待機電力
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待機電力(たいきでんりょく)とは、リモコン入力等の操作に備えて待機する間に電気機器で消費される電力のこと。家電製品によっては数ワットに及ぶものもあるが、最近の家電新製品(特に日本製)は省エネルギー化が進み、待機電力も見直されて低く抑えられているものが多い。
[編集] 概要
家庭内で最も待機電力の多い電化製品の一つが、ブラウン管テレビである。ブラウン管テレビは主電源を切ると電力は全く消費しないが、再度電源を入れたとき正常に見える状態になるのに数10秒かかる。そこで、あらかじめ少し電流を流しておけばリモコン等の操作ですぐに見ることができ、また主電源のオンオフを繰り返すことによるブラウン管の寿命短縮も防ぐことができる。長時間見ないときは、主電源を切れば待機電力は消費しない。
最近普及してきた家電製品で待機電力が大きいのが、HDDを内蔵したDVDレコーダーである。1秒程度で録画が開始できる設定(クイックスタートモードなどと呼ぶ)では10ワット程度の電力を消費しており、これを解除しても数ワットの待機電力を消費している。
また、ACアダプターは本体の電源を切ってあってもコンセントにつながっている間は電力を消費しており、特に発熱量の大きいものは消費電力も大きい。
これら個々の待機電力はかなり小さいが、常時通電したままだと当然電力の無駄使いとなる。例えば1Wの待機電力でも1年間で8kWh、電気代で年間200円に相当し、家庭内に多数の該当機器があれば全体ではかなりの消費量になる。このため、地球環境保全の観点から、使わない機器のコンセントを抜くなどでの省エネが呼びかけられている。また、電気器具の集まっている場所では、スイッチ付きテーブルタップも推奨され、コンセントを抜き差しすることなく目的の箇所だけ切れるので、待機電力の節約に有効である。
[編集] 待機電力節約時の注意
節約術の専門家の中には、家庭で使用していない全ての電気製品のプラグをコンセントから抜くと全消費電力の約10%の節電になると指摘する人がいるが、機器によってコンセントを抜くと時計やタイマーなどの設定がリセットされ操作性を著しく害すことが多く、そのような方法での節電は賢明ではない。また、待機電力を全く消費しない電気製品も多く、無駄な労力を使わないよう製品を良く理解した上で節電することが望ましい。その他、プラグの抜き差しを頻繁に繰り返すと電圧変動などで製品そのものの寿命を短くする恐れがあるだけでなく、まだ機器の動作が完全に停止していないにもかかわらずプラグを抜くと故障の原因にもなり、地球環境を考える節電にはなっても総合的には金銭的な節約になるとは限らない。(新しい機器に買い換えれば、製造~運搬~購入の段階において新たにエネルギーが消費されるため、二酸化炭素の排出量がさらに増加し環境面でもマイナスとなる) また、プラグの抜き差しを頻繁に繰り返すとコンセントとの接続部が緩んでプラグが外れやすくなり、接触不良での出火や漏電、感電の原因ともなるので注意を要する。