家族の肖像 (映画)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
家族の肖像 Gruppo di famiglia in un interno |
|
監督 | ルキノ・ヴィスコンティ |
---|---|
製作 | ジョヴァンニ・ベルトルッチ |
脚本 | ルキノ・ヴィスコンティ スーゾ・チェッキ・ダミーコ エンリコ・メディオーリ |
出演者 | バート・ランカスター ヘルムート・バーガー |
音楽 | フランコ・マンニーノ |
撮影 | パスクァリーノ・デ・サンティス |
編集 | ルッジェーロ・マストロヤンニ |
公開 | 1974年12月10日 1978年11月25日 |
上映時間 | 121分 |
製作国 | イタリア フランス |
言語 | 英語・イタリア語 |
allcinema | |
Variety Japan | |
IMDb | |
『家族の肖像』(かぞくのしょうぞう、Gruppo di famiglia in un interno/Conversation Pierce、)は、ルキノ・ヴィスコンティ監督による1974年のイタリア映画・フランス映画。キネマ旬報ベストテン1位。
孤独な老教授(最後まで名前は明かされない)と、新世代の若者たちとの交流を描いたヴィスコンティの代表作。原題の『Coversation Pierce』とは、18世紀イギリスで流行した「家族の団欒を描いた絵画」のこと。撮影は全て教授のアパルトマンのセットの中で行われ、これは教授の閉ざされた内的世界の表現であると共に、血栓症で倒れたヴィスコンティの移動能力の限界でもある。日本公開はヴィスコンティの死後、1978年のことだったが、大ヒットを記録した。
[編集] キャスト
- 教授:バート・ランカスター
- ビアンカ:シルヴァーナ・マンガーノ
- コンラッド:ヘルムート・バーガー
- リエッタ:クラウディア・マルサーニ
- ステーファノ:ステーファノ・パトリーツィ
- エルミニア:エルヴィラ・コルテーゼ
- ミケーリ弁護士:ロモーロ・ヴァッリ
- 教授の母親:ドミニク・サンダ
- 教授の妻:クラウディア・カルディナーレ
[編集] ストーリー
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
老教授(バート・ランカスター)はローマのアパルトマンで絵画の収集・研究をしながら、管理人のドメニコと家政婦のエルミニアと共に静かに暮らしていた。そこへビアンカ(シルヴァーナ・マンガーノ)とその娘リエッタ(クラウディア・マルサーニ)およびリエッタの同居人ステーファノ(ステーファノ・パトリーツィ)、そしてビアンカの愛人コンラッド(ヘルムート・バーガー)がやってきて、上階を貸してくれるように頼みに来る。教授は静かな生活が壊されることを恐れて断るが、しつこく頼まれて仕方なくコンラッドを住ませることになった。
教授はあまりにも価値観の違う若者たちの行動に気がめいる思いだったが、コンラッドが類まれなる芸術の理解者であることを知って興味を覚える。コンラッドはかつては学問好きの青年だったのだが、過激な左翼思想に傾倒して学業を中断し、今は昔の仲間に追われていた。ビアンカの夫は実業家で、ファシズムを支持する右翼の過激派と通じていた。
ある晩、教授は心を開いて彼らを夕食に誘ったが、ビアンカの夫の話になったのがきっかけで口論になり、ステーファノとコンラッドが思想的立場の違いから激しく対立して取っ組み合いの喧嘩になり、教授はなす術もなく、コンラッドは立ち去ってしまった。教授は「家族ができたと思えばよかった」と、今までの自分の態度を悔やんだ。翌日、コンラッドは教授に手紙を残して上階で爆死した。教授はショックで寝込んでしまい、やがて息を引き取った。
[編集] 解説
- イヴァ・ザニッキの『Testarda io』やモーツァルトの交響曲が音楽として使われている。
- リエッタが引用する詩句「There's no sex life in the grave(墓場にベッドは持ち込めない)」は、W・H・オーデンの詩。