幽霊オーケストラ
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幽霊オーケストラ(Phantom Orchestra)は、廉価盤CDなどにみられる実在しないオーケストラのことである。しばしば幽霊指揮者の指揮で演奏していることになっている。また、来日時のみ別名を使っているケースもあるが、こういうものは幽霊オーケストラとは呼ばれない。ただし、ロシアの場合はオーケストラそのものが存在していたとしても事情がやや異なるので、後述する。
目次 |
[編集] 実在しない「幽霊オーケストラ」
ここでは、廉価盤の録音に登場し、かつ、実在しないオーケストラを列挙する。
- フィルハーモニア・スラヴォニカ
- フィルハーモニー・フェスティヴァル・オーケストラ
- ベルギー・フェスティヴァル・オーケストラ
- ベルリン・フィルハーモニック・ソロイスツ(ゾリステン)
- ベルリン・フェスティヴァル・オーケストラ
- マズリア・フィルハーモニー管弦楽団(マズリアは、ポーランドの地名。実在するという情報もあるが不正確)
- 南ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団(バンベルク交響楽団などの団員によって設立された録音専用オーケストラとの情報もあるが、ドイツ語のウェブサイトに情報なし。いずれにしても現存しない)
- モーツァルト・フェスティヴァル・オーケストラ
- ラジオ・オーケストラ・ベルリン
[編集] 実在する「幽霊オーケストラ」
実際は他の団体の演奏であるのに、録音で名前を騙られているケースである。
- ロンドン交響楽団
- ロンドン・フェスティヴァル・オーケストラ
- ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団
- ベルリン交響楽団
- ライプツィヒ放送交響楽団
なお、特異な例として挙げられるのが、CDに演奏者名が全く書かれていないケースであろう。こういう場合は名前を騙ってすらいないため、文字通り幽霊のような存在である。しかし、こういったものに関しても元ネタがあがっている。代表例は下記の通りである。
- トビリシ交響楽団(実在しないという情報もあるが誤りである)指揮は創立者であるヤンスク・カヒッゼと、その息子ヴァクタン・カヒッゼによる。
[編集] 廉価盤の問題点
駅前の露店や、スーパーマーケット、100円ショップなどで売られている廉価盤のCDや、CDショップなどにおかれている中古のCDで、上記のオーケストラの演奏によるものを見かけた場合は注意が必要である。演奏そのものは日本の上手いアマチュア・オーケストラと同程度か、各国の中堅クラスの演奏まで様々であるが、「偽物」をつかまされていることに変わりはない。なお、これらのオーケストラの「元ネタ」を突き止めたクラシック音楽ファンも存在する。詳細は後述のサイトを参照されたい。現在判明している中でもっとも元ネタにされているのはスロヴェニア放送交響楽団とオーストリア放送交響楽団であろう。
[編集] ロシアにおける状況
ロシアにおいては、ソ連崩壊後オーケストラが改名したり、乱立したりして複雑を極めている。そのため、団体名を英語・日本語に訳した場合、同じ名称の団体が複数存在したりする。
- ロシア国立交響楽団(スヴェトラーノフが率いていたものと、ポリャンスキーが率いるもの、ゴレンシテイン創設のものの三つの団体が存在する)
- モスクワ・フィルハーモニー(1951年創設のものと、1986年指揮者のポンキンによって創設された通称ポンキン国立響の二つが存在する)
- モスクワ国立交響楽団(1943年創設のものと、1989年創設の二つが存在する)
- ボリショイ交響楽団(ボリショイ劇場の座付のものと、フェドセーエフ創設のものと、西本智実が指揮した『ミレニウム』の三つが存在する)
- ロシア交響楽団(常設のものと、チャイコフスキー・コンクールの伴奏に登場する臨時のものの二つが存在する)
- ロシア・ナショナル管弦楽団(プレトニョフ創設のものと、スピヴァコフ創設の二つが存在する)
- モスクワ管弦楽団(既に消滅して『ミレニウム』となった団体の旧称であると同時に、1989年創設のモスクワ国立響の別名)
- ロシア・フィルハーモニー(五つほど同一名称の別団体が存在する)
実際の活動内容はどの団体もごく普通のものであるが、海外公演の際に混同されやすかったり、録音で混同されやすいといった問題があるために敢えてここで記述した。正式な団体名を用いずに表記されている場合、具体的にいつ創設でロシア語名はなんという団体なのかが判明せず、幽霊オーケストラ同然になってしまう恐れが存在する。現実に「モスクワ管弦楽団」という正式名称の団体は既に消滅している。通称ポンキン国立響の韓国公演の際に用いる名称を巡って問題が発生したこともあったようだ。