日露戦争 (コンピュータゲーム)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジャンル | ウォー・シミュレーション |
---|---|
対応機種 | Windows95~Vista |
開発元 | ジェネラルサポート |
発売元 | ジェネラルサポート |
人数 | 1人 |
メディア | CD-ROM |
日露戦争(にちろせんそう)は、ジェネラル・サポートから1999年に発売されたウォー・シミュレーションゲーム。
陸海軍の戦闘だけでなく、外交、諜報、謀略、戦費調達、国内徴税といった政治レベルから、貿易統制、通商護衛まで全てをプレイヤーが担当できるシステムとなっており、史実に忠実な日露戦争をシミュレーションすることが可能である(プレイヤーは大日本帝国を担当)。作者はゲーム作家として有名な阿部隆史。2007年現在、本作廉価版(2002年発売)を同社ウェブサイトで購入することができる。本作のユーザマニュアルは235ページにも及び、史実どおりの戦略を行わなければゲームオーバーになったり、いつまでもゲームが先に進まないなどの事があるため、マニュアル無しでのプレイは事実上不可能である。
目次 |
[編集] シナリオ
- シナリオ1「日本海大海戦」
- シナリオ2「奉天入城」
- 満州における日露陸軍最大の戦いを再現するショートシナリオ
- 奉天の占領に成功すれば勝利となる。
- シナリオ3「203高地」
- 第3軍による旅順攻略戦のを再現するショートシナリオ。
- 旅順要塞を占領するか、砲撃で旅順港のロシア艦4隻以上を沈めると勝利となる。
- シナリオ4「運命の8月」
- シナリオ5「日露大決戦」
- 日露戦争の会戦から終戦までを再現するキャンペーンシナリオ。
- 勝利条件等は本記事内「ゲームの終了」を参照。
[編集] 国家・登場人物
- 戦争の舞台となる日本、ロシア帝国、大韓帝国、清朝、のほか、外交相手としてイギリス、アメリカ、トルコをはじめとする合計11ヶ国が登場する。
- 東郷平八郎、ロジェストウェンスキー、大山巌、秋山好古、コンドラチェンコ、明石元二郎などの将軍、提督、参謀、諜報員、閣僚、元老ら120人以上が登場する。
[編集] ゲームの進行
キャンペーンシナリオは1904年2月上旬から始まり、1ステージは史実の半月として進行する。各ステージは以下5つのパートから構成される。
- 外交パート
- 中立国との外交交渉、借款の申し入れ、外債の募集などの外交活動を行う。戦争終結のための講和会議もここで行われる。また、第三国がロシアへ艦艇を売却することを妨害したり、黒海艦隊回航をトルコに妨害させることもできる。
- 謀略パート
- 世界情勢の収集、ロシア国内や欧州での諜報・謀略活動を行う。バルチック艦隊の動向を調査・妨害したり、血の日曜日事件や戦艦ポチョムキンの反乱などのロシア帝国崩壊につながる歴史的事件発生もこのパートでのプレイ次第である。
- 内政パート
- 徴税や世論の誘導、国内産業への投資、弾薬生産等を行う。
- 海軍パート
- 艦艇の修理、訓練、補給、艦隊編成を行う。また艦隊による哨戒活動、陸軍部隊の朝鮮半島への輸送、貿易のための商船の割り当てもこのパートで行う。海上戦闘はこのパートで行われる。
- 陸軍パート
- 陸軍部隊の動員・編成、将官の昇進等を行う。また、敵根拠地への侵攻とそれに伴う陸上戦闘はこのパートで行われる。
[編集] BGM
「激闘!ソロモン海戦史」(1993年、ジェネラル・サポート)でも採用されていた軍歌BGMが本作でも採用されており、雪の進軍や抜刀隊 (軍歌)を聞きながらプレイできる。詳細は以下の通り。
- オープニング、外交パート~内政パート 「来たれや来たれ」
- 旅順港閉塞作戦 「広瀬中佐」
- 海戦 「日本海大海戦」
- 陸戦(冬季) 「雪の進軍」
- 陸戦(春~秋) 「抜刀隊」
- エンディング(日本側大勝利・勝利時) 「敷島艦行進曲」
- エンディング(日本側大敗北・敗北時) 「ロシア帝国国歌」
- エンディング(引き分け時) 「水師営の会見」
[編集] 武器・兵員
[編集] 陸軍
- 第1軍 仁川に上陸し、遼陽に向かって進撃する。遼陽攻撃時に満州軍に編合される。
- 第2軍 普蘭店に上陸し、遼陽に向かって進撃する。遼陽攻撃時に満州軍に編合される。
- 第3軍 普蘭店に上陸し、旅順へ向かって進撃する。旅順攻略後は長春に向かって前進し、第2軍もしくは満州軍に編合される。
- 第4軍 大孤山に上陸し、海城に向かって進撃する。海城攻撃時に第2軍に編合される。
- 韓国駐留軍 京城からウラジオストクへ進撃する。ウラジオストク陥落後、長春に向かって前進し、第1軍もしくは満州軍に編合される。
この5つの軍を指揮し、中国大陸を侵攻していく。
ゲーム開始後、多額の費用をかけて、日本本土の各部隊を動員し、兵力を増やして行かねばならない。 一線級の戦力を持つ通常の師団、戦力は二戦級で動員には内政への負担が有る後備旅団、強力な近接火力を持つ機関銃隊、偵察や突撃に使う騎兵旅団、砲撃力の強い野砲旅団、そして桁外れの火力・弾薬消費量を誇る重砲旅団が有る。 各部隊の招集後は、輸送船を利用して、朝鮮半島か中国本土にこれを輸送せねばならない。輸送された部隊は本隊を追いかけ、数ターン後に合流する事が出来る。輸送は航路の制海権が確保され、且つ好天でないと実行する事は出来ない。輸送を指示した時点で、その部隊がどの軍に編入されるかが決定される。 尚、師団には火力は高いが悪路での運用が困難な野砲を装備したものと、火力は低いが悪路での運用に有利な山砲を装備したものがある。
[編集] 海軍
海軍の任務は、重要輸送路と航路を守る事にある。輸送船や商船を沈められてはならない。 海軍はまず、個艦数隻からなる戦隊があり、それを複数まとめて艦隊とし、根拠地として佐世保・舞鶴のいずれかに所属する。
海軍の出来る事は以下の通り。
- 建造
- 艦艇を建造する。
- 修理
- 損傷した艦艇を修理する。
- 訓練
- 乗艦する水兵、士官の錬度を向上させる。
- 根拠地移動
- 佐世保・舞鶴間で所属艦を移動させる
- 哨戒
- 佐世保・舞鶴各々で、最寄りの海面を哨戒し、ロシア軍艦隊の動向を探る。
- 海戦
- ロシア軍艦隊を発見した時に、最寄りの根拠地から艦隊を出撃させ、それを撃滅し、輸送路と航路を守る。取り逃すと商船に被害が出たり、そのターンは海上輸送が不可能になったりする。
その他、
- 開戦時に旅順港に対して、夜間奇襲雷撃を行える。
- 旅順に対して閉塞作戦を行い、敵艦の出撃を妨害する事が出来る。
- ゲーム進行により、外国から艦艇購入を打診されることがあり、それに応じれば史実では参戦しなかった艦船が登場する場合がある。ちなみに日本側が購入できる可能性があるのはイギリスのスイフトシャー型戦艦もしくはアメリカのペンシルバニア型装甲巡洋艦で、これに対しロシア側もドイツのブラウンシュバイク型戦艦、フランスのグローリー型装甲巡洋艦を購入する可能性がある。
[編集] 陸戦
- 陸戦は日露いずれかの軍が戦略マップ上で、支配地から隣接地への侵攻を行った時点で開始される。両軍とも兵団を中央・右左翼・最右左翼の5つに分け、それぞれの兵団へ将軍、銃火器、歩兵、騎兵、工兵、弾薬を分配し、砲撃、銃撃、突撃、夜襲、陣地構築などの行動を選び担当正面の敵と戦う。
- 攻撃力は兵力と将軍の才能によって決まり、損害を受けた際はその程度によって士気が下がる。敵兵団の士気を下げ、後退させることにより陸戦マップの端から敵を追い出せば勝利である。
- また、重砲(日本は満州軍が所有、ロシアは旅順及びウラジオストック要塞が保有)は中央兵団の後ろに配置され、敵の攻撃は受けない。
- 旅順攻略の際の日本軍は、203高地を占拠することにより、港への砲撃が行える。
- 日本軍は講和条約を有利に進めるために樺太攻略作戦などを行うこともできる。
- ロシア軍の編成や動員、兵員輸送の進捗は、日本の情報収集力やロシア国内での諜報によってある程度知らされるが、ロシア軍に「あとどれだけの余力があるのか」はプレイヤーには判らないようになっている。しかし、日本ではあらかじめ動員可能な師団・旅団等の数が決まっているため、史実どおり「超大国と戦う」恐怖感を味わう事ができる。
[編集] 海戦
- 海戦パートの特徴は、同社の激闘!ソロモン海戦史シリーズを踏襲したものとなっている(戦術マップにおける行動などは当該ゲームの項目を参照)。弾薬補充や榴弾による射撃、装甲脱落、機雷の敷設、乗組員の錬度など、新しく追加された要素も多い。
- 弾薬補充及び乗組員練度は、「激闘!海戦史」シリーズが作戦級ゲームであったのに対し、この作品が戦略級ゲームであるが故の追加要素である。弾薬は予め内政パートで国内において製造し配備していないと、艦艇は砲雷撃が行えない。乗組員は母港で訓練することにより練度が上がり、練度の高い艦艇は命中率などに良い影響がある。
- 榴弾は、日本海軍のいわゆる下瀬火薬を再現したもので、ロシア艦の徹甲弾が貫徹力は高いが破壊力は距離の影響を受けやすいのに対して、日本艦の榴弾は貫徹力はあまり高くないものの距離に関係なく大きな破壊力を持つものとして表現されている。これにより日本側はなるべく遠距離砲戦を行うのが有利となる他、後述の装甲脱落の発生率も高くなっている。
- 装甲脱落は砲撃などを受けて爆発などの被害が出た場合に発生し、該当するブロックの装甲値が0になる。これにより、ツェザレウィッチやレトヴィザンなど重装甲を誇ったロシア艦に対しても日本艦から大損害を与えられる可能性があり、史実でも黄海海戦などに見られた状況が再現される。また、中・小型砲により敵艦の装甲のない部分への攻撃が命中した場合に隣接ブロックの装甲脱落が発生することがあり、主砲以外の砲撃も意味を持つようになっている。
- 機雷の敷設は海戦マップの深海以外を示す地点で敷設艦により行うことができる。敷設艦により敷設された機雷はその戦闘中存在し続け、敵味方区別無く艦船が接近すると触雷して損害を与える。損害は駆逐艦や商船などは即座に沈没し、主力艦は主に艦体にダメージを受ける。なお、ロシア側が敷設した機雷はプレイヤーには見ることが出来ない。
- 海戦は以下の条件を満たした場合に発生する。
- 出撃したロシア艦隊を、日本軍が予め配置した哨戒艦隊で捕捉し、かつ艦隊を出撃させ迎撃を試みたとき。この場合、哨戒艦隊を戦闘に参加させるかどうか選択でき、参戦させなかった哨戒艦隊は哨戒を継続し別のロシア艦隊が出現した場合や往路に対する復路でも発見できる可能性が残るが、参戦させた哨戒艦隊は戦闘終了後に迎撃艦隊と共に帰港するので再発見の可能性が無くなる。
- 日本軍が閉塞船団と駆逐隊による旅順港閉塞作戦を実施したとき(後述)。
- キャンペーン第1ステージに、日本軍が旅順港夜襲を敢行したとき(後述)。
- 海戦は特定の海面マップで行われる。即ち旅順港沖、黄海、対馬沖、蔚山沖、沿海州沖の5海面で、旅順港沖海面は1マップ構成で旅順港夜襲と旅順港閉塞作戦でのみ使用し、他の4海面は2マップで構成され主にロシア軍の通商破壊や回航を阻止すべく哨戒・迎撃を行う際に使用される。なお、旅順港・黄海・対馬沖には佐世保からのみ、蔚山沖・沿海州沖には舞鶴からのみ出撃できる。
- 旅順港夜襲や閉塞作戦を除く海戦の流れはロシア艦隊の目的によって変化する。通商破壊を目的とするロシア艦隊は必ず同じ海面を往路・復路の2度に渡り通過するが、回航を目的とする艦隊は各マップを1度しか通過せず、発見や迎撃の機会に影響を与える。ちなみにロシア軍の回航任務は旅順からウラジオストック(旅順艦隊)、またはカムラン湾から旅順ないしウラジオストック(バルチック艦隊)だけで、その逆は発生しない。なお、2枚から成る海面マップを通過する場合、必ず1枚目が昼で2枚目が夜となり、発見したマップにより海戦の発生時間帯が決定され、昼戦なら戦艦や巡洋艦から成る戦隊、夜戦なら駆逐隊のみがそれぞれ参加できる。なお、通商破壊を目的とするロシア艦隊は日本軍に発見される機会が往路・復路の2度あり、日本側が2度とも迎撃を行った場合、ロシア側艦艇の1度目の損傷は引き継がれる。
- このゲームにおける大きな要素の一つであるバルチック艦隊は、ある時点でリバウを出撃し、各寄港地を経由してカムラン湾に到達した翌ターンに日本近海に来航する。来航に要する期間は最短9ステージ、日本側が謀略パートにて途中寄港地での出港妨害を成功させれば最長14ステージ後。バルチック艦隊は旅順ないしウラジオストックへの回航を目指すが、後者には日本海経路と太平洋経路があるので、同艦隊は都合3経路のいずれかを通る可能性がある(海戦はそれぞれ黄海、対馬沖、沿海州沖で起きる可能性がある)。これにより、日本軍(プレイヤー)は史実同様に迎撃艦隊配置の決断を迫られる。なお、バルチック艦隊には著名な戦艦ポチョムキンを含む黒海艦隊が合流する可能性もあり、それを防ぐために外交パートにてトルコに「ボスポラス海峡監視強化」を要請することも出来る。
- 旅順港閉塞作戦は第2ステージ以降、旅順港沖海面の波高(季節や天候による影響を受ける)が2以下の場合に実施できる特殊な海戦で、輸送船の一部を割いて編成する「閉塞船団」1つを必ず含み、9つまでの駆逐隊を参加させることができる。必ず旅順港沖マップで生起し、夜戦である。日本側は指定される「閉塞ポイント」内で閉塞船団所属の輸送船を1隻以上沈没ないし自沈させることにより、旅順港の在泊艦隊をそのステージに限って出撃できなくさせることができる。この海戦に限りロシア艦隊を全滅させても海戦は終了しないので、日本側の残存艦船は30ステージを過ごすか、マップ外へ離脱する必要がある。
- 旅順港夜襲はシナリオ5「日露大決戦」開始直後の第1ステージにのみ行われる特殊な海戦で、佐世保に居る駆逐隊3つのみが参加でき、必ず夜戦となる。史実の奇襲を再現するため、日本側が発砲・衝突したりロシア小型艦艇による探照灯照射を受けない限り、ロシア側は移動や発砲、主力艦による探照灯照射が出来ない。また、この海戦に限り、ロシア側は15cm以上の砲を使用できない(乗員が上陸していて人員不足だったことを再現している)。
- 海戦は30ターンが経過するか、日露いずれかの艦隊が撃沈やマップ外への逃走によってマップ内に1隻も残っていないとき終了する。
[編集] ゲームの終了
ゲームの終了は列強国の仲介で講和会議が行われる事により決定する。
[編集] 日本大敗北
- 第2ステージまでに漢城(ソウル)を占拠できなかった場合
- 史実では2月23日に締結された日韓議定書のかわりに「露韓議定書」が結ばれ、日本は戦争の名目を失い「日本大敗北」となる。
- 開城・鉄原がロシア軍に占拠された場合
- 日韓議定書が破棄され、「露韓議定書」が結ばれることにより、スウェーデンの仲介によるストックホルム講和会議で「日本大敗北」となる。
- 大石橋、海城、遼陽がロシア軍に奪回された場合や日本の軍司令部が降伏した場合
- 清王朝とロシアが「露清同盟」を締結し、スウェーデンの仲介によるストックホルム講和会議で「日本大敗北」となる。
[編集] 日本大勝利
- 満州軍が長春を占領した場合
- スウェーデンの仲介によるストックホルム講和会議で「日本大勝利」となる。
[編集] 日本敗北
- 1905年1月上旬以降で遼陽がロシアの支配下にある場合、
- ドイツの仲介によるベルリン講和会議で「日本敗北」となる。