市川團十郎 (7代目)

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七代目市川團十郎（しちだいめ・いちかわ・だんじゅうろう、寛政3年（1791年） - 安政6年3月23日（1859年 4月25日））は化政期から天保にかけて活躍した江戸の歌舞伎役者。その奢侈によって天保の改革で江戸を追放されたことで有名。

幼名小玉。芸名は初代市川新之助、五代目市川ゑび蔵、七代目市川團十郎、その後再度五代目市川海老蔵を名乗り、江戸追放にあってからは成田屋七左衛門、幡谷重蔵などともした。俳名は三升、白猿。そのほか夜雨亭、壽海老人、子福者、二九亭とも号した。

寛政3年（1791年）、江戸生れ。母は五代目市川團十郎の次女すみで、生後間もなく六代目團十郎の養子となる。同6年（1794年）、初代市川新之助の名で初舞台。2年後の寛政8年（1796年）には6歳にして『暫』を演じた。その後ゑび蔵に改名。

寛政11年（1799年）に六代目が急逝したため、寛政12年（1800年）、10歳にして七代目市川團十郎を襲名。文化3年（1806年）には祖父五代目も没し、劇壇の孤児となった團十郎は化政期の名優たちにもまれながら実力を伸ばしていった。豪快ななかに男くさい色気のただよう芸風であったらしく、市川家の家の芸である荒事をよくするほか、四代目鶴屋南北と組み『東海道四谷怪談』の伊右衛門のごとき役を演じて人気を取った。所謂「色悪」の役種を確立した人物である。

天保3年（1832年）、息子・六代目市川海老蔵に八代目を継がせ、五代目市川海老蔵を名乗る。このとき同時に歌舞伎十八番を定め、『歌舞妓狂言組十八番』なる摺物にした。さらに天保11年（1840年）、初代團十郎190年記念として『勧進帳』を初演するなど（松羽目物の嚆矢）、市川家の家門意識がつよく、荒事と深く結びついた歌舞伎市川流の整備につとめたことは七代目の功績のひとつである。

天保13年（1842年）、奢侈を禁ずる天保の改革に触れたとして、突如江戸南町奉行所から手鎖・家主預りの処分を受け、さらに江戸十里四方追放となる。これによって江戸の舞台に立つことが不可能となった七代目は、成田屋七左衛門と改名。一時成田山新勝寺に寓居したのち、静岡へうつり、さらに大坂へのぼって、京、大津、桑名などの芝居で活躍した。追放の直接の原因は、派手な私生活と実物の甲冑を舞台で使用したというものであったが単なる言いがかりに過ぎず、実際は天保の改革を推進する老中水野忠邦らが、改革の厳しさを江戸市民に見せつけるためのスケープゴートになったというのが本当である。

嘉永2年(1849年）の赦免によって翌年ようやく江戸に帰ったものの、團十郎としては異例なことに以後も旅芝居を多くつとめ、上方の舞台に多く立った。江戸のカムバック後、まだ無名の狂言作者二代目河竹新七（のちの黙阿弥）の才能を見出している。同7年（1854年）、長男・八代目團十郎が突如として自殺するという不幸に見舞われるなど、晩年は家庭的にめぐまれず、係累が多かったこともあっていさかいが絶えなかったという。安政5年（1858年）に久しぶりで江戸に戻り、翌年『根元草摺引』の曾我五郎を演じたのが最後の舞台だった。安政6年3月23日（1859年4月25日）没。享年69。

七男五女にめぐまれた子福者で、男子は順に八代目市川團十郎、堀越重兵衛（役者を廃業）、七代目市川海老蔵、市川猿蔵、九代目市川團十郎、市川幸蔵、八代目市川海老蔵。ほかに養子の四代目市川新之助。