立ち飲み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
立ち飲み(たちのみ)とは、立ったまま飲み物を飲むこと。一般的に、酒を立って飲むことをさす。 立ったまま食べ物を食べることを立ち食いとよぶ。
ここでは客が立ったまま飲食する店「立ち飲み屋」について記す。
目次 |
[編集] 歴史
もともと日本においては、酒屋の店頭で小銭を払って酒を立ち飲みするのは、江戸時代から昭和初期に至るまで、酒類の最も一般的な消費形態であった。
それが1943年(昭和18年)太平洋戦争下の日本で酒類が配給制となることで途絶した。戦後、闇市などで非合法に復活したが、合法的に再生したのは1949年(昭和24年))の酒類販売自由化によってである。[1]
高度成長期に一時すたれかけたが、昭和へのレトロ趣味と、経済的に多くの銘柄が味わえる利点などから、2004年(平成16年)以降都市部で、アンテナショップをかねて再び増加しつつある。
[編集] 酒屋併設型
代表的な立ち飲みの店は、酒の小売店としての酒屋に併設された立ち飲みスペースのことである。酒とおつまみ(乾き物や缶詰、フライ)などを購入し、店とは別のスペースで飲む形態となる(その酒屋で使われていない一角やカウンターの隅で、店で買った酒・つまみを飲食できる場所があるということである)。
飲み屋の入り口は、たいていは酒屋としての入り口とは別に設けているが、これは料理や酒を同一店内で提供しないことで、許認可が必要となる飲食店の形態を採らないための工夫である。立ち飲みスペースがある酒店は、大都市のドヤ街や繁華街、公営競技場周辺など、様々な形で労働者が集中する一帯に多い。顧客は日雇いの肉体労働者が多く、このため農村地や郊外型の店では殆ど見ることができなかった。1960年代にピークを迎えたが、単純肉体労働者の激減により減少の一途をたどった。2000年頃から現代的な感覚を取り入れた店も登場しつつあるが、懐古趣味的な要素が強い。
北九州地方では、酒屋で立ち飲みすることを「角打ち」と言っている。ひところに比べるとその数は激減しているが、まだ健在である。
[編集] 小規模飲食店
いわゆる「スタンド居酒屋」とか「立ち飲み屋」と呼ばれる店である。多くは大都市のガード下などに分布しており、場所によっては駅の構内にも作られている。
店の構造は、効率的に利用するための使い方を前提としており、カウンターと簡単な厨房を設置しているだけである。店によっては壁にもカウンターを設けている場合もある。客はカウンターで注文を取り、その場で飲食する。代金も、商品と交換で、その場で支払う場合が多い(キャッシュ・オン・デリバリー)が、あらかじめ食券を買っておいて、それと交換する店舗もあったり、普通の居酒屋と同じで伝票に控えておいて最後に支払いをする店舗もあり、さまざまである。
飲み物はビールと旧二級酒、ウイスキー、焼酎などがある。最近は酒の品揃えに力を入れているところも出てきている。つまみはおでんや焼き物、乾き物、冷奴などの簡単な物が多いが、最近では結構手間をかけた物を置いているところもある。顧客は会社帰りのサラリーマンが多く、殆どが「ちょっと一杯引っかけて」的な利用が多く、客の回転も早い。店も薄利多売の所が多く、値段も安い。
最近では、女性も気軽に入れるように工夫された店も出来ている。また、酒の種類やつまみも種々そろえるようになってきた。さらに、洋酒立ち飲みも増えてきた。
[編集] ダークダックス
大阪では客に半身の姿勢をとって、できるだけ詰めて飲食するよう店から要請される。これも店内スペースの効率化であるが、いならぶ客がそろって半身に構えるスタイルをダークダックスと、愛好者同士で揶揄しあう。