ヤドカリ
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?ヤドカリ上科 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ヤドカリ(NOAAによる画像) |
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Hermit Crab | ||||||||||||||||||||||||||||||
科 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ヤドカリ(宿借、寄居虫)は、エビ目(十脚目)・ヤドカリ下目・ヤドカリ上科 Paguroidea に属する、いくつかの科にまたがった動物の総称である。エビやカニに似るが、貝殻などに体を収めて生活することで知られている。
[編集] 特徴
ヤドカリとは、ヤドカリ上科の中で、主として巻貝の殻を住みかとし、そこに体を収め、殻を背負って歩く生活をするものを指す名称である。
体は頭胸部と腹部に分かれる。歩脚の第一対は太く発達したはさみ (動物)鋏脚だが、多くの場合左右不対称で、大きい方の鋏は、体を殻に引っ込めた時に入り口に蓋をするのに使われる。歩脚として使われるのは第二、第三対の二対であり、残りの歩脚は短くなって、貝殻を保持するために使われる。腹部は長くて柔らかな袋状をしており、巻き貝の殻に合わせてやや巻いた形になっている。また、腹部の付属肢は左側だけが残り、右側は退化している。尾脚は鉤状で、貝殻内部に体を止める役割を担っている。
普段は貝殻から頭胸部だけを出して歩き回るが、危険を感じると素早く殻の中に引っ込み、発達した鋏脚で殻の口に蓋をする。
多くのものが潮間帯以下の海中に生息し、波打ち際からやや深い海底にまで住んでいる種がある。亜熱帯から熱帯では、陸上生活をするオカヤドカリ類もある。
卵は小さく、幼生はゾエアの形で生まれ、変態して海底生活に入る。陸上生活をするオカヤドカリ類も、幼生時は海で成長する。
[編集] 貝殻を巡って
ヤドカリ類の腹部はとても柔らかく、防御には適さない。これは、常に巻き貝の殻の中で守られているためである。巻き貝の殻は、殻の主が死んで空になった物の中から、大きさの合うものを選んで利用する。また、ヤドカリが成長した時には、新しい殻に引越しをしなければならない場合もある。殻の大きさは、その入り口に鋏を当てて大きさを測っているという。
一般に、巻き貝の殻を使うが、特殊なものとしては、ツノガイの殻を使うツノガイヤドカリ、サンゴのかけらの穴に入り込むヤッコヤドカリなどがある。さらに変わっているのは、カンザシヤドカリである。このヤドカリは、生きたサンゴの殻に開いた穴に体をいれて生活している。ヤドカリは頭胸部を出し、長くて毛の生えた第2触角を振り回し、そこについた微粒子(プランクトン或いはデトリタス)などを口でぬぐい取って食べている。こうした第2触角を用いた微粒子の濾過摂食は殻を持ち運べる自由生活のヤドカリにもよく見られ、日本の干潟でもっとも普通に見られるユビナガホンヤドカリもこの行動を行うことが知られている。
潮間帯で見ていると、目につく貝殻はそのほとんどがヤドカリ入りであり、生きた貝の方が少ないくらいである。これは生きた貝は多くの場合、物陰に隠れているためでもあるが、ヤドカリが常に「住宅難」にさらされているせいでもある。一般に生物の個体数は、それが必要とする諸条件のうち、最も限られた資源の量によって決まると言われ、この条件のことを限定要因と言う。ヤドカリにとって、限定要因になっているのが、食物などではなく、巣として使える殻であると考えられる証拠がいくつか知られている。そのため、殻の奪い合いが起きることは珍しくなく、他人が入っている殻から、その主を追い出し、奪い取る行動も見られる。また、ヤドカリの生息する干潟の一定区画に微小な巻貝の死殻を大量にばら撒くと、ゾエアから変態したばかりの稚ヤドカリの生残率が著しく上昇してヤドカリの個体群密度が高くなることも知られている。
なお、後述するように、他の動物との共生によって、殻を変えなくてすむようになっている種もある。
[編集] 刺胞動物との共生
ある種のヤドカリが、刺胞動物のうちのイソギンチャク類と共生することは、昔から知られている。日本でよく見られるのは、ベニヒモイソギンチャクを殻の上につけるソメンヤドカリなどである。他にヤドカリイソギンチャクという、そのままズバリの名を持つイソギンチャクもあり、こちらはケスジヤドカリと共生する。他にもいくつかのイソギンチャクとヤドカリの共生関係が知られている。
これらのイソギンチャクの中には、自らヤドカリの殻に住み着く傾向を持つものもあり、また、ヤドカリの種によっては、イソギンチャクを見つけると自分の殻の上にそれを移し替える行動を持つものがある。その場合、イソギンチャクの基部をヤドカリが鋏で刺激すると、イソギンチャクは素直に基盤を離れる。
この関係では、イソギンチャクは移動することができるようになること、付着する基盤がない砂泥底の部分にも進出できるなどの利点がある。ヤドカリの側では、イソギンチャクの刺胞によって、大型動物の攻撃を避けることができる。つまり、互いに利益がある、相利共生の関係である。
さらに関係が進んだものでは、イソギンチャクが分泌物で殻を作り出し、その殻にヤドカリが入り込む。ヤドカリの成長にあわせて殻も大きくなるので、ヤドカリは引っ越しをする必要がなくなる。また、ヤドカリがイソギンチャクに餌をやることも観察されている。
ちょっと違うやり方としては、ヤドカリコテイソギンチャクは、トゲツノヤドカリの大きい鋏に付着する。ヤドカリが殻に引っ込めば、その入り口をイソギンチャクが蓋をする形となる。
イソギンチャク以外では、スナギンチャク類のヤドカリスナギンチャクやヤツマタスナギンチャクがやはりヤドカリの殻を覆って成長する。また、ヒドロ虫類のイガグリガイは、イガグリホンヤドカリの住む殻に育ち、次第に成長すると、殻が大きくなるように成長する。表面からたくさんの棘を伸ばすことからこの名がある。