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池袋ウエストゲートパーク - Wikipedia

池袋ウエストゲートパーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

文学
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池袋ウエストゲートパーク』(いけぶくろウエストゲートパーク)、通称『I.W.G.P.』は、石田衣良小説シリーズ。第36回オール讀物推理小説新人賞受賞。後にテレビドラマコミック化された。

目次

[編集] 概要

池袋西口公園に屯している果物屋の息子・“池袋のトラブルシューター”真島 誠(マコト)を主人公とする小説短編集。

シリーズは『池袋ウエストゲートパーク』、『少年計数機』、『骨音』、『電子の星』、『反自殺クラブ』、『灰色のピーターパン』、『Gボーイズ冬戦争』。そして本編に登場する「サル」が主人公(マコトではない)と共に活躍する外伝ものに『赤(ルージュ)・黒(ノワール)』がある。番外編としては、こちら葛飾区亀有公園前派出所30周年記念企画の一環としての小説版に、「池袋⇔亀有エクスプレス」が収録されている。

文体は1人称小説であり、主人公マコトの回想録の様相を呈している(外伝のみ、3人称小説)。ほぼ全作品において、冒頭で謎めいた述懐が行われた後、事件の展開を追って物語が語られていく。その舞台は主に池袋のストリートを中心に展開され、登場人物はメイン・サブ共々多くがいわゆる「負け組」や「サイレント・マイノリティ」であり、彼らの視点を通じて、陽の当たらない裏側が語られている。

[編集] 書籍情報

  • 『池袋ウエストゲートパーク』
「池袋ウエストゲートパーク」(「オール讀物」1997年11月号)
「エキサイタブルボーイ」(「オール讀物」1998年4月号)
「オアシスの恋人」(「オール讀物」1998年7月号)
「サンシャイン通り内戦」(書き下ろし)
文藝春秋、1998年) ISBN 4-16-317990-9
文春文庫、2001年) ISBN 4-16-717403-0
  • 『少年計数機 池袋ウエストゲートパークII
「妖精の庭」(「オール讀物」1999年9月号)
「少年計算機」(「オール讀物」1999年12月号)
「銀十字」(「オール讀物」2000年4月号)
「水の中なかの目」(書き下ろし)
(文藝春秋、2000年) ISBN 4-16-319280-8
(文春文庫、2002年) ISBN 4-16-717406-5
  • 『骨音 池袋ウエストゲートパークIII
「骨音」(「オール讀物」2001年11月号)
「西一番街テイクアウト」(「オール讀物」2002年2月号)
「キミドリの神様」(「オール讀物」2002年5月号)
「西口ミッドサマー狂乱」(書き下ろし)
(文藝春秋、2002年) ISBN 4-16-321350-3
(文春文庫、2004年) ISBN 4-16-717408-1
  • 『電子の星 池袋ウエストゲートパークIV
「東口ラーメンライン」(「オール讀物」2002年12月号)
「ワルツ・フォー・ベビー」(「オール讀物」2003年1月号)
「黒いフードの夜」(「オール讀物」2003年4月号)
「電子の星」(「オール讀物」2003年7月号)
(文藝春秋、2003年) ISBN 4-16-322390-8
(文春文庫、2005年) ISBN 4-16-717409-X
  • 『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークV
「スカウトマン・ブルース」(「オール讀物」2003年10月号)
「伝説の星」(「オール讀物」2004年2月号)
「死に至る玩具」(「オール讀物」2004年4月号)
「反自殺クラブ」(「オール讀物」2004年8月号)
(文藝春秋、2005年) ISBN 4-16-323770-4
(文春文庫、2007年) ISBN 978-4-16-717412-5
  • 『灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークVI
(文藝春秋、2006年) ISBN 4-16-325030-1
  • 『Gボーイズ冬戦争 池袋ウエストゲートパークVII
(文藝春秋、2007年) ISBN 978-4-16-325910-9

[編集] 外伝

  • 『赤(ルージュ)・黒(ノワール) 池袋ウエストゲートパーク外伝
初出は「週刊アサヒ芸能」2000年5月18日号 - 12月28日号
徳間書店、2001年) ISBN 4-19-861308-7
徳間文庫、2004年) ISBN 4-19-892013-3
(文春文庫、2006年) ISBN 4-16-717410-3

[編集] アンソロジー

  • 『小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所』
大沢在昌、石田衣良、今野敏、柴田よしき、京極夏彦逢坂剛東野圭吾、によるアンソロジー集。
集英社、2007年) ISBN 978-4-08-780466-9

[編集] 登場人物

真島誠
通称「池袋のトラブルシューター」。血液型O型。身長は180近く。地元・池袋工業高校を卒業後に「プータロー」(フリーター)となり、実家の果物屋を手伝って小遣いを稼ぎながら、池袋西口公園=池袋ウエストゲートパークで過ごしている。のちに地方紙のコラムニストも勤めるようになる。池袋では名の知れた存在で、彼の家にはしばしば困難な依頼が持ち込まれるが、持ち前の好奇心と人の良さから首を突っ込む羽目になり破天荒な方法で解決する。元は有名な不良だったが、性格は母親の教育の賜物か意志が強い正義漢であり、また作品序盤に関わった事件がきっかけで、クラシック音楽鑑賞や読書などの文化的な趣味にも目覚める。愛車は店の仕入れ用のダットサン。
安藤崇(タカシ)
池袋を勢力下に置くカラーギャング集団「G-Boys」の「キング」。血液型A型。身長は175cm。色白で細身。天才的な反射神経と運動神経に裏打ちされた喧嘩の実力を持ち、自身のカリスマ性でストリートの不良少年少女たちをまとめ上げる。警察ですら目をむくほどの動員力を持ち、その存在は裏社会でも侮れないものとなっている。マコトとは工業高校の時の同級生で親友。高校時代からマコトの資質に注目し、何度か勧誘もしている。「凍えるほどにクールないい男」で、彼と一緒にいる時の誠は完全に女性の視界から消えてしまうほど。しかし、時として残忍とも呼べる“粛清”を平然と行う姿から、彼を尊敬する者は多くとも、親しい友人と呼べる人物は少ない。
おふくろ
マコトの母。池袋西口公園商店街のはずれにある果物屋「真島フルーツ」を営み、女手ひとつでマコトを育ててきた。マコトにとっては目の上のタンコブであり、全く頭の上がらない強者。チンピラの脅し程度では眉一つ動かす事は無い。マコト曰く「最終兵器」。たまにその視線は「冷酷な殺人者」のものに変わることすらも。原作において彼女の名前は不明(一度もフルネーム・ファーストネームで呼ばれた描写が存在しない)。
吉岡
池袋署生活安全部少年課の平刑事。池袋に古くから勤務しており、池袋に詳しい。マコトとは彼が13歳で補導された時以来の付き合い。背が低い。毛髪の薄さが悩みの種。始終頭を掻いてはフケを飛ばしまくっている。年齢は『小説版こち亀』において両津勘吉が「警察学校の同期」と発言している為、39歳頃と考えられる。マコトによく偽名としてその名を騙られている可哀想な人物。
横山礼一郎
池袋署の署長。東京大学文 I 卒のキャリア警視正。マコトが子供の頃からマコトとは面識があり、彼にとっては「ご近所のお兄さん」だった。好青年だがマコトが舌を巻く程の切れ者。ただし、署では現場サイドに押され気味で、実権はあまりない。そのため犯罪学の論文執筆に勤しんでいる。住所は目白の高級マンション。初登場は第一巻第四話「サンシャイン通り内戦」。
斉藤富士夫(サル)
池袋を仕切る暴力団「羽沢組」の構成員。血液型O型。組長の娘である「姫」こと天野真央の付き人だった。マコトの中学の同級生。昔はいじめられっ子だった。身長155cmの小柄な体躯だが非常に闘争心が強く、冷静な判断力も持ち合わせている。行方不明の「姫」の捜索をマコトに依頼した。その一件以来マコトに恩義を感じ、情報の提供などで便宜を図っている。初登場は第一巻第二話。「外伝 赤・黒」より後は本部長代行・若頭に出世している。
波多野秀樹(ラジオ)
電波マニア。血液型A型。盗聴・盗撮・映像編集その他諸々電波絡みの達人であり、その特技でマコトを手助けしている。目までかかるマッシュルームカットが特徴。コンビニで働いている。マコトの「あきれたボーイズ」のメンバー。初登場は第一巻第三話「オアシスの恋人」。江古田在住。
ゼロワン
凄腕のハッカー。ファミレスを根城に年がら年中ハッキングし続けている情報屋。ガス漏れのような声が特徴。頭髪はスキンヘッドだが、いつ「メッセージ」が送られてきてもいいようにと、頭部に二本の細長い金属片をインプランティングしている。
氷高善美
関東賛和会羽沢組の財務担当。氷高組組長。サルの直属の上司。表向きには「株式会社氷高クリエイティブ」の社長。羽沢組組長の後継者候補の一人。見た目は怜悧な銀行員といった雰囲気の人物であり、それに違わぬ頭脳派。「外伝 赤・黒」での小峰・サルの活躍により、関東賛和会の後継者としての地位を確固たるものにした。
羽沢辰樹
関東賛和会羽沢組組長。初登場は第一巻第二話。鷲のような鋭い鼻筋が特徴。
森正弘(マサ)
マコトの相棒。血液型B型。大学生。いつもマコトとつるんで池袋西口公園で遊んでいた。「ストラングラー事件」解決後は大学のサークルに入り、マコトと会う機会が減ることとなった。第一巻第一話に登場。
水野俊司(シュン)
初登場は第一巻第一話。血液型B型。イラストが得意な専門学校生。マコトやマサとは本屋でフランスのアニメ画家の画集を万引きしている所を見つかり、カツアゲ目的で喫茶店に連れ込まれるもその不思議なノリ故に解放されたが、それ以降勝手にマコトの周りに居座るようになり、友人となった。アニメオタク。マコトがラジオと知り合うきっかけを作った。同じく「あきれたボーイズ」。
砂岡賢治(ケンジ)
初登場は第一巻第三話。シュンのバイト友達にしてコンピュータの師匠。「人はよさそうだが、1本足りないような笑顔」の持ち主。「あきれたボーイズ」としてマコトに協力。
森永和範
初登場は第一巻第二話「エキサイタブルボーイ」。マコトの中学の同級生。学年1番の秀才だったが、重度の引きこもりとなる。しかしマコトの1週間に渡る訪問と会話により、復帰を果たした。「あきれたボーイズ」のメンツ。張り込みに関してはプロ顔負けの忍耐力を有する。
ツインタワー1号・2号
初登場は第一巻第二話「エキサイタブルボーイ」。Gボーイズメンバーの双子の兄弟。本名は小倉保(1号)と実(2号)。タカシのボディガード。アダ名の由来は身長(保は196cm、実は195cm)。その体躯に似合わぬ俊敏さを有する。お互い以外の人間をなかなか信用しない。4巻収録の『東口ラーメンライン』ではGボーイズを卒業し、ラーメン屋「七生」(読み仮名は「なお」。7月生まれのため、命名)を開店した。父は洋食屋のコック。形見は使い込まれた牛刀。
渋沢光子(ヒカル)
第一巻第一話「池袋ウエストゲートパーク」に登場する少女。マコトがクラシックにのめり込むきっかけとなった。マコトに好意を抱く。典型的なお嬢様だが、裏では未成年売春の手配師としての顔も持っている。父親による性的虐待の被害者だが、幼稚園時代から常態化しているため被害者意識が乏しく、むしろ父親を慕い、母親に嫌悪感を抱いている。
山井武士(ドーベルマン山井)
池袋で最も切れている男。血液型AB型。凶暴で孤独。高校時代にドーベルマンと決闘して以来、「ドーベルマン殺しの山井」と呼ばれていた。500戦499勝1敗と言われる程の猛者(唯一の敗北相手はタカシ)。少年時代にアル中の父親から母親諸共虐待(暴力)を受けていた。そのため似た境遇の持ち主であるヒカルに親近感を抱き、彼女の犯罪に手を貸すこととなる。
橋本千秋
ファッションヘルスで働くマコトの中学時代の同級生。イラン人で不法滞在者の恋人がいる。「キスだけは本当に好きな人としかしない」という信念を持つ。
カシーフ
千秋の恋人。本名カシーフ・ハリアット・サレー・ビン・アブドゥラ・アジーズ・アル・モバラク。イランから出稼ぎに来た敬虔なイスラム教徒。不法滞在の建設労働者だがかなりのインテリ。最終的には本国に強制送還されたが、千秋との仲が壊れることは無かった。
尾崎京一
第一巻第四話「サンシャイン通り内戦」に登場。血液型B型。西口公園のダンサーたちのヘッドとして現われ、わずかな間に「Red Angels(ドラマ版ではBlack Angels)」を築き上げた男。その後、Gボーイズとの「内戦」に突入、池袋のストリートに大混乱を齎した。本拠地は東口公園。長い金髪が特徴。タカシ同様のカリスマの持ち主だが、親しみ易いタイプ。シカゴのバレエスクール出身。交通事故で両親を、自殺で弟を、肺炎で祖母を失い、孤独を噛み締めた事から、自分同様の孤独な子供たちを纏め上げる事を決意した。「内戦」終結後はレッドエンジェルスをGボーイズに半ば統合させ、自身はダンスの世界に戻った。
松井加奈
第一巻第四話に登場。血液型O型。マコトが初めて本気で恋をした相手。フリーのビデオジャーナリストで池袋の「内戦」を取材するためマコトのもとに現れた。20代後半で中性的な顔立ち。身長は180近くで筋肉質。福島出身。不妊症治療が元で一度離婚している。結局マコトとは別れる事となったが、彼にストリートファッション誌の編集者を紹介、コラムニストとしての第一歩を導くこととなった。
内田明日香
第一巻第四話に登場。当時のマコトの彼女。18歳。サロン焼けと真っ白なグロスの唇が特徴。マコトをモノにするべく様々な策を弄する。「妊娠」を打ち明け一時はマコトに結婚を覚悟させた。
矢島あずみ
「七生」のアルバイトにして看板娘。4巻収録の『東口ラーメンライン』に登場。20歳前後。短髪・小柄・痩身。明るく腰が低い。他人が美味しいものを食べる所を見るのが好き。その純朴さでツインタワー兄弟を虜にした。幼少期に実母・義父から受けた虐待(ネグレクト)がもとで、摂食障害に苦しんでいる。
小峰渉
「外伝 赤・黒」の主人公。売れない映像制作者。横浜出身の33歳。眼で見た景色を写真を撮るように記憶する能力の持ち主。賭博に溺れた挙句に多額の負債を抱え、狂言強盗に加担する。しかし、仲間の裏切りによって儲けを全て奪われた上、被害カジノの元締めたる氷高組に捉まり、「奴隷」契約を強制される。彼が解放されるには、儲けの全てを取り戻す他に道は無く、監視役のサルと共に、当ての無い捜査を始めることとなった。

[編集] ドラマ

宮藤官九郎の脚本により、2000年4月14日から同年6月23日にかけて、TBSテレビでテレビドラマ化された。後にスペシャル版として「スープの回」(原作:骨音)も放送された。一部のキャラクター設定が大きく異なる等、小説との相違点が多い。

詳細は池袋ウエストゲートパーク (テレビドラマ)を参照

[編集] コミック

1 ISBN 4-253-14715-1、2 ISBN 4-253-14716-X、3 ISBN 4-253-14717-8、4 ISBN 4-253-14718-6
単行本は2006年7月14日発行 ISBN 4-06-363699-2

[編集] CD

  • 『池袋ウエストゲートパーク Classic Edition』(ワーナーミュージック・ジャパン、2005年) WPCS-11850
作中、度々に登場するクラシック音楽の中から、原作者が全面監修して選んだコンピレーション・アルバム。曲目解説も石田氏が執筆。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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