日産・ワンビア
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ワンビアとは、日産自動車製の乗用車シルビアのフロント構成部を、同じく日産自動車製の乗用車である180SXのフロント構成部品に交換した車両のことをいう。いわゆる顔面スワップを施した改造車の一形態(前述の組み合わせの車両)を意味する語であり、公式に存在する車種および車種名ではない。
シルエイティとは全く逆の構成であり、シルエイティは180SXがベースであるのに対し、こちらはシルビアがベースである。したがって、ワンビアの正式な車種名はシルビアである。
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[編集] 概説
S13型シルビアと180SXは異なる車種であるが同型番車種であり、姉妹車の関係にある。そのため両車種の構成パーツにおいて互換性が高く、相互に流用が容易に行えるという特徴がある。この特徴をうまく利用したのがワンビアと呼ばれる車両である。
シルビアはヘッドライトが固定式であり、かつノッチバッククーペというスタイリングであるが、180SXはリトラクタブルヘッドライトを採用しており、ボディ形状は同じクーペではあるがハッチバックを採用している。ワンビアはシルビアをベースとして180SXの各種フロント構成パーツ(ヘッドライト、フロントバンパー、フロントフェンダー、ボンネットなど)に組み替えたものである。つまり、リトラクタブルヘッドライトを装備するノッチバッククーペである。
これと逆の改造を施したシルエイティとは異なり、ワンビアは日本で新車販売はされていない。ただし、シルビアおよび180SXの北米版である240SXのS13型については、ワンビアと同形状のリトラクタブルヘッドライトを搭載したノッチバッククーペモデルが存在し、こちらは新車販売がなされている。すなわち、ワンビアの形状を持つ車種は全てシルビアベースの改造車であるとは限らない。
[編集] ベース車両について
ベースとなるシルビアは原則として180SXと同型番のS13型であるが、S14型シルビアをベースとするワンビアを製作することは一応可能であり、製作例もある。
[編集] 車名の由来
「180SX(ワンエイティ)」と「シルビア」を組み合わせた造語である。フロント側が180SXであるから、その車種名「180SX(ワンエイティ)」の前側2文字「ワン」を、リア側のシルビアについては、「シルビア」の後ろ側2文字「ビア」をそれぞれ抜き出し、合成した形となっている。ただし、公式に存在する車両ではなく、俗称にすぎない。
ワンビアの逆バージョンである「シルエイティ」についても同様の法則から生まれた名称であり、この場合はフロントがシルビア、リアが180SXとなることから、「シルビア」、「180SX(ワンエイティ)」を組み合わせた形になっている。新車販売時にもこの車名が使われている。
なお、このネーミングおよび法則については公式なものではなくあくまで慣習的なものであり、同じ構成の車両について必ずこの名称で表現されるとは限らない。ワンビアは他に「ワンエイビア」(「180SX(ワンエイティ)」「シルビア」)や「エイシル」(「180SX(ワンエイティ)」「シルビア」)と呼ばれることもある。
[編集] ワンビア製作上の論点
ワンビアを製作するにあたり、よく問題視されるのがリトラクタブルヘッドライトの持つ問題点である。
詳細はリトラクタブル・ヘッドライト#歴史を参照
その中でもワンビア製作における主要な論点を挙げると、以下のようなものがある。
- 重量増加が避けられない。加えてフロントオーバーハング部に搭載することから、走行時の回頭性が悪化する。
- ヘッドライトを開くと空気抵抗が増える。
- 開閉機構の故障でヘッドライトが点灯するのに使えなくなる恐れがある。
- 開閉機構の分、(移植作業も含めて)金額が割高になりがち。
こうした要素から、元から固定式ヘッドライトを持つシルビアに、あえて問題点の多いリトラクタブルヘッドライトを搭載するのはナンセンスであるとされる。