積層電池
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積層電池(せきそうでんち)とは、高電圧の出力を実現するために、複数の電池を組み合わせて作られた電池。真空管ラジオのB電源(67.5ボルトや45ボルト)や写真撮影用のフラッシュ、ストロボで使用されていた。
積層電池は、小型で高電圧を得るために、内部で複数の電池が直列に接続されている。しかし、各内部電池は非常に小型のものになり、容量は小さなものになる。
現在では、006P型乾電池以外の積層電池が、一般の電気店、カメラ店の店頭にあることは稀だが、一部のメーカー(松下電池やエバレディなど)は限定的に製造を継続しており、取り寄せることが可能なものもある。
また、これらの積層電池は一般の乾電池を組み合わせたものも多いため、そうであれば分解してそれらを交換することもできる。例えば45ボルトのように9で割り切れれば006P型乾電池が使用されている可能性が高い。
その006P型乾電池は、ソニーが「ワイシャツの胸ポケットに入るラジオ」(実際はわずかに大きくて入らない)として販売したTR-63むけとして電池メーカーに開発を依頼したもの。これも、より小さな1.5ボルトのマンガン電池またはアルカリ電池を6個組み合わせた積層電池である。ラジオ用としては使われなくなったが、現在でも多くの玩具や電気製品などで使用されている。その前にラジオ用として作られていた4AA型乾電池は単3形乾電池4本を組み合わせたもので、小型ラジオ用としてはあまりに大きかった。
ちなみに006P型とは電池の形状を表す呼び名であり、形式番号は別にあるが、内部の構造(単6型乾電池6本積層タイプの6R61と角型一体積層タイプの6F22)、アルカリ006P(6LR61/6LF22)とマンガン006P(6R61/6F22)で異なるため、006Pと総称するのが一般的である。
ほかにも特定の製品の登場によって生まれた積層電池は多くあり、たとえばHM-4N積層水銀電池はヤシカのエレクトロ35型カメラのために開発された。
現在の積層電池はほとんどの場合、形式番号からその中に積層されている電池の数とその種類が分かる。たとえば「4LR44」は、LR44アルカリボタン電池が4つ、「2CR1/3N」は、CR1/3Nリチウムシリンダー電池が2つ内蔵されていることが分かる。前述のアルカリ006P電池の形式番号「6LF22」も、内部に6つのLF22アルカリ角型電池が内蔵されているという意味になる。しかしLF22という電池は006Pに内蔵される専用のもので、最初から6個合体した状態で製造されており、単体の製品は無い。
広義には、カメラに用いるリチウム電池2CR5やCR2P、ニカド電池・ニッケル水素電池やリチウム二次電池の高電圧のもの、自動車用バッテリーなども積層電池である。