆ・なたねあぶら)またはキャノーラ油(Canola oil)とは、食用油の一種である。主にアブラナから採取したものである。
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[編集] 特徴
精製した菜種油はクセがなくあっさりしているので、日本では最も人気がある。昔は心臓障害との関連が取り沙汰されたエルカ酸(別名エルシン酸)や、甲状腺障害を引き起こす含硫化合物が多く、食用に適さなかったが、品種改良を重ねて食用に適した油となった。オレイン酸が50%程度、リノール酸が25~30%程度、α-リノレン酸が6~9%程度、残りはステアリン酸や、ステアロオレイン酸、エルシン酸で構成される。また、遺伝子組換え技術を利用した品質改良により、オレイン酸比率が60%を越える高オレイン種も開発され、カナダを中心に盛んに生産されている。
[編集] 用途
サラダ油はドレッシングなどの原材料に使われる。白絞油は油揚げの揚げ油としてよく使われる他、天ぷらや炒め物用の油として使われる。
鹿児島県の一部では原料菜種を焙煎して搾油し、植物灰で処理したものを「赤湯(あかゆ)」と称し、食用に用いている。精製していないため、独特の青臭さと焙煎臭が強いものである。
かつては非精製油は行灯などの光源燃料としても使用された。一部、使い古した菜種油はバスの燃料など、新たな燃料として利用されている。その為、近年では菜種油が高騰している。
[編集] 採取場所
主に西岸海洋性気候のインドやカナダ、サンフランシスコなどで採取される。
[編集] 呼称について
製油会社によっては、菜種油を「キャノーラ油」「カノーラ油」と称して販売しているところもあるが、これはいわゆる和製英語である。英語ではRape (seed) oilと呼ぶ。Rapeが「強姦」の英名と同音同綴であることから忌諱され、このような呼称が発明されたものと思われる。ちなみにキャノーラは菜種の一品種名である。