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星口動物 - Wikipedia

星口動物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

?星口動物
分類
ドメ
イン
真核生物 Eukaryota
動物界 Animalia
星口動物門 Sipuncula
学名
Sipuncula
Rafinesque, 1814
  • スジホシムシ綱 Sipunculidea
    • スジホシムシ目 Sipunculiformes
    • フクロホシムシ目 Golfingiiformes
  • サメハダホシムシ綱 Phascolosomatidea
    • サメハダホシムシ目 Phascolosomatiformes
    • タテホシムシ目 Aspidosiphoniformes

星口動物(ほしくちどうぶつ、Sipuncula)は、144から320の種が含まれる動物の門である。海洋性の動物で、体は左右対称で、体節に分かれていない。

目次

[編集] 形態

[編集] 外部形態

一般に細長い動物である。左右相称ではあるが、腹背の区別はあまり明確ではない。肛門があるのが背面とされる。砂泥に生息するものには柔らかな体のものもあるが、岩の隙間などにすむものはかなり硬い体を持つ。

星口動物の一番の特徴は、18から24本の触手である。これは体の先端にあり、それに囲まれた口を持つか、口はそのそばに開く。また、この触手は完全に体の内外に出し入れできる。触手はさほど長く伸びるものではなく、よく広がっても、体の先端にちょこっと広がる程度である。星虫、あるいは星口動物の名はこんれを星になぞらえたものである。この触手を含む体の先端部そのものも胴部に引き込むことができる。

体に節や隔膜は見られない。体の外面には附属肢や剛毛などは一切ない。ただ細かい刺状の突起を密生するものが多い。タテホシムシ科のものは体幹部の前端に盛り上がった盾状部がある。これは自分の巣穴の蓋に使われる。

[編集] 内部形態

体壁は外側からクチクラ、上皮、真皮、環状筋、縦走筋、体腔膜の順に配置する。嵌入吻を引き込む牽引筋は独立して遊離状態で体壁につながる。この筋肉は普通は腹面と背面に各一対ある。

消化管は先端の口から後部へ伸び、Uターンして、吻の下側背面の肛門に続く。後ろへ伸びる腸と、後端でUターンして戻ってくる腸は、互いに螺旋に巻きついており、体壁とは連結されていない。体腔は原体腔である。腎管が一対あり、ほぼ肛門の位置の腹面側に出口が開く。肛門は胴体の前方、陥入できる吻の基部背面に開く。肛門部を保護するために、石灰質の板を供えている種もいる。固着性でない動物で、このようなU字型の消化管の配置を持つものは他にはない。

血管系は持たない。強い筋肉を持ち、脅かされるとラッカセイの種子の様な形に体を縮める。このため、「オーストラリア・ピーナツ・ワーム」という別名がある。

食道の背側に脳があり、そこから腹神経索が腹側体壁に沿って後端まで伸びる。生殖腺は体壁の内側のひだとして生じ、生殖細胞は腎管から放出される

[編集] 似た動物

外見的にはもっともよく似ているのはユムシ動物である。蠕虫状であること、体表に附属肢や規則的な剛毛などの移動手段を持たないこと、体節がないこと、大きな体腔があることなどが共通している。他方で、ユムシ類は触手を持たず、また陥入吻を持たないこと、消化管が直線的なことなどの大きな違いもある。

[編集] 生殖

星口動物は有性生殖無性生殖のどちらも行うが、有性生殖の方が普通に行われる。無性生殖の際は、体の主要な部分を作った後、真横に分裂する。有性生殖の際には雌雄異体となり、体腔の中で配偶子を生産する。受精は体外で行われる。卵割は螺旋卵割で、孵化するとトロコフォア幼生からPelagosphera幼生へと成長し、成体になる。

[編集] 生息場所

星口動物は、海産の底性動物である。砂泥中に潜り込むもの、岩の隙間や他の動物の巣穴、ヤドカリの捨てた貝殻の中などにも、わりと普通に見られる生物である。身を守る為に岩を身につけているものもいる。潜り込んだところからあまり移動せず、そこで触手を広げて生活するものが多いが、貝殻に入るものなどでは、それを引きずって移動するものもある。多くは10cm以下の体長であるが、数10cmに達する種もある。

[編集] 系統学

星口動物の系統上の同定は困難であった。先述のようにユムシ類に似ていたことから、体節を全く欠いていたものの、始めは環形動物門に分類された。後に進化と幼生の特徴から軟体動物門に入れられた。今日ではこれらは冠輪動物という大きな系統群に入れられている。

[編集] 化石

固い骨格を持っていなかったため、化石はほとんど残っていない。しかし、古生代のある種の貝殻の化石が星口動物と関係があると考える科学者もいる。

星口動物の化石は、カンブリア紀からのものが残っていることが分かっている。中国で見つかったArchaeogolfingia属とCambrosipunculus属の化石は、現在のものと比べても形態的にほとんど変わっていない[1]


[編集] 利害

人間の利害に関係することは少ない。日本では大型種のスジホシムシなどを釣りの餌にする例がある。また、ミクロネシアでは食用とされている種がある。福建省厦門では、「土笋冻」(Phascolosoma esculenta)という種が珍味として食用にされる。


[編集] 出典

  1. ^ Huang, D. Y., J.-Y. Chen, J. Vannier, and J. I. Saiz Salinas (2004). “Early Cambrian sipunculan worms from southwest China”. Proceedings of the Royal Society of London Series B 271 (1549): 1671-1676.


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