炭素繊維
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炭素繊維(たんそせんい Carbon fiber)とは、アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して作った繊維。アクリル繊維を使った炭素繊維はPAN(Polyacrylonitrile)、ピッチを使った炭素繊維はPITCHと区分される。
最先端の素材として知名度が高いことから、たとえ副次的な要素であったとしても炭素繊維が使われている商品には「カーボン(Carbon)」と表記されていることが多い。
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[編集] 歴史
1961年 通商産業省工業技術院大阪工業試験所(現産業技術総合研究所)の進藤昭男博士がPAN系炭素繊維を発明した。また、1967年に、世界で初めて、金属よりも丈夫な炭素繊維の製法を実現した。進藤博士は多くの企業に技術移転をしたが、1970年代以降、優れた強度を持つ特性から強化プラスチックの補強材や複合材料の素材として使われ始め、1980年代以降、製造コストの低減や加工方法の進歩が見られ、ロケットや航空機などの大型輸送機器からテニスラケットや釣り竿、白杖など身近な道具にまで応用の幅を広げた。2006年炭素繊維を機体の大部分に利用する世界初の旅客機開発のため、東レがボーイングと7000億円の炭素繊維を供給する大型の契約を締結し、注目を集めた。
[編集] 特徴
耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、電気伝導性、耐引張力に優れ、アルミニウムなどの軽い金属に比べてもさらに軽量である。短所としては難加工性、製造コストの高さ、リサイクルの難しさが挙げられる。 また趣味の分野においては、他の素材にみられない質感や機能から、炭素繊維を特別視する消費者も少なからず存在する。
[編集] メーカー
世界市場に占める日本企業製品のシェアは非常に高い。
- PITCH系メーカー
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- 三菱化学産資
- クレハ
- 大阪ガスケミカル
- 日本グラファイトファイバー
[編集] 関連項目
- 繊維強化プラスチック・・・炭素繊維を使用した「炭素繊維強化プラスチック(Carbon-Fiber Reinforced Plastic)」がある。
- カーボンナノチューブ
- 酸化アルミニウム