戸田忠恕

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

戸田忠恕（とだただゆき、ただくみ、ただひろとも、弘化4年5月23日（1847年 7月5日） - 慶応4年5月28日（1868年 7月17日））は、江戸時代末期の大名。下野国宇都宮藩第6代藩主。戸田氏25世孫にして田原戸田家14代当主。田原戸田家の嫡流。宇都宮藩戸田家12代。

第4代藩主・戸田忠温の六男で、第5代藩主・戸田忠明の弟。正室は戸田光則の娘。幼名は綏之助。号は葵城。官位は従五位下、越前守。没後、贈従三位。

安政3年（1856年）、兄・忠明の死で後を継ぎ従五位下越前守に任官した。幼少だったために家老の間瀬和三郎(後の戸田忠至)や県勇記の補佐を受け、家老・間瀬（戸田忠至）の活躍もあって歴代天皇陵修理を建議し、山陵奉行に任ぜられ、任にあたった。主に家老の間瀬、県らが中心となって京都、大和、河内、近江各地の山陵を調査し、修理にあたった。

忠恕は尊王の志に篤く、元治元年（1864年）、水戸天狗党の乱が起きた折、諸藩皆これにあたるべきところを、出兵遅延はおろか、藩内に藩主一門の戸田次郎をはじめとする宇都宮天狗なる天狗党同調勢力を抱えており、宇都宮藩は幕府の嫌疑を受けるに至った。これにより、領国7万7,000石のうち2万7,000石を減じられ5万石となり、忠恕は隠居謹慎を命ぜられ養嗣子・戸田忠友に藩主の座を譲り、さらに陸奥国棚倉藩に転封されることとなった。

慶応元年（1865年）12月、山陵竣工により朝廷幕府より賞せられ、藩主・忠友には旧知旧領（宇都宮藩7万7,000石）を回復。さらに、家老・間瀬和三郎は戸田家一門の出自と朝廷幕府への功労から田原戸田家一門として分家を命ぜられ戸田に復姓、宇都宮藩の支藩として下野国高徳藩1万石に封ぜられた。慶応4年（1868年）1月、戊辰戦争の折は新政府軍につくも幕府軍により攻められ落城したが、宇都宮藩は宇都宮城を再び奪回。忠恕は朝廷より召し出しを蒙るが、病にて果たせず同年5月、22歳の若さで病死した。墓は田原戸田家菩提寺である宇都宮の英厳寺。戒名は霊光院殿神岳忠烈大居士。没後、従三位を贈位された。