大谷口上町
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大谷口上町(おおやぐちかみちょう)は、東京都板橋区南部に位置する町名。南側に中野通りがあり北側で国道254号にはさまれている。日本大学医学部付属板橋病院が町の半分を占め、ほかは住宅地となっている。 地形は旧千川上水に近い高台と、石神井川に向かった崖地に分けられる。
[編集] 大谷口上町住宅改良計画
かつて千川上水の漏水を水源とする溜池が板橋病院南西側にあった。戦争後復員してきた人が溜池を埋め立て戦後の混乱期(おおむね昭和28年頃までとされている)で水道設備どころか住居も十分普及しておらぬ現状の中、ため池の水源で代用する結果となり、狭い一帯に多くの住居が乱立していた。
道路付けも認められず、おおよそ150戸の住宅は人一人が通行できる程度の狭い通路で連絡されている。当然緊急車両の進入は不可能である。この状態のまま50年以上建物が存立し当初は法律上の原因なくして土地に住み始めた入居者も時効により権利を取得完了している。
建物の修理すら工作車両が乗入れられず困難である。防災上また防犯上非常に問題を抱える地域であったことから最近になって漸く(平成17年頃)地元板橋区・東京都・国土交通省が改善にのり出している。工事が進まなかったのは平穏を望む地権者の同意を得ることが難しかったからである。
板橋区は住宅地区改良法により国の協力を得て、旧来の住宅を整理解体して新たな集合住宅を日本大学医学部付属看護専門学校付近に建設している。東京都では中野通りの拡張工事に伴い周辺の狭小住宅を補償しながら整理している。地形が窪地で特徴的であり、都心に比較的近い条件ながら最近まで古い住宅が残存していたことに都市計画・住居形成上多くの関心を惹いており、各インターネットサイトや論考上引用されている。
現在では中野通りに近い酒小売店の北側からすぐ巨大な谷底が見渡せ、旧住宅の解体工事は終了し住宅改良計画が進行している。