山形蔵王温泉スキー場
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所在地 | ||||
山形県山形市蔵王温泉708-1 | ||||
標高 (標高差) |
1,661 m / 881 m ( 780 m ) |
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コース数 | 26 本 | |||
コース面積 | 186 ha | |||
最長滑走距離 | 9,000 m | |||
最大傾斜 | 38 度 | |||
索道数 | 42 本 | |||
公式サイト | zao-ski.or.jp/ |
山形蔵王温泉スキー場(やまがたざおうおんせん-)は、山形県山形市蔵王温泉に位置するスキー場。蔵王温泉の温泉街と共に発展してきた。単独のスキー場としては日本で最大の面積を誇るスキー場である。安比高原、アルツ磐梯と共に東北を代表するスキー場である。
最上部の樹氷原コースでは樹氷が見られることで世界的に有名。
目次 |
[編集] ゲレンデ
- 樹氷原コース…このスキー場の看板コースと言っても過言ではない。1~3月の最盛期には見事な樹氷が見られる。コースそのものは比較的平坦。ロープウェイ蔵王山頂駅から百万人ゲレンデを経由して横倉ゲレンデに至る場内最長コース。
- ザンゲ坂コース…ロープウェイ山頂駅から下る樹氷原コースの一部。コース幅が狭い上、アイスバーンになりやすいため、滑りにくい。このため上級コースに指定されている。
- 大平コース…南側の各ゲレンデ(中央ゲレンデやパラダイスゲレンデなど)から上の台方面へ下山するコース。
- 連絡コース…ユートピアゲレンデ方面から菖蒲沼ゲレンデへ至るコース。
- 高鳥コース…蔵王スカイケーブル終着駅付近から下り、ハーネンカムコースへ合流するコース。
- ハーネンカムコース…高速リフトがかかった、中・上級者向けコース。中身の濃い滑りが楽しめる。国際スキー連盟公認の競技コースで、各種競技会が行われる。
- 上の台ゲレンデ…「うわのだい」と読む。ベースセンター「ジュピア」からゲレンデに入場したときに、ちょうど真正面に広がる位置にある。下部は幅広の緩斜面で、初級者の練習場所になりやすい。また周囲には宿泊施設併設のレストランなども充実している。ゆえに混雑しがち。
- 竜山ゲレンデ…駐車場との連絡のために作られたゲレンデ。上の台の左にあり、人が混み合わない穴場的ゲレンデ。適度な中斜面はレッスンや中級クラスには快適なバーンである。また、ナスターレースを常設しており、タイムレースも楽しめる。
- サンライズゲレンデ…中森ゲレンデと上の台方面のアクセスに使われるゲレンデ。斜面は全体的に片側へ偏っており、またゲレンデの幅が広く距離もあるため、初級者から上級者まで幅広く楽しめる。リフトの反対側のゲレンデは前半から中盤にかけて急勾配になっているため、中~上級者向けとなっている。
- 中森ゲレンデ…中森第2リフトの中間駅に相当する当たりまでは緩~中斜面だが、中間駅より上は勾配がきつくなっており、中~上級者向けになっている。他のゲレンデから中森ゲレンデへ移動するには、サンライズゲレンデを経由して「かもしか大橋」を渡る、平坦な道筋しかない。
- ダイヤモンドバレー…比較的近年オープンしたゲレンデ。ケーブルカー終点・中央高原駅を降りてすぐの場所にある。傾斜は緩く、初級者も安心して滑走できる。混雑もほとんどない。
- 中央ゲレンデ…雪質が非常にいい。短いがいくつものコースに分かれているので飽きない。
- パラダイスゲレンデ…急斜面が連続する、上級者向けのゲレンデ。その昔、パラダイスゲレンデの急斜面をほぼ直滑降で滑り降り、大平コースを一気に抜けるというダウンヒル競技がおこなわれた。
- コタンゲレンデ…パラダイスゲレンデの脇に隣接するゲレンデ。緩~中斜面だが、強風が吹くことが多い。
- 菖蒲沼ゲレンデ…距離は短いが幅は広く、また斜度は緩く一定であるため、修学旅行生や初心者に広く利用されている。音楽がステレオ放送で流されている。
- ユートピアゲレンデ…架かっているリフトは連絡リフトの機能も兼ねているので混雑する。
- 百万人ゲレンデ…その名の通り大人数を収容できる幅広のゲレンデ(といっても実際には100万人収容できるわけではない)。斜面は中~急角度。
- 横倉ゲレンデ…最上部にはあまりにも有名な斜度MAX38度の横倉の壁がある。斜面の難易度以上に周囲からの視線がプレッシャーを与える。壁以外のゲレンデは初~中級者向け。人工降雪の雪質などにより雪がエッジに噛みやすく、切れのあるカービングターンを体験できる。
- 黒姫ゲレンデ…高速リフトが2つ架かり、快適なクルージングが楽しめる。設備も新しいので人気がある。
- 大森ゲレンデ…黒姫と共にできた新しいゲレンデ。横倉のカベに次ぐ大森のカベも魅力的。迂回コース以外、初級者には厳しい。斜面が山の南側に位置しているため、シーズンの終わりごろには雪が他の場所より早めに柔らかくなってしまう。
[編集] 施設
- ロープウェイ3基、スカイケーブル(4人乗りゴンドラ)1基、クワッド5基、トリプル3基、ペア27基、シングル2基
- 蔵王ベースセンタージュピア 蔵王センタープラザ 他レストハウス多数
- 駐車場(合計7000台)
- 蔵王ジャンプ台:FIS(国際スキー連盟)公認のスキージャンプ競技場。上の台ゲレンデと竜山ゲレンデに挟まれた場所に位置する。毎年FIS公認の大会が開催されている。
[編集] その他
- 中央→パラダイス、パラダイス→大平コースなど、ゲレンデ間の移動に長い歩き(スケーティング)を強いられることで有名。特にスノーボードの場合は歩きの時の負担が大きいため、下手すると移動だけで体力を使い切ってしまう。スノーボーダーは滑るエリアを特定して楽しむなどの工夫が必要であろう。
- 複数の索道会社によって運営されているため、会社間の利害対立が存在し、リフトの架かり方も非常に複雑である。そのため、移動のためにリフトを何本も乗り継がなければならない箇所が多い。例えば上の台のベースから樹氷原に行くには最低4本のリフトを乗り継がなければならない。その上、上に記したようなスケーティングの負担も加わるので、ゲレンデ間の移動回数は最低限にするのが望ましい。
- かつてスケーティングと並ぶ蔵王名物だったのがロープウェイの整理券を巡る争奪戦であった。特に蔵王ロープウェイ山頂線はかつて56人乗りの交走式で輸送能力が非常に低かった。にもかかわらず、スキー場の山頂に行く交通手段がこれ以外存在しないため、少ない整理券の枠に多くのスキーヤー、スノーボーダーが殺到し、ハイシーズンの土日には朝9時で整理券が無くなるという事も常態化していた(会社の樹氷見物のツアー客優先の姿勢がスキー、スノーボード目的の客の不満を助長させた側面も否定できない)。この状態を解消するため、山頂線が2003年12月に循環式のロープウェイ(通称「フニテル」)にリニューアルされ、輸送能力が大幅にアップしたため、整理券の発行は連休などの最混雑期を除いてほぼなくなった。しかし、山麓線では現在でも整理券を発行している(が、スキー客は大森、黒姫の高速リフトを使えば問題ない)。このことについては蔵王ロープウェイの項目も参照のこと。
- 観光オペレーション用の写真ではしばしば快晴の樹氷原が写されるが、樹氷の最盛期(1~2月)にあの状態になるのはせいぜい週1~2日がいい所で、悪天候が当たり前になっている(樹氷ができる位の気象条件だから、ある意味当然ではあるが)。樹氷シーズンに上部エリアに行く場合は万全の防寒対策(できればフェイスマスクも携行するのが望ましい)が必要である。バリエーション豊富なコース、上部エリアの軽い雪、情緒溢れ薬効高い温泉など、日本屈指のスキー場である。
[編集] 韓国人遭難事件
2005年3月、韓国からのスキー客5人がダイヤモンドバレー周辺で一時遭難し、捜索の末に救助されたが、韓国人客は実名報道や捜索依頼がないことを理由に(当時問題になっていた竹島領有権問題も理由に挙げていた)捜索費用の支払いを拒否。一行は実名報道されたことを理由に、損害賠償を請求する姿勢すらちらつかせた。その後肩代わりをするという男性が現れたりして、韓国向けの観光オペレーションを進めていた県、市、温泉街その他に大きな波紋を広げた。その後、2005-2006シーズンからはこれまでの日本語、英語の案内板に中国語、朝鮮語も書き加えることが決定している。