家業
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家業(かぎょう) とは、
- 同一の氏族や家系によって、世襲により、排他的・独占的に継承されている、特定の職業ないし伝統技能のこと。(伝統的な意味での家業)
- 近年では、家族経営により営まれている商売・事業を指すことや、実家が営んでいる商売のこと、を指すことが多い。(新しい意味での家業)
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[編集] 伝統的な意味での家業
以下は、特定の氏族や家系によって、特定の生業が、独占的に営まれている場合についての説明である。
[編集] 公的な官職や権限の私物化
11世紀から12世紀の日本では、次第に政治は腐敗し、律令制下の官制が事実上形骸化に向かいつつあり、(機会の平等とも呼べるものは失われ)本来公的なものであったはずの官職が私物化され、特定の氏族に委ねられるようになっていった。このような、特定の氏族による官職及び権能の排他的継承を「官司請負制」と呼ばれている。その特定の氏族にとっては、先祖代々授けられる官職・任務は「家業」として認識されるようになったわけである。 例としては、弁官局の小槻氏、外局における清原氏、検非違使庁における坂上氏や中原氏が挙げられる。
商工関係を司る官職を継承する家系では、自ら商業をすることをやめ、担当する業種の営業許可権を利用し、その業種の関係者の活動を支配することで、関係者から金品を得ることを以って業とするようになった。
[編集] 学問・文化
ある学問・技術などが、特定の氏族のみに帰属し、他の氏族が持たない場合があったが、そのような場合、その学問・技術などは、一代で終わらせてしまうのではなく、子孫が継承することで存続させるべできあるという観念が自然に発生した。学問・技術が、二代、三代、四代、、、と無事に継承された場合、特定の一族で継承される「家業」として定着するようになった。
文化の分野では、華道や茶道などの「道」と呼ばれるある種の技能体系が、やはり世代を越えて継承されるようになり、「家道」と呼ばれるようになった。これらの「道」の分野の世代間継承では、知識・技能(知的財産)それ自体だけでなく、権威性(ネームバリュー、ブランド、商標権)や、一門(弟子らの組織)と彼らを監督する権限(ある種の経営権)などが、ワンセットで子孫に継承されることになり、後の「宗家」や「家元」制度(ある種の永続的事業システムや法人システム)につながっていくことになった。
[編集] 新しい意味での家業
「家」(家族で行っている)「業」(商売、事業)を指す。その商売・事業が、世に広く行われていて何ら独占権が無い場合でも、また独占的に行われている場合でも、どちらでも「家業」と呼びうる。 親の世代の職業・事業とは無関係に自分一世代で行っている職業・商売・事業、と対比されて用いられている概念である。
[編集] 家族経営
(スタブ)
[編集] 家業を継承する者と新規に参入する者
商売・事業を新規に始める場合は、何らかの初期投資が必要となる。自身で起業する者は、その初期投資分をそれなりの重荷として背負うことになるのに対して、家業継承者は、既存のリソース(土地、店舗、設備、機材、等々)をそのまま活用することで、初期投資の重圧をそれなりに回避することが可能となる場合は多い。
もっとも、変化・進歩の激しい業界等では、既存のリソースが短期間で陳腐化・無価値化する場合もあり、さほどのメリットでもない場合もある。ケースバイケースである。
[編集] 実家の商売・事業と職業選択の自由
現在の日本において憲法上は職業選択の自由は保証されているが、必ずしも全ての人に、心理的なレベルでも、それが保証されているというわけではない。家業を継がない自由がどの程度あるのかは、各家族・一族ごとに、また兄弟構成、過去のいきさつ等々によっても、全く異なっている。
日本では近年、大学院・大学・専門学校等で専門的な教育を受け、それを活かし企業等の組織で仕事をする者の割合は多い。そのような場合、親が行っている商売・事業「家業」とは、何ら無関係な技能を身に着けて、それを活用する仕事をしている場合が多い。(もっとも「家業」に近接する専門教育を選ぶ者も多い)。 親の世代が引退したり、何らかの理由で他界した場合など、あるいはそれが予見される場合に、その時点で自身で行っている職業を継続するか、それとも「家業」を継承するかの選択をすることになることも多い。