澤地久枝
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澤地 久枝(さわち ひさえ、1930年(昭和5年)9月3日 - )は、日本のノンフィクション作家。
東京生まれ。幼少時に父親の仕事の関係(軍相手の慰安所つまり売春宿の経営)から旧満州へ移住、1945年吉林で敗戦を迎え、1年間の難民生活の後に日本に引き揚げた。
1949年に中央公論社に入社し、働きながら早稲田大学第二文学部に学ぶ。1963年、『婦人公論』編集次長を最後に退社。その後は五味川純平の資料助手として『戦争と人間』の脚注を担当。1972年の『妻たちの二・二六事件』以後本格的に執筆を開始し、『密約』『烙印の女たち』『あなたに似たひと』『昭和・遠い日近いひと』『わが人生の案内人』『道づれは好奇心』などを執筆。『火はわが胸中にあり』で第5回日本ノンフィクション賞、『昭和史のおんな』で第41回文芸春秋読者賞を受賞。『滄海よ眠れ』『記録 ミッドウェー海戦』で第34回菊池寛賞を受賞した。この2作品ではミッドウェー海戦の日米双方の全戦没者を特定するという前例のない作業に取り組み、完成させている。また、『滄海よ眠れ』執筆の副産物として、現存しないといわれていたミッドウェー海戦の日本海軍による戦闘詳報(「第一航空艦隊戦闘詳報」)の写しが残っていることを確認し、半藤一利の助力も得てこの海戦の経過に関する議論(いわゆる「運命の5分間」やその遠因となった兵装転換指示)に一石を投じることになった。
『雪はよごれていた』では二・二六事件の軍法会議の裁判官であった匂坂春平の残した裁判記録をもとに、事件をめぐる陸軍内部の駆け引きを描き出している。
近年は「九条の会」の発起人の一人となり護憲派の立場で講演をするなど、政治的な活動が目立っている。
[編集] 著書
- 妻たちの二・二六事件 中央公論社 1972 のち文庫
- 密約 外務省機密漏洩事件 中央公論社 1974 のち文庫、岩波現代文庫
- 暗い暦 二・二六事件以後と武藤章 エルム 1975 のち文春文庫
- あなたに似たひと 11人の女の履歴書 文芸春秋 1977 のち文庫
- 烙印の女たち 講談社 1977 のち文庫、文春文庫
- 火はわが胸中にあり 忘れられた近衛兵士の叛乱-竹橋事件 角川書店 1978 のち文庫、文春文庫
- 愛が裁かれるとき 文芸春秋 1979 のち文庫
- ぬくもりのある旅 文芸春秋 1980 のち文庫
- 昭和史のおんな 文芸春秋 1980 のち文庫、続編と合本して完本
- 石川節子 愛の永遠を信じたく候 講談社 1981 のち文庫、文春文庫
- おとなになる旅 ポプラ社 1981 のち文庫、新潮文庫
- 忘れられたものの暦 新潮社 1982 のち文庫
- もうひとつの満洲 文芸春秋 1982 のち文庫
- 昭和史のおんな 続 文芸春秋 1983 のち文庫
- 滄海よ眠れ ミッドウェー海戦の生と死 1-6 毎日新聞社 1984-85 のち文春文庫
- 別れの余韻 文芸春秋 1984 のち文庫
- 心だより 講談社 1985 のち文庫
- 手のなかの暦 文芸春秋 1985 のち文庫
- 記録ミッドウェー海戦 文芸春秋 1986
- 私の青春日めくり 講談社 1986 のち文庫
- ひたむきに生きる 講談社現代新書 1986
- 絲綢の道はるか 安野光雅共著 文芸春秋 1987
- 雪はよごれていた 昭和史の謎二・二六事件最後の秘録 日本放送出版協会 1988
- 語りつぐべきこと 対話集 岩波書店 1988 のち同時代ライブラリー
- 私のシベリア物語 新潮社 1988 のち文庫
- いのちの重さ 声なき民の昭和史 岩波ブックレット 1989
- 遊色 過ぎにし愛の終章 文芸春秋 1989 のち文庫
- 一九四五年の少女 私の「昭和」 文芸春秋 1989 のち文庫
- ベラウの生と死 講談社 1990 のち文庫
- 「わたし」としての私 大和書房 1991
- 昭和を生きて 本島等対話 岩波ブックレット 1991
- 家族の横顔 講談社 1991 のち文庫
- 苦い蜜 わたしの人生地図 文芸春秋 1991 のち文庫
- 試された女たち 講談社 1992 のち文庫
- 家族の樹 ミッドウェー海戦終章 文芸春秋 1992 のち文庫
- トルストイの涙 北御門二郎対話 エミール社 1992
- 画家の妻たち 文芸春秋 1993
- 男ありて 志村喬の世界 文芸春秋 1994
- 時のほとりで 講談社 1994 のち文庫
- 一千日の嵐 講談社 1995
- 一人になった繭 文芸春秋 1995 のち文庫
- わたしが生きた「昭和」 岩波書店 1995 のち現代文庫
- 心の海へ 講談社 1996
- 昭和・遠い日近いひと 文芸春秋 1997 のち文庫
- ボルガいのちの旅 日本放送出版会 1997 のちNHKライブラリー
- 六十六の暦 講談社 1998 のち文庫
- 私のかかげる小さな旗 講談社 2000 のち文庫
- 琉球布紀行 新潮社 2000 のち文庫
- 自決こころの法廷 日本放送出版協会 2001 のちNHKライブラリー
- 愛しい旅がたみ 日本放送出版協会 2002
- わが人生の案内人 文春新書 2002
- 道づれは好奇心 講談社 2002 のち文庫
- 好太郎と節子 宿縁のふたり 日本放送出版協会 2005
- 地図のない旅 主婦の友社 2005
- 発信する声 かもがわ出版 2007
- 家計簿の中の昭和 文藝春秋 2007