期間工
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期間工(きかんこう)とは、自動車工場や電子部品製造工場などで勤務する契約社員のこと。期間工を雇用する企業自身は期間工とは呼ばず、単に期間従業員であるとか期間契約社員などと呼ぶことが多い。かつては臨時工、季節工などとも呼ばれた。期間工に対して、正社員として製造現場に勤務する者を、本工、常用工などという。
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[編集] 概要
主に、部品の組み立てなど流れ作業を担うことが多い。作業は苦痛なほど単調であるが、職人的な技術は要求されない上、素人の割には手取賃金や居住施設の提供など待遇は良い。なお、学生は種々の理由で(休学している場合でも)採用されない場合が多い[要出典]。
[編集] 期間工の傾向
1980年代までは、農閑期の農業従事者が出稼ぎとして行うことが多かった。このため、季節工と呼ばれていたこともある。1990年代からは、就職できないフリーターや日系ブラジル人などの外国人労働者の割合が増えている。2000年代に入ると人材募集の経費削減などのアウトソーシング指向や募集人員、期間に融通が効くなどの理由で人材派遣業による派遣が活発化、期間工としての募集は減少傾向にあった。2005年あたりから、労働需要の増加と偽装請負問題が社会問題化し、直接雇用の期間工の募集が拡大されつつある。
[編集] 待遇
2交代制や3交代制などのシフト勤務に加え、数時間の残業が半ば強要されるなどの状況で勤務時間は不規則であることが多い。このため、工場周辺に勤務期間中に宿泊する寮が無料で提供されることが普通。契約期間を満了すれば満了金のほか、帰りの旅費を支給する企業もある。近年は、募集条件に「期間工として従事した経験」を求められるケースもあるが、期間途中で逃げ出さないための辛抱強さを判断する材料として見ていることが多い。
[編集] 都市伝説
- 「自動車は、熟練した辛抱強い期間工が作り上げる3月に作られたものが最良。新米が作る4月のものは最悪」という都市伝説があるが、フルラインロボット作業で作られる自動車もあるし、熟練した期間工が嫌々作っている可能性もある。また期間工募集、入職も通年行われており、どの月であろうと新米期間工がいるのが実態であり、この説には根拠がない。
[編集] 期間工に焦点を当てた出版物
- 自動車絶望工場—ある季節工の手記 著者:鎌田慧 講談社文庫 ISBN 4061830961