素浪人 月影兵庫
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素浪人 月影兵庫(すろうにん つきかげひょうご)とは、南條範夫原作の時代劇小説。もしくはそれを映像化したTVドラマ。1965年10月19日~1966年4月12日(全26話)、1967年1月7日~1968年12月28日(全104話)の2期に分けて放映された。
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[編集] 概要
剣の達人・素浪人月影兵庫と、曲がったことが大嫌いの旅ガラス・焼津の半次が、気ままな旅を続ける中で、弱きを助け、強きをくじくヤジキタ道中記の傑作。昭和40年(1965年)放映開始、昭和43年(1968年)には最高視聴率35.8%を記録した。
2007年、近衛十四郎の息子にあたる松方弘樹が40年ぶりに素浪人 月影兵庫をリメイクすることで再び注目された。
2007年に東映チャンネルで再放送が行われていたが、第2シリーズ(ニューマスター版)は原版の紛失や損傷があるエピソードが多いため、一部が欠番扱いとなっていた。
第2シリーズのコメディー路線への転換により、原作者からクレームが付いてしまった(後述)。またシリーズのサブタイトルはすべて「~いた」で統一されている。
[編集] 登場人物
- 月影兵庫(演 近衛十四郎)
諸国を放浪する豪放磊落な素浪人。普段は鼻毛を抜いたり胸をかきむしるなど行儀が悪い行動をする三枚目だが、ひとたび剣を抜けば鬼よりも怖い。酒が大好き。第2シリーズでは猫を怖がるキャラクターになり、それまでのシリアスな剣豪の役柄で知られた近衛のイメージを変えるものだった。半次を「半の字」などと呼ぶが、時折「キ印」と呼ぶ。
- 焼津の半次(演 品川隆二)
曲がったことが大嫌いなお調子者の渡世人。そのため茶屋で散らかった座布団をきちんと並べるシーンがある。キセルや刀がまっすぐに作られているのもその性分の為。第2シリーズでは蜘蛛が苦手で、蜘蛛を見たり激昂したりすると発狂したように叫びだす、笑い方が極めて下品、といった今までの品川の二枚目俳優のイメージを大きく払拭したキャラクターになった。普段は兵庫を「ダンナ」と呼ぶが、口論になると「ダンナ野郎」と呼ぶ。
[編集] サブタイトル
[編集] 第1シリーズ
放送:NET(現テレビ朝日)系 毎週火曜日 20時~20時56分 制作:NET、東映
話 | サブタイトル | 放送日 | 話 | サブタイトル | 放送日 |
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1 | 浅間は怒っていた | 1965.10.19 | 14 | 友の情けは遠かった | 1966.1.18 |
2 | 風は知っていた | 1965.10.26 | 15 | 法華太鼓が響いていた | 1966.1.25 |
3 | 白い雲が呼んでいた | 1965.11.2 | 16 | 明日が待っていた | 1966.2.1 |
4 | 黒い霧が流れていた | 1965.11.9 | 17 | 真赤な花が咲いていた | 1966.2.8 |
5 | 乙女心はふるえていた | 1965.11.16 | 18 | 浜の千鳥が鳴いていた | 1966.2.15 |
6 | 宿場は泣いていた | 1965.11.23 | 19 | 見知らぬ国のことだった | 1966.2.22 |
7 | 赤鞘だけが知っていた | 1965.11.30 | 20 | くるみを鳴らしていた | 1966.3.1 |
8 | 宝の山が招いていた | 1965.12.7 | 21 | お城に危機が迫っていた | 1966.3.8 |
9 | 月は見ていた | 1965.12.14 | 22 | 野にうぐいすが鳴いていた | 1966.3.15 |
10 | 狂った刃におびえていた | 1965.12.21 | 23 | 女は夜明けを待っていた | 1966.3.22 |
11 | 疑惑の笛が鳴っていた | 1965.12.28 | 24 | 子守唄が剣を呼んでいた | 1966.3.29 |
12 | 赤い渦が捲いていた | 1966.1.4 | 25 | 怒り虫は笑っていた | 1966.4.5 |
13 | 女は聞いていた | 1966.1.11 | 26 | みんな夢を持っていた | 1966.4.12 |
[編集] 第2シリーズ
- ※は東映チャンネル放送時に欠番だったエピソード
[編集] スタッフ
- 企画:上月信二、田辺嘉昭、高田正雄
- 脚本:結束信二、松村正温、森田新、小滝光郎
- 撮影:脇武夫、伊藤正敏、玉木照芳、森常次、羽田辰治
- 照明:谷川忠雄、松井薫、佐々木政一、
- 録音:小金丸輝貴、三船良男
- 音楽:阿部皓哉
- 美術:中島哲二、寺島孝男、奈宮聖二
- 編集:岩本光司
- 衣装:石倉元一、池田勝彦、上野徳三郎、小林勝
- 美粧:林三郎、浜崎敬三、上田光治、井筒俊彦
- 結髪:河野節子、浜崎喜美江
- 装飾:道畑真二、高橋清彦、菅田浩、紙山昭一
- 助監督:岡本静夫、福井司、古市真也
- 殺陣:谷明憲、谷俊夫、土井淳之祐
- 記録:森村幸子、桧垣久恵、中田悠紀子、東紀子
- 進行主任:丸本晃、中久保昇三、喜多利三、秋田実
- 語り:玉川良一、牟田悌三
- 監督:佐々木康、小野登、林伸憲
- 制作:NET、東映京都撮影所
[編集] 最終回
非常に人気を博した本作だが、話が進むにつれコメディー色の強い作品になってしまい、原作者の南條範夫からクレームがついたことにより放送終了が決定した。
[編集] 内容
兵庫は実は松平伊豆守の甥であることが判明し、家督を継ぐために江戸に戻ることになる。
[編集] その後
次回作「素浪人 花山大吉」第1話「世の中上には上がいた」では、兵庫と別れ一人で旅を続けていた半次の前に、兵庫とそっくりな浪人花山大吉が現れる。そして前作に引き続いてのヤジキタ珍道中が始まったのであった。
[編集] その他
- 秋本治原作の漫画こちら葛飾区亀有公園前派出所69巻「新たなる旅立ちの巻」にて、上記の番組変遷劇についての記述がある。
[編集] 関連項目
- 月影兵庫あばれ旅
[編集] 前後番組の変遷
NET系 火曜20時台 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
ぼんたん家族
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素浪人 月影兵庫(第1シリーズ)
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われら九人の戦鬼
(金曜20:00より移動) |
NET系 土曜20時台 | ||
素浪人 月影兵庫(第2シリーズ)
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東映チャンネル 名作ドラマアワー(時代劇枠) | ||
新選組血風録(1998年)
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素浪人 月影兵庫(第1シリーズ)
→素浪人 月影兵庫(第2シリーズ)(ニューマスター版) |
大坂城の女(ニューマスター版)
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