客殿 (大石寺)

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1465年、第9世日有の代にはじめて建立され、以来、折に触れて再建されている。現在の建物は1998年春、第67世日顕の代に建立された。

客殿には開山・日興が書写し、大石寺創建時に日目に授与した「御座替り御本尊」（当初は原本の紙幅本尊が安置されていたが、御宝蔵に収蔵し1706年に現在安置の板本尊を模刻）が安置され日蓮の肖像画が本尊に向かって左側、日興の肖像画が本尊に向かって右側に安置されている。

客殿の大導師席は内陣前方の左側に東向きで配置されている。三祖日目の席とされ、衆生を下種三宝尊に取り次いでいるという意味がある。ただし、唱題行の際は法主自身が修行するという意味で常設の大導師席には着座せず、内陣中央に正面向きで用意された特設の大導師席に着座して勤める。大導師席の左側には丑寅勤行の際に法主が本尊を遥拝するための遥拝所が設けられている。
前法主が着座する隠居席は内陣前方の右側に大導師席に向かい合う形で設けられる。

客殿では毎朝午前2時30分からの丑寅勤行のほか、歴代法主の座替り式や葬儀、年忌法要、盂蘭盆会や彼岸会など故人の追善供養のための法要が営まれる。この他、法主の大導師による唱題行や法主の講義、各種指導会も客殿で行われる。
特別法要に関しては、御影堂収容人員の関係から最近は客殿で執り行われ、2002年の宗旨建立750年記念の一連の大法要も客殿で執り行われた。

[編集] 大客殿

大客殿は1964年春、第66世日達の代に創価学会を代表し当時、法華講大講頭の池田大作会長願主により「本門大客殿」として再建された。完成法要の際、日達より池田会長の篤き外護の精神・功労に対して、故戸田城聖二代会長以来の「法華講総講頭」に任命された。安置本尊は現在の客殿と同一で、大導師席の配置もほぼ同じであった。

建物は当時としての最新土木建築技術により、鉄筋コンクリート5階建てで、1階はピロティー、2階は下足室、3階は5階まで吹き抜けの630畳の大広間だった。構造は鉄筋コンクリート二重シェル構造、11,500ｔの屋根を四隅の空洞の柱で支えるものだった。地震に対しての強度も震度8でも充分耐えられるよう設計された。大客殿は、完成した昭和三十九年度の日本建築学会賞、さらに翌年、建築業協会賞に輝いた誇るべき建造物であった。

設計は後に正本堂を設計した横山公男。建設準備にあたっては、創価学会戸田城聖二代会長の「世界で最高の資材を使いなさい」という言葉通り、池田会長は日達法主を伴い、海外に視察し諸国より建設資材として大理石やカナダ・ヒマラヤ杉・コンクリートの砂にはガンジス河の砂を使用した。ピロティーのホール壁面には見るも勇壮な気持ちになる陶壁「鳳鳳」が飾られていた。（高さ三メートル、幅十二メートルの大作）

これは日本画壇の最高峰・加山又造氏が下絵を描き、陶芸家・加藤唐九郎が制作したという現代日本を代表する芸術家の合作だった。大客殿広場には噴水が設置され、参拝者をなごませたと言われる。側には日興上人由来の「説法石」や日淳上人が戸田会長を偲んで詠んだ詩が刻まれた石碑があった。

創価学会破門後の1995年1月の阪神・淡路大震災を契機に建設関係者による耐震診断が行われ、東海地震が発生した際に倒壊の危険性が大きいことを指摘され、同年9月に本尊を大講堂へ遷座、大客殿を解体し現在の客殿の建て替えに踏み切った。しかし、実際は阪神・淡路大震災クラスの地震には「通常の建物劣化による耐震補強で充分」との専門家の意見が日顕および宗務院に報告されていたとも言われ、創価学会や池田大作に対する立場から、それを無視して、あえて解体したとされる。