苫小牧市白鳥アリーナ
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苫小牧市白鳥アリーナ(とまこまいしはくちょうありーな)は、北海道苫小牧市に位置する、全天候型の体育館および各種多目的施設。アリーナ部分ではスケートやバドミントンなど屋内競技を行うことが可能なスペースが設けられているほか、屋内トレーニング室や会議室などの施設を使用することが可能である。所在地は北海道苫小牧市若草町2丁目4番1号。
[編集] 概要
苫小牧市白鳥アリーナは1994年9月1日に建設工事が着工、1996年10月11日に竣工した。建設工事が完了したこの年は、苫小牧市のスポーツ都市宣言より30周年を迎える時期と重なっていた。建物は国際的な競技大会にも対応できる水準で建てられている。開館式にはセレモニーも行われ、苫小牧フィギュアスケーティングクラブに所属する人物や地元でアイスホッケーなどスポーツ活動に勤しむ小学生らがテープカットを行うなどした。開設した当初、「国際親善アイスホッケー大会」も行われており、伊藤みどりの氷上パフォーマンスが行われたのち、王子製紙アイスホッケーチームがロシアのチームと一戦を交えた。
建物は苫小牧市の鳥であるハクチョウの羽ばたきを意識してアーチ状の屋根が作られたほか、外観はスケートの動きをモチーフにデザインされている。また、アイスホッケーやアイススケートを楽しむことができるよう、30メートル×60メートルの広さを誇る体育館が設けられている。スポーツ競技が行われた際を見越して選手や審判の控室、ロッカー室やトレーニング室も同時に設けられた。競技を見下ろすことのできる2階の観客席は3015席の固定席が設置されており、立ち見席もおよそ1000席用意され、暖房器具が完備されている。その他、各会議室や資料展示コーナー、ティーラウンジや身障者トイレ・エレベーターも設置されており、一般に広く利用できるよう設備が整えられている。
そのほか、建物は総工費がおよそ51億円かかっており、建築面積8480.81平方メートル、敷地面積26198.49平方メートルを誇る。1階部6986.87平方メートルの床面積に対し、2階部は2911.50平方メートルである。また、126台の車が駐車できる屋外駐車スペースが設けられており、展示や車椅子のスペースを設置するなどして高齢者や身障者へ向けてのバリアフリー配慮もなされている。
アリーナ建物外の敷地には多くのオブジェが設置された。苫小牧市一帯の地方新聞、苫小牧民報を発行する苫小牧民報社は、コルテン材という鉄鋼の一種で制作されたモニュメント、「ニケ」を市へ寄贈した。この作品は、札幌市に在住の彫刻家、国松明日香により制作されたもので、高さ4.5メートル・重量3.5トンに及ぶ。これはギリシャ神話の女神ニケをモチーフに作られたものであり、アリーナの完成前から制作を依頼していた。こげ茶色のモニュメントには「プレパラン塗装」という塗装の手法が用いられているという。ほかには栃木県出身の彫刻家、飯田善國作のモニュメント「水の火炎」や、環境造形作家の西田明未による作品「石が飛ぶ」など、屋内外に数々の美術作品がある。
1997年6月5日には「市制施行50周年コンサート in 白鳥アリーナ・チャレンジ公演」が開催。これは苫小牧市が1948年に市となってからおよそ50年を記念して行われた音楽イベントで、市内の高校が主催するマーチングバンド、樽前ばやし、とまこまいサンバなど、各種団体による様々な音楽演奏およびパフォーマンスが行われた。それまでアリーナ内で大規模な音楽的イベントが行われたことはなく、こうした規模の大きいイベントが催された背景には建物内の音響や設備を確認する意図もあった。
開設当時よりアイススケート・フィギュアスケートやアイスホッケーなどのスポーツイベントが開催されている。特に各学校その他団体対抗の大会が行われることが多く、NHK杯争奪戦、ライオンズクラブ杯争奪戦をはじめとする大会が行われている。スケートリンクとして使用されるのは7月から3月までで、白鳥アリーナ製氷機「ザンボニー」がリンクを作り出す際に稼働する。4月中旬から6月中旬は軽スポーツ期間へと移行され、リンクは卓球とバドミントンがプレイ可能な体育館へと変わる。