自虐の詩
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自虐の詩(じぎゃくのうた)は業田良家による4コマ漫画作品、およびこれを原作とした日本映画。週刊宝石に1985年1月4・11日合併号~1990年8月2日号にかけて連載。単行本は光文社コミックスから全5冊。それらを「幸江とイサオ」シリーズで再構成したハードカバー版が一冊。さらにそれを上下巻にした竹書房文庫版がある。2007年には、「幸江とイサオ」シリーズをすべて収録した、愛蔵版上下巻が発売された。
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注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 概要
男性サラリーマン向け週刊誌「週刊宝石」のショートコミック枠に掲載。当初は複数のシリーズがあるオムニバス作品だったが、人気のあった「幸江とイサオ」シリーズに一本化された。この項では特に「イサオと幸江」シリーズを「自虐の詩」として記す。 シリーズ初期は、怒るとすぐにちゃぶ台をひっくり返したり、金をせびるばかりのイサオとそれに従う幸江といった構図のギャグが中心だったが、中期以降幸江の子供時代の回想が増えてくるとしだいにストーリー4コマとなっていき、幸江の小学生編・中学生編を経て最終回に突入していくドラマチックな展開は「泣ける4コマ」として定番になっている。
[編集] 登場人物
[編集] 現代編
- 森田幸江
- 地方(映画版では気仙沼出身)から上京してきて、今は内縁の夫、イサオと暮らす。基本的にはイサオは働かないので、幸江があさひ屋(定食屋)で働くなどして家計を支えている。他の人からどんな目で見られようと本人は幸せらしい。
- 葉山イサオ
- 働かず、幸江から金をせびってはギャンブルや酒に費やす。いわゆるヒモ。ただし、女性が接客するスナックなどの飲み屋には行っても、浮気だけはしないようだ。気に食わないことがあると、ちゃぶ台をひっくり返す。
- 森田家康
- 幸江の父。イサオに幸江との入籍を勧めるなど、幸江の幸せを願っている。しかし、金をせびったり、ちゃぶ台をひっくりかえしたりと、やっていることはイサオとたいして変わらない。あさひ屋のマスターの気持ちを知っていてたびたびタカる。
- あさひ屋のマスター
- 幸江が働く、定食屋の主人。幸江に惚れている。しばし、幸江にアプローチするが、袖にされる。
- 隣のおばちゃん
- 幸江とイサオが住むアパートの一室の隣に住む、初老の女性。夫婦喧嘩の仲裁役や、幸江の愚痴、過去話などの聞き役や相談相手になる。町内会長に惚れている。苗字は、「福本」というらしい。
- 町内会長
- 怪しげなマルチ商法にはまっているらしく、怪しげな商品を「隣のおばちゃん」に勧める。
- タローちゃん
- イサオの子分的存在で、よくギャンブルを一緒にしたり酒を飲んでいる。
- 熊本さん
- 幸江の中学生時代の同級生にして、真の友。結婚し一人娘をもうけた後、夫の転勤で上京、幸江と再会する。
[編集] 小学生編
- 森田幸江
- 幼くして母が家を出てしまい、父もろくに働かない人物であったため、愛情と金銭が共に欠乏した生活を送る。朝・夕の新聞配達、牛乳配達で家計を支える。仕事で忙しいため、友達も少ない。当初は生活のために食料などを万引きをしていたが、やがて友達の気を引くためのお菓子や玩具も万引きし、常習犯となる。イジメの対象で、ついたアダ名は「ドラキュラ」と「タランチュラ」。
- 森田家康
- 幸江の父。自らは働かず、幼い幸江に働かせて呑む・打つ・買うに明け暮れ、借金を重ねる。しかし、幸江が友人の話を聞いて海に行きたがると、秋にもかかわらず海水浴に連れて行ってやるなど、子供思いの面も一応ある。
- かおるちゃん
- 数少ない幸江の友達の一人。一般家庭の子であるため、あまり幸江の立場を理解していない。幸江が万引きを重ねるようになる頃、親に諭されて幸江から離れていく。
- 借金取りのおじさん
- 幸江の父・家康が借金しているヤミ金「真田金融」の社員。ヤクザ。取立ては暴力的で容赦ないが、幸江には優しい。
- 先生
- 幸江のクラスの担任。
- メガネのおまわりさん
- 幸江が万引きで捕まったとき、叱らずに、むしろ激怒した家康から幸江をかばい、家庭環境を改めるようにと注意する。時々遠くから幸江を見守る。
[編集] 中学生編
- 森田幸江
- 新聞・牛乳の配達に加え、造花の内職をして家計を支える。相変わらず何をやっても失敗と不運の日々を送る。小学生の時とは変わり、情けない父親への態度があからさまに冷たくなり、時には激しい怒りをぶつけることもある。家出した母親への憎しみと疑問を抱き始めるのもこの頃からである。学校では熊本さんだけが友達。貧しい2人は周囲から浮き、揃って男子学生のイジメの対象となる。クラスで一番モテる前田イサオに惚れている。一時期、憧れの藤沢さんと行動を共にし、熊本さんを手酷く裏切ってしまう。しかし、父・家康の起こした事件で周囲から孤立したことを期に、熊本さんと劇的な仲直りを果たし、終生の友情を誓い合う。「そこでしか幸せになれない」と熊本さんの勧めもあり卒業後、単身上京する。
- 森田家康
- 幸江の父。相変わらず働きもせず、堕落した生活を送る。ピンクサロンの風俗嬢・美和子に金持ちだと嘘をついて交際、結婚する。入籍後、その嘘を埋め合わせるために銀行強盗を働き、すぐに逮捕される。
- 熊本さん
- 幸江の真の友。幸江を凌ぐほどの極貧家庭に育つ。母のいない家庭で、病気で伏せる父と幼い弟妹たちのため、一人たくましく奮闘する。あまりの貧しさ故に、たびたび学校の備品や鯉、ニワトリなどを盗む。見た目も言動も粗野だが、どんなに不幸な境遇でも卑屈なところは決して見せず、逆に卑屈になってばかりいる幸江をさりげなく励ます。幸江に裏切られ学校中から孤立した時も、堂々と胸を張る誇り高い人物。幸江が窮地に陥った時、幸江の裏切りを許して今まで以上に固い友情を誓い合う。幸江に上京を勧める。
- 藤沢さん
- 父親が「藤沢医院」を営む医師で、裕福な家庭に育つ。成績優秀・スポーツ万能で温厚・博愛の美少女。クラス中の男子の憧れの的だけでなく教師や女子生徒からの人望も非常に厚い。そのあまりの完璧さに、幸江は激しく憧れ、畏敬する(同時に嫉妬もする)。一時期、幸江を友人のグループに引き入れるが(熊本さんについては「嫌い」と明言している)、幸江の父が銀行強盗で逮捕されると途端に絶交した。前田イサオに片想いするが、破れる。
- ハゲの先生
- 幸江のクラス担任であり、英語の先生。えこひいきで、藤沢さんを可愛がり、熊本さんを虐げる。しかしその度に熊本さんの反撃を喰らう。ハゲている。
- 前田イサオ
- 野球部の美少年で、クラス中の女子の憧れの的。同じくクラスで一番モテる藤沢さんに告白されるが交際を断る。実は幸江に惚れている。
- 美和子(家康の恋人)
- ピンクサロン「チェリー」で働く風俗嬢。幸江の父・家康と出会い、金持ちだと信じて結婚する。
- メガネのおまわりさん
- 幸江が幼い頃からたびたび見守ってあげたおまわりさん。幸江の父・家康が銀行強盗で逮捕され、警察署に入れられたとき、面会に来た幸江が失意の涙を流すのを、ここでも無言で見守る。
[編集] 映画
自虐の詩 | |
監督 | 堤幸彦 |
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製作総指揮 | 迫本淳一 北川淳一(エクゼクティブ) |
製作 | 松本輝起 遠谷信幸 高橋一平 久松猛朗 島本雄二 渡辺純一 平林彰 長坂信人 山崎浩一 喜多埜裕明 大下勝朗 |
脚本 | 関えり香 里中静流 |
出演者 | 中谷美紀 阿部寛 遠藤憲一 カルーセル麻紀 西田敏行 |
音楽 | 澤野弘之 |
撮影 | 唐沢悟 |
編集 | 伊藤伸之 |
配給 | 松竹 |
公開 | 2007年10月27日 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
[編集] キャスト
- 森田幸江:中谷美紀・岡珠希(中学生時代)
- 葉山イサオ:阿部寛
- 森田家康:西田敏行
- あさひ屋マスター:遠藤憲一
- 熊本さん:アジャ・コング・丸岡知恵(中学生時代)
- 美和子:名取裕子
- 森田秋子:佐田真由美
- 組長:竜雷太
- 福本千春:カルーセル麻紀
- 訪問販売の男:斉木しげる
- 難波警部:ミスターちん
- 船場巡査:金児憲史
- 喫茶店主:Mr.オクレ
- ポン引き:島田洋八
- 新聞販売店店主:蛭子能収
- 中年男:松尾スズキ
- あさひ屋の客:業田良家(原作者)
[編集] スタッフ
- 配給:松竹
- 製作総指揮:迫本淳一
- 製作:松本輝起、遠谷信幸、高橋一平、久松猛朗、島本雄二、渡辺純一、平林彰、長坂信人、山崎浩一、喜多埜裕明、大下勝朗
- エクゼクティブ・プロデューサー:北川淳一
- 原作:業田良家『自虐の詩』
- 脚本:関えり香
- プロデューサー:植田博樹、石田雄治、中沢智
- アソシエイトプロデューサー:今川朋美
- 撮影:唐沢悟
- 美術:相馬直樹
- 照明:木村匡博
- 録音:鴇田満男
- 編集:伊藤伸行
- 音楽:澤野弘之
- 装飾:田中宏
- 映像調整:吉岡辰沖
- スクリプター:奥平綾子
- 助監督:白石達也
- 制作担当:山崎朝也
- スタイリスト:市井まゆ
- 衣裳:富樫理英
- ヘアメイク:細川晶子
- 音楽プロデューサー:志田博英
- 音響効果:小川広美
- VFXスーパーバイザー:野崎宏二
- アクションコーディネーター:諸鍛冶裕太
- 監督:堤幸彦
- 制作プロダクション:オフィスクレッシェンド
- 製作:「自虐の詩」フィルムパートナーズ(SDP、松竹、ジェネオンエンタテインメント、竹書房、衛星劇場、電通、スカパー・ウェルシンク、日本出版販売、オフィスクレッシェンド、パルコ、Yahoo! JAPAN、エイベックス・エンタテインメント)
[編集] テーマソング
- 主題歌:安藤裕子「海原の月」(avex entertainment/cutting edge)
- 挿入歌:関山藍果「I love you」(『自虐の詩 オリジナル・サウンドトラック』収録、ユニバーサルミュージック)