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早川雪洲 - Wikipedia

早川雪洲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

早川雪洲
早川雪洲

早川 雪洲(はやかわ せっしゅう、本名:早川 金太郎(はやかわ きんたろう)、ハリウッド名:セッシュー・ハヤカワ(Sessue Hayakawa)[1]1886年6月10日 - 1973年11月23日)は、日本俳優。サイレントムービー時代の日本人初のハリウッドスター。日本人としてもっとも早い時代に活躍した国際的映画俳優である。

目次

[編集] 略歴

千葉県安房郡千倉町(現・南房総市)千田出身。裕福な網元の家に生まれる。海軍軍人に憧れる軍国少年期をへて海軍予備学校(現・海城高校)を卒業。卒業後に、海軍兵学校を受験するも試験前の素潜り鼓膜が破裂。感染し化膿して頭部の半分が腫れた。そのため身体検査で不合格となり絶望し自殺未遂(割腹自殺を図ったとされる)。

回復後に渡米し、アメリカの有名大学の1つであるシカゴ大学に学生として学び、一時期フットボール部にも所属していたという。1913年、同大学卒業後、ロサンゼルスリトルトーキョーにあった劇団で舞台の脚本を書くようになり、その舞台にも立つ。それが映画人の目にとまり、映画(トーマス・H・インス監督の『タイフーン』がデビュー作とされる)に出演する。

1915年の『チート』(セシル・B・デミル監督)で、人妻に焼きごてで焼印をする冷酷な日本人青年という悪役を演じ、一躍ハリウッドのスターダムに伸し上がる(ただし日本国内においては、同作で酷い日本人を演じたことで国辱俳優のレッテルが貼られた)。

1918年には大学時代の友人の父親から100万ドルの融資を受け、自分の映画製作会社「ヘイワース・ピクチャーズ社(Haworth Pictures Corporation)」をハリウッドに設立。3年で23本の映画を製作、年200万ドルの純利益だったと云う。ハリウッドを代表する日本人映画人としてその名を轟かせた。映画1本のギャラも、当時のチャップリンに匹敵するほど高額だったという。尚、この製作会社は1922年に閉めている。

その頃は絶大な人気を誇り、自宅であるハリウッド山にある豪邸「グレンギャリ城」では連日連夜パーティを催し、多くの同時代の映画人と親交があった。戦前の伝説的二枚目スター、ルドルフ・ヴァレンティノも駆け出しの一時期、雪洲の屋敷に勤めていたことがあるという。この屋敷はヴァイン通りとフランクリン通りの交差するあたりにあった。現在はフリーウェイの出口になっており、面影はない。

しかし排日感情の高まりや映画会社との軋轢などもあり、1923年にハリウッドを去って欧州や世界各地を巡業、イギリス国王ジョージ5世に招かれたり、パリでの舞台がヒットするなどしばらくは舞台俳優として活躍した。また、当時の超大作フランス映画『ラ・バタイユ』(1923年)等に出演した。1927年以降はトーキーの時代が来たため、英語の発音が良くない俳優のハリウッドでの活躍の道は閉ざされた。1932年には日本映画にも出演。日独合作映画『新しき土』(1937年)では、原節子の厳格な父親役を演じ、特にドイツでは高い評価を得た。

その後、撮影のためヨーロッパに渡航したのち、第二次世界大戦が勃発したことで政情が不安定になり、しばらくその行方もわからなくなった。戦後になってハンフリー・ボガートが新作映画に雪洲の出演を強く希望、雪洲を探しまわり、パリで画家をしていた雪洲を見つけ出し、『東京ジョー』で共演したことは有名である。

1957年の『戦場にかける橋』では日本軍の収容所長・斉藤大佐を熱演した。日本人男優として初めてアカデミー助演男優賞にノミネートされた(惜しくも受賞は逃している)。ゴールデングローブ賞にもノミネートされ、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞を受賞した。ハリウッドのウォーク・オブ・フェームにも名前が刻まれている。

なお、芸名は当初、尊敬する西郷隆盛「南洲」をもじって「北洲」としていたが、同名の俳優がいることがわかり、「北=雪が降る」ので「雪洲」とした。

[編集] 出演

[編集] 映画

  • タイフーン(1915年)
  • チート(1915年)
  • 桜の光(1919年)
  • スワンプ(1921年)
  • 黒薔薇(1921年)
  • 怒髪天を衝いて(1921年)
  • かげろふの命(1922年)
  • ラ・バタイユ(1923年)
  • 大和魂(1930年)
  • ヨシワラ(1936年)
  • 新しき土(1937年)
  • 背信(1937年)
  • 東京ジョー(1949年)
  • 三人の帰宅(1950年)
  • 鞍馬天狗と勝海舟(1953年)
  • 日本敗れず(1954年)
  • 東京暗黒街・竹の家(1955年)
  • 怒れ!力道山(1956年)
  • 戦場にかける橋(1957年)
  • 底抜け慰問屋行ったり来たり(1958年)
  • 緑の館(1959年)
  • 南海漂流(1960年)
  • 戦場よ永遠に(1960年)
  • ボスは俺の拳銃で(1966年)
  • アンデルセン物語(1966年)
  • 黒人の意気(1971年)

[編集] 家族

1914年に日本人女優の青木鶴子と結婚。本妻の彼女との間に子供はなかったが、漁色家の雪洲はアメリカ人女優の愛人との間にできた男児を日本へ連れ帰っている。また、日本人の愛人との間に生まれた女児2人も、同様に妻に育てさせた。

[編集] 文献

  • 早川雪洲『早川雪洲 ~武者修行世界を行く~』日本図書センター〈人間の記録〉、1999年、ISBN 4820543334(1959年出版の自伝(絶版)の改題版)

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ Sessueは早川本人が考えた「アメリカ人にも覚えやすい綴り」で、本人はこれを「セッシュー」(sesh-oo)と発音していたが[1]、アメリカ人は一般に「セッスー」(ses-sue)または「セスエ」(sesu-é)と発音していた [2]


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