大戦略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『大戦略』(だいせんりゃく)は、1985年にシステムソフトより発売されたパーソナルコンピュータ(PC-9800シリーズ)用ゲームソフト『現代大戦略』を祖とするウォー・シミュレーションゲームのシリーズである。
ウォー・シミュレーションゲームの定番として、パソコンや家庭用ゲーム機向けに多数の製品が発売されている。
2007年現在は、システムソフトより分社したシステムソフト・アルファーが版権を所有しているが、家庭用ゲーム機ではライセンスを取得した別メーカーから移植版が発売されることが多い。
目次 |
[編集] 概要
一般的なウォーシミュレーションはマップ上にあらかじめ布陣されたユニットを用いるが、大戦略シリーズはユニットの生産を行える点が特徴となっている。
六角形のマス(ヘックス)で区切られたマップを自軍本拠地周辺で生産した兵器ユニットで制圧し、敵軍の本拠地を制圧すれば勝利となるのが基本ルール。各兵器には相性があり、戦車には対地攻撃機を、対地攻撃機には戦闘機を、戦闘機には対空車両を……といった具合に相性のいい兵器を敵にぶつけるのが勝利への鍵である。大戦略と銘打っているが、ゲーム内容は戦術級に近い。
初代である『現代大戦略』の時点で各ユニットに経験値というパラメーターが存在しており、同じ種類のユニットでも生産されたばかりの新兵より、戦闘をこなしてレベルアップした歴戦のユニットのほうが能力が高くなる。これは後に登場したシミュレーションRPG(ウォー・シミュレーションとコンピュータRPGの結合)という新ジャンルへの布石となったと考えられる。
シリーズ初期のものは陣営ごとに順番にユニットを動かすターン制を採用していたが、後にはマップ内の全ユニットが時間経過にしたがって同時に行動するセミリアルタイム制を採用しているものも出現した。また初期のものはいわば神の視点でプレーヤーがマップの全域を見て敵の布陣を知ることができたが、後には索敵の概念も導入された。
パソコン版はメインシリーズの新作が出るたびに新システムが投入され、よりマニアックな方向へと進化しているが、パソコン版の第1作や第2作のシンプルなシステムを受け継いだ初心者向けのシリーズも同時に出すことでユーザー離れを防ごうとしている。これは裏返せば、コンシューマゲームの分野ではキャラクター性の高いシミュレーションRPG、パソコンゲームの分野ではリアルタイム性が高くオンラインでの対戦が充実しているリアルタイムストラテジーに人気が移行しており、かつてのように大戦略がシミュレーションゲームの代名詞として話題に上ることが少なくなったことの証左といえる。コンシューマー移植版は基本的に初心者向けのシステムを採用している。
基本的には現代の兵器による架空戦がテーマになっているが、第二次世界大戦をテーマにしたもの(『アドバンスド大戦略』シリーズ、『大戦略 大東亜興亡史』シリーズ)や、剣と魔法のファンタジー世界をテーマにしたもの(『マスターオブモンスターズ』シリーズ)、アドベンチャーゲームと組み合わせたもの(『サイバー大戦略 出撃!はるか隊』)など様々なバリエーションが存在する。
発売当初はマップの縮尺と部隊の移動速度が対応していなかったり(例えばF15戦闘機の移動速度が歩兵のたった5倍に過ぎないなど)、生産のペースが現実的でないといった部分を「“シミュレーション”とは言えない」との意見もあったが、「シミュレーション」ではなく「シミュレーションゲーム」であるためか現実性よりもゲームバランスを重視したデザインとなっている。実際問題として、ウォー・シミュレーションゲームが一般化して以降はそのような声は聞こえなくなった。
[編集] アイランドキャンペーン
初代『現代大戦略』に収録されたマップ「アイランドキャンペーン」は、その後のシリーズでも繰り返しリメイク収録される大戦略の代表とも言えるマップとなった。
海に浮かぶ架空の島の北東と南西に位置する2勢力の戦いがテーマで、細くくびれたひょうたん型の島の中央部分で両軍の戦力が集中し、激しい戦いが繰り広げられることになる。
[編集] シリーズ
[編集] パソコン
DOS版およびナンバー大戦略シリーズ
- 現代大戦略(1985年11月)
- 一つの陣営内で兵器の国籍が混在、陸・空のみで海は無し。
- 大戦略88 / 大戦略FM / 大戦略X1(8bit機向け)
- 大戦略II(1987年3月)
- ターン制。マップによっては4ヶ国対戦が可能。各陣営は国籍・兵器を統一。艦船(ヘリ空母、護衛艦、揚陸艦)・間接射撃のユニットを導入(空対空ミサイル、地対空ミサイル、自走榴弾砲、ロケット砲、対艦ミサイル等。命中率は飛距離により変化し、自走榴弾砲、ロケット砲に至っては隣のヘックスへ誤爆することがある。そのため味方に被害を加えることもある)。戦闘は攻撃側→守備側と言う固定の攻撃処理から、敵味方同時攻撃に変更。工兵ユニットによって都市の耐久度を回復したり、橋を架けたりできた。部隊合流による方法でしか機体を補充できないため、経験値が溜まりにくい。
- キャンペーン版大戦略II(1989年12月)
- どちらかと言うとスーパー大戦略に近いシステム。
- スーパー大戦略(8bit機向け)
- 攻撃方法毎に定められた優先攻撃式に改良された。例えば、爆撃機で対空ミサイル車両を爆撃した場合、必ず対空ミサイル車両のミサイル攻撃が優先される。正規の国以外に新型兵器ばかりで構成された陣営を選択できた。また、自分の好みの兵器を集めた陣営を作成することが可能。88版の売れ行き好調により、「スーパー大戦略98」としてPC-9801VM以降用に発売された。
- 大戦略III(1989年6月)
- 大戦略III'90(1990年10月)
- プログラムがC言語で書き直され、動作速度が劇的に向上した。
- 大戦略IV(1992年6月)
- 軍団制を導入し戦闘中の兵器生産が無くなる。ゲーム進行は前作に続きリアルタイム。後年、追加データ集などが発売される。
- 現代大戦略EX (1993年7月)
- ターン制に戻り、初心者にもプレイしやすくなった。スカッドミサイル等の弾道ミサイルが追加。
- 空軍大戦略 (1994年3月)
- 戦略爆撃機による敵国家攻撃をテーマとした派生作品。攻撃目標が民間人の居住する都市という題材が生々し過ぎたのか商業的には失敗し、その後、続編も製作されていない。DOS版最後の大戦略。
- 大戦略V(1996年3月)
- 軍団レベルを指揮する戦略マップと、部隊レベルを指揮する戦術マップが採用された。戦略マップ上ではリアルタイム方式、戦術マップ上ではターン方式でゲームが進行された。
- 大戦略V DX(1996年12月)
- システムが若干改修され、コンピュータの思考ルーチンが強化された。
- 大戦略VI(1999年12月24日)
- リアルタイム制。これまで「部隊」と呼ばれた兵器ユニットの集合体は「小隊」となり、最大6つの小隊から構成された混成部隊を単位にゲームが進行された。
- 大戦略VI インテグラル(2001年2月)
- 生産タイプ数および兵器データの増加。
- 大戦略VII(2001年12月20日)
- ターン制。戦場マップに階層(高度)の概念を導入され、フルポリゴングラフィクスによる戦場マップの3D表示が可能になった。
- 大戦略VII DX(2002年9月)
- マップと兵器データの増加。生産タイプの編集機能の追加。思考ルーチンの強化。
- 大戦略VIII(2006年3月30日)
- リアルタイム制。6角形のヘックスが消え、正方形のブロック制が採用された。兵器、地形がフルポリゴンで作成された。
「大戦略 for Windows」シリーズ
- 大戦略 for Windows(1995年9月)
- 初のWindows版大戦略。
- 大戦略WIN II(2000年10月)
- 兵器データおよびマップデータの追加。マップエディタと生産タイプエディタを搭載。
- 大戦略WIN III(2008年2月8日)
- 「大戦略パーフェクト」シリーズと同じ画面デザインとなった。
「現代大戦略」シリーズ
- 現代大戦略2001 ~海外派兵への道~(2001年11月15日)
- 現代大戦略2002 ~有事法発動の時~(2002年10月25日)
- 現代大戦略2003 ~テロ国家を制圧せよ~(2003年10月24日)
- 仕様は大戦略パーフェクト1.0とほぼ同様。
- 現代大戦略2004 ~日中国境紛争勃発!~(2004年10月29日)
- 仕様は大戦略パーフェクト2.0とほぼ同様だが、兵器エディタは付属しない。国境線、地雷、機雷の概念を導入。
- 現代大戦略2005 ~護国の盾・イージス艦隊~(2005年11月18日)
- 大戦略パーフェクト2.0DXの仕様に、ビジュアルマップモードの機能を追加。兵器エディタは付属しない。
- 現代大戦略2007 ~テポドン・核施設破壊作戦~(2006年12月14日)
- 現代大戦略2008 ~自衛隊参戦・激震のアジア崩壊!~(2007年12月27日)
「大戦略パーフェクト」シリーズ
- 大戦略パーフェクト1.0(2003年3月20日)
- シリーズで初の選択式ルールを採用。マップサイズは最大128×128ヘックス。最大8ヶ国が参戦可能。マップエディタと生産タイプエディタが付属する。奇しくも、イラク戦争開戦日に発売された。
- リアルタイム版大戦略パーフェクト1.0(2004年2月27日)
- 大戦略パーフェクト1.0をリアルタイム方式にしたもの。
- 大戦略パーフェクト2.0(2004年6月25日)
- 大戦略パーフェクト1.0の仕様に加え、兵器エディタを付属。マップサイズが最大256×256ヘックスになった。
- 大戦略パーフェクト2.0DX(2005年3月31日)
- 現代大戦略2004と同様、国境線、地雷、機雷の概念を導入。マイ部隊の機能を追加。兵器エディタが付属する。
- 大戦略パーフェクト3.0(2008年3月14日)
- 地形エディタが搭載され、思考ルーチンおよび通信対戦機能が強化された。
その他の大戦略シリーズ
- 大戦略マスターコンバット(1997年2月)
- 大戦略マスターコンバット2(1998年4月23日)
- 大戦略 大東亜興亡史 ~ニイタカヤマノボレ一二〇八~(2005年1月28日)
- 大戦略センチュリオン(2006年6月15日)
- 大戦略 大東亜興亡史2 ~トラ・トラ・トラ ワレ奇襲ニ成功セリ~(2006年8月11日)
[編集] コンシューマー
- 大戦略(ファミリーコンピュータ、1988年10月11日、ボーステック)
- スーパー大戦略(メガドライブ、1989年4月29日、セガ)
- スーパー大戦略(PCエンジン、1990年4月27日、マイクロキャビン)
- 大戦略(ゲームボーイ、1991年6月12日、ヒロ)
- アドバンスド大戦略 ドイツ電撃作戦(メガドライブ、1991年6月17日、セガ)
- 対戦型 大戦略G(ゲームギア、1991年9月28日、システムソフト)
- キャンペーン版 大戦略2(PCエンジン、1992年5月29日、マイクロキャビン)
- 大戦略エキスパート(スーパーファミコン、1992年9月25日、アスキー)
- ワールドアドバンスド大戦略 ~鋼鉄の戦風~(セガサターン、1995年9月22日、セガ)
- ワールドアドバンスド大戦略 ~作戦ファイル~(セガサターン、1996年3月15日、セガ)
- 大戦略 ~プレイヤーズスピリット~(プレイステーション、1996年3月29日、OZクラブ)
- ADVANCED WORLD WAR ~千年帝国の興亡~(セガサターン、1997年3月20日、セガ)
- 大戦略エキスパートWW2(スーパーファミコン、1997年8月30日、アスキー)
- 大戦略 -ストロング・スタイル-(セガサターン、1997年6月27日、OZクラブ)
- 大戦略 マスターコンバット(プレイステーション、1998年12月3日、OZクラブ)
- サイバー大戦略 出撃!はるか隊(プレイステーション、1999年2月4日、システムソフト)
- アドバンスド大戦略 ~ヨーロッパの嵐・ドイツ電撃作戦~(ドリームキャスト、2000年6月22日、セガ/システムソフト)
- アドバンスド大戦略2001(ドリームキャスト、2001年4月26日、セガ)
- 大戦略 For ゲームボーイアドバンス(ゲームボーイアドバンス、2001年12月7日、メディアカイト)
- 大戦略1941~逆転の太平洋~(プレイステーション2、2002年09月26日、サミー)
- 大戦略VII(Xbox、2003年05月29日、クールキッズ)
- スタンダード大戦略 電撃戦(プレイステーション2、2004年11月11日、サミー)
- スタンダード大戦略 失われた勝利(プレイステーション2、2005年6月2日、セガ)
- 大戦略ポータブル(プレイステーション・ポータブル、2005年12月22日、元気)
- セガエイジス2500シリーズVol.22アドバンスド大戦略 ドイツ電撃作戦(プレイステーション2、2006年2月23日、セガ)
- 大戦略DS(ニンテンドーDS、2006年5月25日、元気)
- 大戦略VIIエクシード(プレイステーション2、2006年12月14日、システムソフト)
- 大戦略ポータブル2(プレイステーション・ポータブル、2006年12月14日、元気)
- 大戦略VII EXCEED(プレイステーション・ポータブル、2008年5月22日、システムソフト)
[編集] PDA
- 大戦略 for palm (PalmOS ver3.5機、2002年4月5日、イーフロンティア)
[編集] 関連項目
- 萌え萌え2次大戦(略) - ストーリー性と萌え要素を付加した作品(2007年12月予定)。