無線局
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無線局(むせんきょく)とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体のこと。但し、受信のみを目的とするものを含まない、と電波法に規定されている。
無線局には、アマチュア局、携帯電話・市町村防災行政無線などの基地局他多くの種類がある。
その中で、放送をする無線局、つまり、放送局、放送試験局、放送衛星局、放送試験衛星局及び放送を行う実用化試験局(電気通信業務を行うことを目的とするものを除く。)を総称して「放送局」という。
日本では開設手続きが受理され、開設が許可されると、無線局免許状が総務省(総合通信局)から交付される。
[編集] 日本での無線局の種別の一覧
(電波法施行規則4条により定義される)
- アマチュア局
- 固定局 - TVや電話の中継用回線など、固定地点間の電気通信業務を行うための無線局
- 放送局 - 一般公衆によつて直接受信されるための無線電話、テレビジヨン、データ伝送又はフアクシミリによる無線通信業務(放送試験業務を除く。)を行なう無線局(電気通信業務を行うことを目的とするものを除く。)
- 放送試験局 - 放送及びその受信の進歩発達に必要な試験、研究又は調査のため試験的に行なう放送業務を行なう無線局(電気通信業務を行うことを目的とするものを除く。)
- 海岸局 - 漁協に設置される漁業無線設備など、船舶局、遭難自動通報局と通信をする陸上に開設する移動しない無線局
- 航空局 - 飛行場に設置された航空管制設備や航空会社内に設置された連絡無線設備(カンパニー無線)など、航空機局との通信を行う陸上の移動しない無線局
- 基地局 - 携帯電話、PHSの基地局設備やタクシーの無線指令設備など、陸上移動局との通信を行うため陸上に開設する移動しない無線局
- 携帯基地局 - 携帯局と通信を行うため陸上に開設する移動しない無線局(携帯電話の基地局をさすわけではない)
- 無線呼出局 - ポケットベルの送信設備など、無線呼出業務を行う無線局
- 陸上移動中継局 - 携帯電話のマイクロレピーターやMCA基地局など、陸上移動局同士、陸上移動局と基地局間の通信を中継する移動しない無線局
- 船舶局 - 船舶の無線局のうち、無線設備が遭難自動通報設備又はレーダーのみのもの以外の無線局
- 特定船舶局 - 船舶局のうち、小型船舶で空中線電力が27M帯は1W以下、VHF帯では5W以下の総務大臣が別に告示する無線局(電波法施行規則での規定ではない)
- 遭難自動通報局 - 船舶や航空機用の非常(SOS)用無線ブイといった遭難自動通報設備のみを使用して無線通信業務を行なう無線局
- 船上通信局 - 水先案内用やタグボート用の15chマリンVHF通信設備など、船上通信設備のみを使用して無線通信業務を行う移動する無線局
- 航空機局 - 航空機の無線局(人工衛星局の中継によつてのみ無線通信を行うものを除く。)のうち、無線設備がレーダーのみのもの以外の無線局。
- 陸上移動局 - 携帯電話、PHS(免許名義人は電気通信事業者)、一般業務無線、第三者無線(免許名義人は使用者)などの端末側で、陸上を移動中またはその特定しない地点に停止中運用する無線局(範囲は陸上に限定される)
- 携帯局 - スカイレジャー無線など、陸上、海上若しくは上空の一若しくは二以上にわたり携帯して移動中又はその特定しない地点に停止中運用する無線局(船上通信局及び陸上移動局を除く。)
- 移動局 - 船舶局、遭難自動通報局、船上通信局、航空機局、陸上移動局、携帯局その他移動中又は特定しない地点に停止中運用する無線局をまとめてさす
- 無線航行陸上局 - 飛行場に設置される誘導ビーコン設備など、移動しない無線航行業務を行う無線局
- 無線航行移動局 - 船舶のレーダー設備、航空機のATCトランスポンダなど、移動する無線航行業務を行う無線局。
- 無線標定陸上局 - AVMポストサインや電波ドップラ侵入検知器など、無線標定業務を行なう移動しない無線局
- 無線標定移動局 - ラジオブイやその制御用の無線設備など、無線標定業務を行なう移動する無線局
- 無線標識局 - 電波灯台など、移動局に対して電波を発射し、その電波発射の位置からの方向又は方位をその移動局に決定させることができるための無線航行業務を行う無線局
- 地球局 - 衛星通信、衛星放送のための地上側アップリンク設備やフライアウェイと呼ばれる可搬型SNG装置、車載型のSNG中継車、VSAT設備など、宇宙局と通信を行ない、又は受動衛星その他の宇宙にある物体を利用して通信を行なうため、地表又は地球の大気圏の主要部分に開設する無線局
- 海岸地球局 - 衛星船舶電話の地上網と接続するための通信設備など、電気通信業務を行うことを目的として陸上に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により船舶地球局と無線通信を行う無線局
- 航空地球局 - 陸上に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により航空機地球局と無線通信を行う無線局
- 携帯基地地球局 - 陸上用衛星電話の地上網と接続するための通信設備など、人工衛星局の中継により携帯移動地球局と通信を行うため陸上に開設する無線局
- 船舶地球局 - 船舶内に設置された衛星船舶電話の端末設備など、電気通信業務を行うことを目的として船舶に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局
- 航空機地球局 - 航空機内に設置された衛星航空電話の端末設備やMTSATなどによる衛星航空管制設備など、航空機に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継によつてのみ無線通信を行う無線局
- 携帯移動地球局 - イリジウムといった衛星携帯電話など、自動車その他陸上を移動するものに開設し、又は陸上、海上若しくは上空の一若しくは二以上にわたり携帯して使用するために開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局(船舶地球局及び航空機地球局を除く。)
- 宇宙局 - 宇宙船に設置する無線設備など、地球の大気圏の主要部分の外にある物体に開設する無線局をいう。
- 人工衛星局 -CSやモバイル放送用の衛星など、人工衛星の無線局
- 放送衛星局 - BSなど、一般公衆によって直接受信されるための無線電話、テレビジョン、データ伝送又はファクシミリによる無線通信業務を行う人工衛星局(電気通信業務を行うことを目的とするもの及び放送試験衛星局を除く。)
- 放送試験衛星局 - 放送及びその受信の進歩発達に必要な試験、研究又は調査のため、一般公衆によつて直接受信されるための無線電話、テレビジョン、データ伝送又はフアクシミリによる無線通信業務を試験的に行う人工衛星局(電気通信業務を行うことを目的とするものを除く。)
- 非常局 - 非常通信業務のみを行うことを目的として開設する無線局
- 実験局 - 実用化試験局終了後のFM東海など、科学又は技術の発達のための実験を行うために開設する無線局であつて、実用に供しない無線局
- 実用化試験局 - 発足当初のFM東海など、当該無線通信業務を実用に移す目的で試験的に開設する無線局
- 簡易無線局 - パーソナル無線、市民ラジオ(CB)、簡易業務無線など、簡易な無線通信業務であつてアマチユア業務に該当しない無線局
- 構内無線局 - 構内データ伝送や移動体識別用のRFIDタグなど、一の構内において行われる無線通信業務を行う無線局
- 気象援助局 - ラジオゾンデ、気象用ラジオロボットなど、水象を含む気象上の観測及び調査のための無線通信業務を行う無線局
- 標準周波数局 - JJYなど、科学、技術その他のために利用されることを目的として、一般的に受信されるように、明示された高い精度の特定の周波数の電波の発射を行なう無線通信業務を行う無線局
- 特別業務の局 - VICS電波ビーコンや1620kHzでの道路交通情報、規正業務局(不法無線局・違法運用のアマチュア局・パーソナル無線局に運用自粛を呼びかけるガイダンス局など)、対北放送局「しおかぜ」など、特別業務を行う無線局
次の3つは免許を要しない無線局[1](免許不要局):
- 小電力無線局 - ワイヤレスマイク、ラジオマイク、無線LAN、PHS端末、小電力コードレス電話、特定小電力無線などの、ISMバンド所属の局など総務省が定めた周波数を使用する、空中線電力が0.01ワット以下である技術基準適合証明を受けた無線機の、無線局のうち電波法施行規則第六条4項に定める無線局
- 市民ラジオの無線局 - 27MHz帯、空中線電力が0.5ワット以下の技術基準適合証明を受けた無線設備を使用する無線局
- 微弱無線局 - 簡易なワイヤレスマイク、ラジコン、玩具のトランシーバー
番外:
- 不法無線局 - 無線機を免許を受けずに使用しているもの。免許を受けている無線局が免許外の行為(目的外運用、周波数や電波形式の逸脱など)をした場合は「違法無線局」となる。