平泉寺白山神社
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
| 平泉寺白山神社 | |
|---|---|
 |
|
| 所在地 | 福井県勝山市平泉寺町平泉寺56-63 |
| 主祭神 | 伊奘冊尊 |
| 創建 | 養老元年（717年） |
平泉寺白山神社（へいせんじはくさんじんじゃ）は、福井県勝山市（旧平泉寺村）に所在する神社である。正式な社名は白山神社である。
白山の神として、本殿に伊奘冊尊、本殿右の別山社に天忍穂耳尊、左の越南知社（おおなむちしゃ）に大己貴尊（大国主命）を祀る。
目次 |
[編集] 概要
養老元年（717年）、泰澄によって開かれたという。中世以降、比叡山延暦寺の勢力下に入り、平泉寺として知られるようになる。白山信仰の越前側の拠点（越前馬場）として、最盛期には48社36堂6千坊、僧兵8千人とうたわれる巨大な宗教都市となり、越前国においては朝倉氏と肩を並べる一大勢力であった。しかし、天正2年（1574年）、一向一揆の勢に焼き放たれ灰燼と帰した。その後、豊臣秀吉などの崇敬を受けて再興するが、明治時代に入り、神仏分離令により寺号を捨て、現在の名前になった。
[編集] 境内
境内の苔は西芳寺と共に有名である。
旧玄成院（別当・平泉宮司邸）庭園は、昭和5年に国指定名勝となった。
境内は、「白山平泉寺城跡」として国の史跡（昭和10年）、「白山平泉寺旧境内」として国の史跡（平成9年）に指定されており、全域が白山国立公園にある。また、「美しい日本の歴史的風土百選」（平成19年）、「かおり風景百選」（平成13年）に指定されている。
参道が日本の道百選（昭和61年、菩提林から始まる石畳参道）に、白山までの道が「歴史の道百選」（平成8年、平泉寺から白山までの白山禅定道）に指定されている。
[編集] 平泉史学
平泉寺白山神社の宮司の家に生まれ、東京帝国大学国史学科教授となった文学博士平泉澄は、「平泉史学」と呼ばれる、いわゆる皇国史観の提唱者として知られる。
その人格・見識に心酔する者も多く、第二次世界大戦開戦後は海軍勅任嘱託となり、海軍軍人の思想教育にも取り組んだ。人間魚雷「回天」を発案し訓練中の事故で殉職した海軍少佐黒木博司(死後一階級昇進)や、靖国神社への「昭和殉難者(いわゆるA級戦犯)」合祀を行った第6代宮司松平永芳、戦後20年の長きにわたり教科書調査官を勤めた文学博士村尾次郎、YP体制打倒を掲げ現在も活発な言論活動を行っている文学博士田中卓は、いずれも平泉の門下生にあたる。
なお、東京帝国大学教授時代、民衆史で卒業論文を書こうとした学生に対して「豚に歴史がありますか」と問うたエピソードなども知られる。ただし、こういった逸話の信憑性については確認できないものが多く、戦争前後での平泉に対する評価の急変を示す一つの好例となっているのも事実である。
[編集] 参考文献
- 平泉澄校訂『泰澄和尚伝記』 白山神社 昭和28年（1953年）11月
- 司馬遼太郎『街道をゆく18・越前の諸道』 朝日文庫 昭和62年（1987年）2月
- 平泉洸増補『白山社の栞』 白山神社社務所 平成4年（1992年）
- 白山神社史編纂委員会編纂『白山神社史』 白山神社 平成4年（1992年）5月
- 平泉隆房監修『歴史漫画・白山平泉寺物語』 平泉寺町まちづくり推進協議会 平成19年（2007年）7月
