正木亮
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正木 亮（まさき あきら、1892年3月25日 - 1971年8月22日）は、広島県佐伯郡玖波村（現・大竹市玖波）出身の元検察官、法学者、弁護士。
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[編集] 来歴・人物
旧制三次中学校（現・三次高等学校）から第二高等学校を経て1918年、東京帝国大学法科（ドイツ法）法律科卒。 大学在学中から牧野英一の教育刑論やトルストイの影響を受け、監獄の改善に強い関心を持つ。1916年1月1日、巣鴨監獄を参観。音羽の護国寺から田圃や雑木林を通り、はるか彼方に見える高い壁のそこに至るまでには一軒の農家さえなかったという。囚人の食物の粗末さ、戒護取調べのキツさ、房内の異臭、鉄鎖、鉄釱の惨さに自らの一生を監獄改良に捧ぐべきだと誓う。それから各地の監獄を巡歴。将来監獄局に入ることを目的として大学卒業後、司法官試補となり監獄行政を担当。同年ワイマール憲法発布。1921年待望の監獄局入り。時の司法省監獄局長・山岡萬之助に思いのまま監獄局研究を許される。1921年、1922年と2回志願囚として刑務所で収容者と起居を共にし得難い体験を積む。また小河磁次郎、谷田三郎らの指導を受け監獄学を体系化、その実施のためその後の生涯を捧げた。東大、中大の法学部講師も務め、1935年大審院検事となってからも様々な行刑法規の立案に寄与した。前橋地方裁判所検事正などを経て1941年、司法省行刑局長。同年刑務協会（現・矯正協会）会長。1943年、司法省刑政局長。この年石川島で受刑者による全国造船奉仕隊の鋲打大会を行い、逃亡者なく、わが国初めての完全開放行刑をした。1945年、広島控訴院（現・広島高等裁判所）検事長時代に原爆に遭う。自身は土中から這い出し一命を取りとめるが次女を失った。
終戦後1946年、名古屋控訴院（現・名古屋高等裁判所）検事長に赴任するが公職追放により退官。 弁護士となりその後は矯正協会会長などを務め、矯正保護分野で活躍した。1947年、いずれも駆け出しの田中角栄と小佐野賢治の顧問弁護士だった関係で二人を引き合わせたとされる。1955年、「わが国の死刑存置論は欺まん的な刑法理論の上にある」と「刑罰と社会改良の会」を設立。死刑廃止論を社会運動として展開し、初めて死刑廃止問題が正面から議論される切っ掛けを作った。これは1956年、羽仁五郎らによる国会への死刑廃止法案提出にも繋がった。その後も死刑廃止運動の中心的な人物として活躍。「生命は全地球よりも重し」の言葉は有名。この他、第二東京弁護士会会長、法制審議会委員、公安審査委員会委員長、矯正保護審議会会長、憲法調査会委員などを歴任し晩年の17年間は神奈川大学教授も務めた。
[編集] 主な著書
- 『刑事政策汎論』（司法省行刑局、1922年）
- 『行刑資料彙類』（司法省行刑局、1922年）
- 『行刑上の諸問題』（有斐閣、1928年）
- 『監獄法概論』（清水書店、1930年）
- 『行刑の時事問題』（刑務協会、1931年）
- 『監獄法概論』（有斐閣、1931年）
- 『行刑の変遷を探ねて』（巌翠堂書店、1933年）
- 『刑事政策汎論』（有斐閣、1938年）
- 『新監獄学』（有斐閣、1941年）
- 『行刑法概論』（有斐閣、1946年）
- 『志願囚－囚人と共に三十年』（朝日新聞社、1946年）
- 『死刑』（河出書房、1956年）
- 『死刑－消えゆく最後の野蛮』（日本評論社、1964年）
- 『獄窓の中の人権』（朝日新聞社、1968年）
- 『現代の恥辱』（矯正協会、1968年）
- 『刑政を考える』（矯正協会、1969年）
