法輪功
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
法輪功(ファルンゴン、ピンイン:Fǎlún Gōng)は、気功の一つ。日本では「ほうりんこう」と呼ばれているが、日本法輪大法学会は原語の発音に基づいて「ファルンゴン」と読むよう要請している。
目次 |
[編集] 概説
法輪功の創始者は吉林省出身の李洪志。 彼によると、法輪功とは佛家と道家の思想を根底に併せ持つ先史文化に根ざした気功で、「真・善・忍」という宇宙の特性に基づいて心性を修め、人間の身体を健康にするとともに根本から改善、向上させる修煉を行う功法であるという。法輪功の主な指導書は『転法輪』(ヅァンファルン)であり、同書をはじめとする李洪志の著作の中で法輪功はよく法輪大法(ファルンダーファ、ピンイン:Fǎlún Dàfǎ)とも称されている。 それらの著書や講演で李氏が最も強調していることは心性の向上である。つまり、宇宙の最高特性である「真・善・忍」に基づき常に自分自身を律し、すべての執着心を捨て去ることを学習者に求めている。
また法輪功は以下のように宣伝している。
- 法輪功は世界80カ国以上に広まっている。法輪功はすべてボランティアの手によって普及活動が行われている。その教えに基づいて修煉を行うことで内面の向上や病気治療に顕著な効果がある。
- この功法はもともと秘伝の形をとっていて、一般には今まで公開されていなかったが、1992年より公開され、その教えによる精神的・肉体的効果が口伝えに急速に広まったことで、中国をはじめ全世界で1億人以上に学習者が増え、現在も増え続けている。
なお、中国共産党は1999年に法輪功を邪教(いわゆるカルト)と断定し、中国および外国において法輪功学習者を弾圧し続けている。また、中国政府は96年にアメリカへ移住した李洪志の行動を、摘発回避のための逃走・亡命であろうとコメント(コメント日時不明)。
日本では2004年8月27日、日本法輪大法学会が東京都においてNPO法人格を取得。法輪功を行う人たち(彼らの間では互いを「学習者」と呼んでいる)が、秋葉原駅前(電気街口より中央通へ出る道、ラジオストア前の歩道上)や東京入国管理局前などにて「大紀元時報」「九評共産党」を配布し“共産党からの脱党”を呼びかけている。
[編集] 宗教性
- 1999年以降、中国共産党は法輪功を邪教と断定している。
- 法輪功自身は気功団体であると主張している。
- 法輪功修行者は法輪功を宗教とは認識しておらず、また、関連サイトでも宗教性を否定している。
- 日本では、宗教団体は取得不可とされている特定非営利活動法人格で活動している。
[編集] 中国共産党による法輪功への迫害
中国共産党が1999年7月に公に法輪功への弾圧を始めて以来、法輪功および法輪功の学習者に対して行われている迫害に関する様々な証言が出ている。このような証言は、YouTubeなどの有名動画サイトにもアップロードされており、容易に探し出すことができる。
中国でもっとも著名な、ノーベル平和賞の候補者にもなったことのある人権派弁護士、高智晟は三度にわたる共産党指導部への公開状のなかで、法輪功学習者への迫害を一刻も早くやめるよう呼びかけている。その後、高の弁護士事務所は閉鎖に追い込まれた。2007年9月22日に警察に拉致されて以降、いまだに消息不明である。
2007年10月、安徽省政治協商常務委員汪兆鈞が中国共産党指導部へ政治改革を求める公開状を発表。4万字に上るその公開状の中で、天安門事件被害者の名誉回復とともに直ちに法輪功への迫害を停止するよう当局に求めている。
[編集] 中国共産党による投獄・拷問・不審な獄中死
2003年の時点で法輪功修行者の投獄は数万人に及ぶとされ、2002年末までに約500人もの修行者が収容中に死亡したとされている。法輪功への迫害に対し抗議した人々は不公正な裁判により刑を受けており、拘束された法輪功修行者は拷問と虐待を受ける恐れがあるとアムネスティ・インターナショナルにより調査報告されている。
看守からスタンガンによる電撃と殴打を受ける等の虐待・拷問が多数報告されており、不審な獄中死も多い。法輪功修行者への具体的な拷問・虐待、受刑者の不審な死に関しては『現代中国拷問報告』[1]に詳しい。
[編集] 中国政府との関係
中国共産党とは、1999年に中国共産党が公に弾圧を始めた後は激しい対立関係にあり、そのことから互いに非難の応酬を重ねている。
[編集] 歴史
- 1992年 - 中国で活動を開始
- 1996年 - 創始者・李洪志、ニューヨークへ移住
- 1998年 - 李洪志、グリーンカードを取得
- 1999年 - 7月22日 中央人民政府、法輪功を全面禁止、李洪志を国際手配(29日) 駐在公館を通じてアメリカに身柄引き渡しを要求
- 2001年 - 1月23日 北京・天安門広場での焼身自殺事件の模様を中国中央テレビが報道、自殺を図った者は法輪功学習者で、そのうち一人が死亡と報じた。また後日放送された番組「焦点訪談」で、焼身自殺で全身に負った重度の火傷を治療中の、全身に包帯をきつく巻かれた負傷者の姿が放映された。法輪功側は、これら一連の報道の矛盾点、疑問点を指摘し、焼身自殺は中国共産党による捏造報道であると主張。
- 2002年 - “言論統制打破”を名目に放送衛星シノサットへの不法割り込みを度々行い、問題視される
- 2004年 - 8月27日 日本法輪大法学会、NPOとして認可
- 2005年 - 4月12日 日本法輪大法学会ほか、法輪功への迫害に対し、江沢民と中国大使館を大阪地裁で提訴、日本は世界で15カ国目の訴え(本号スタブ)
- 2006年 - 3月9日、瀋陽市近郊の蘇家屯地区に、法輪功学習者を殺して臓器を取り出すという不法臓器摘出行為を行う収容所があると大紀元が報道。7月6日、カナダのキルガー、マタス両氏が中国で不法臓器摘出が実施されている可能性が極めて高いとの独自報告を発表したとAFPが報道。8月11日、国連は不法臓器摘出行為についての申し立て書を中国政府に送付。11月28日、中国政府は蘇家屯地区などをNHKなどの報道機関に取材させたことなどを挙げた上で、国連に対して申し立ては事実無根と主張[1]。
- 2006年 - 4月20日、米国・ワシントンのホワイトハウスで行われた胡錦濤・中国国家主席のスピーチの席上、報道陣席にいた法輪功メンバーの王文怡が法輪功への迫害停止を求め、胡主席に向かって大声で抗議。
- 2007年 - 5月1日 シノサットへ再度不法に割り込み
[編集] 脚注
- ^ "Report of the Special Rapporteur on torture and other cruel, inhuman or degrading treatment or punishment, Manfred Nowak" (A/HRC/4/33/Add.1, 国連人権理事会)