文室大市
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文室大市（ふんやのおおち、大宝4年（704年）－宝亀11年11月28日（780年））は、奈良時代後期の賜姓皇族。長親王（天武天皇皇子）の7男。智努王（文室浄三）の弟。邑知王あるいは邑珍とも表記することもある。子に波多麻呂・久賀麻呂・八嶋らがいた。
天平11年（739年）正月、無位から従四位下に叙せられる。天平15年（743年）6月刑部卿になり、同18年（746年）4月内匠頭になる。天平勝宝3年（751年）正月に従四位上に叙され、同4年（752年）4月の大仏開眼の日に内楽頭としてこれに奉仕した。同年、文室真人姓を賜った。天平勝宝6年（754年）9月に大蔵卿になる。
天平勝宝以後、一族の連座の罪に陥る者が多く、大市も身を全うするため自ら剃髪して沙門となったという。天平勝宝9年（757年）6月、弾正尹になり、その後、節部（大蔵）卿・出雲守・民部卿を歴任。天平神護元年（765年）正月に従三位に昇叙され、同2年（766年）7月出雲国按察使から参議になる。神護景雲2年（768年）10月、中務卿在任時に新羅交易物を買うため大宰綿4千疋を賜る。同4年（770年）8月、称徳天皇崩御により装束司を勤めた。
その後、称徳天皇の後嗣について吉備真備は文室浄三（天武天皇の皇孫）を推薦したが、浄三は固辞し、それによって弟の大市を擁立しようとしたが、左大臣藤原永手・内大臣藤原良継・右大弁藤原百川らは白壁王（天智天皇の皇孫）を立て、結局は白壁王が光仁天皇として即位した。大市は宝亀2年（771年）3月に大納言になり、その後弾正尹・治部卿などを務め、宝亀5年（774年）7月致仕を乞うて許され御杖を賜った。同年11月正二位となり、同11年（780年）11月28日薨去。享年77歳だった。
