マスターオブモンスターズ
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『マスターオブモンスターズシリーズ』は、1988年にシステムソフトより発売されたパーソナルコンピュータ(PC-8800シリーズ)用ゲームソフト『マスターオブモンスターズ』を祖とするファンタジーウォー・シミュレーションゲームのシリーズである。
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[編集] 特徴
システムソフトの看板作である現代戦ウォーシミュレーションゲーム『大戦略』の派生作であり、ヘックスにより構成されたマップ中において、モンスターを召喚し戦力とし、敵マスターを撃破することを最終目標とするファンタジー・ウォーシミュレーションゲームである。
シリーズの原型としては、大戦略のファンタジー版ともいえる「ファンタジーナイト」(1987年11月発売、PC-98用)が存在する。大戦略のユニットをファンタジーに登場する騎士やドラゴン等に置き換えたものであり、大戦略と同様に10ユニットからなる部隊(ミドルドラゴンやラージドラゴンといった一部のユニットにはレベルアップして巨大な1部隊1ユニットになるものがあった)を駆使して敵領地を占領するゲームであった。
PC-8800シリーズ版マスターオブモンスターズは以下の特徴を備えているゲームであった。
- モンスターを従える「マスター」という将棋の王将的なユニットが設定された。このユニットのHPが0になるとゲーム終了である。移動は城郭のみに限定され、移動速度は3である。HP及び魔法は強力であるが、格闘は弱い。
- マスターには、ウォーロック、ソーサラー、ウィザード、ネクロマンサー、サモナーの5種類から選択。
- マスターは自身で攻撃するほかに、大魔法という特殊コマンドで敵を攻撃・味方を治癒することが可能。
- モンスターは1部隊10ユニットではなく、1部隊1ユニットとなった。かわりにHPが設定されている。HPは塔またはマスターの大魔法で回復可能。攻撃力は攻撃力×回数として設定され、ユニットには一発屋/小技使いなどの特徴が付けられることとなった。
- モンスターは塔の数と同数(マスターも含めて+1)しか召喚できない。ただし塔の数が必要なのは召喚時だけで、召喚した後に塔を奪われても問題はない。
- マスター及びモンスターには、「LAW」、「NEUTRAL」、「CHAOS」という属性が設定された。また、HP(ヒットポイント)、MP(マジックポイント)、INT(知力)、AG(敏捷度)がパラメータとして設定された。また、ファンタジーならではの特殊能力を持つモンスターも設定された(レイス:格闘・飛び道具により受けたダメージは全て1となる。フェニックス:1回の戦闘でHPを0にしないと戦闘終了後すぐにHPがフル回復する。ゴーレム:魔法によるダメージが軽減される、等)。
- モンスターの攻撃方法として第一装備(格闘)、第二装備(魔法または飛び道具)が設定された。格闘・飛び道具の攻撃成功率はAG(敏捷度)と地形効果によって左右された。魔法攻撃の成功率はINT(知力)により左右された。攻撃側が選択した装備に該当する装備が防御側にない場合には反撃することが出来なかった。例えば第一装備(格闘)しか持たないクラーケンの場合、エンジェルの第二装備(ホーリーサンダー)に対して反撃が出来ない。
- 時間帯の概念(朝、昼、夕、夜)が導入され、属性「LAW」のモンスターは昼に攻撃力が上昇し夜間に攻撃力が下がる。「CHAOS」はその逆である。「NEUTRAL」はどの時間帯でも同程度の攻撃力を発揮できる。
- 1ターンに1回、MPを40消費して精霊(ファイヤー、ウォーター、アース、エアー)を呼び出して敵ユニットを攻撃可能。めったにないことだが、いずれの精霊も全ての攻撃が成功すれば30程度のダメージを与える。
- モンスターは一定経験値が貯まると進化した。進化すると、進化前のモンスターは召喚できなくなるので注意が必要。
- 敵のターンでは敵ユニットの移動は表示されず、戦闘シーンのみ表示された。
- 視界の概念があり、双方のモンスターが接近しないと存在を確認できない。
- ゲーム中のBGMは無し。効果音のみ再生される。
- マスターは毎ターン、MPが50~100ポイント回復する。この量はマップ、難易度で決定される。
- 全8マップを戦い抜くキャンペーンモードを搭載。新キャンペーン&マップ集も発売された。
- 余談だが、一部機種ではスーパー大戦略とマップデータの互換性が有り、読み込む事が一応可能。
88版の売れ行きが良かったため、PC-9800シリーズにも移植された(1989年9月)。98版の特徴は以下のとおり。
- ユニットの戦闘シーン用グラフィックが向上した。(88版は陣営色単色による表現)
- キャンペーンシナリオが追加された(使用可能なマスターはウォーロックのみ)。
- 3段階目の進化をするユニットが登場した(ドラゴン(LAW)→ラージドラゴン(LAW)→ファイヤードラゴン→キングドラゴン)
- モンスターが進化しても召喚できる種類はそのまま。キャンペーンシナリオではモンスターそのものを引き継ぐようになった。
8ビットパソコンの衰退により、以降は9801シリーズ、Windows用ゲームとして制作された。
[編集] 以降のシリーズ
- マスターオブモンスターズ2(1991年3月)
- 初代は一定経験値が貯まるとすぐに進化したが、本作からまずはレベルアップ(HPの増加)があり、数段階のレベルアップの後に進化するようになった。さらに、マスターもレベルアップする設定となった。装備アイテム、回復アイテム等も導入され、ゲームの幅が広がった。これらのアイテムは、装備している敵モンスターを倒して奪ったり、塔占領時にランダムで発見することができる。精霊の概念が消滅した。支配力の概念ができ、召喚しすぎたり、頭の良すぎるモンスター、相性の悪いモンスターを召喚しておきながら十分な支配力を保てないとモンスターが中立軍に裏切る可能性がある。
- マスターオブモンスターズファイナル(1992年12月)
- 選択肢等によりLAW/NEUTRAL/CHAOS/全てに敵対 の4ルートに分岐するようになった。また、マスターに種族の概念が導入され、種族ごとに固有のイベントが発生するようになった(イベントによっては、ルートが限定されるものもある)。前作ではマスターが塔にいないと支配力が回復しなかったが、今作ではどこにいても占拠した拠点に比例して支配力が回復するため、戦術の幅が広がった。ただし、味方ユニットとして配置できるのはマップ間であらかじめ召還したユニットだけのため、召還するユニットによっては難易度が極端に上下することとなった。一定の敵または中立ユニットは、特定の手順で味方に引き入れることができ、更に一部のユニットについては専用のイベントが用意されていた。ごく一部のアイテムについては、その専用イベントによってのみ入手可能なものもあった。
- マスターオブモンスターズ魔道王の試練(1997年3月)
- マスターオブモンスターズ2をWindows用にリメイクしたもの。基本的な内容は同じだが、塔の位置や数が変更され、一回の戦闘あたりの取得経験値が1から3にアップしたため、マスター、ユニットともにレベルアップしやすくなった。反面、長期シナリオの後半では支配力(マスターのINTに依存)が頭打ちとなり、配置するモンスターを厳選しなければならないこともあった。
- マスタージアーク(1997年12月)
- 真マスターオブモンスターズ Final(1999年10月)
- Windows95/98用。グラフィックの書き換え、操作性の改善、バグの対策などがなされた。Windows2000以降でも、互換モード等を使用すればプレイは可能である。ただし動作保証外につき、環境によってはウェイト(プログラミングにおいて、意図的に処理を遅くする処理。)処理が安定しなくなる。
- マスターオブモンスターズIII
- Windows98以降対応。ゲーム画面はDirectXによる全画面。地形に高さの概念が導入され、鳥瞰図で表現される様になった。特殊なスキルを持つモンスターが非常に多くなり、基本的な展開は、数を頼みの肉弾戦から、まるで将棋の様な綱渡りの頭脳戦となった。この点は好みの分かれる所であろう。今作からは召喚ゲートの概念が導入された。マップ開始時には(例外はあるが)弱いモンスターしか召喚できないが、ターンが進むにつれゲートが拡がり、強いモンスターを召喚できる様になる。すなわち、強いモンスターだけで軍団を編成すると、各マップの序盤が立ちゆかないこととなる。これに付随し、今作からはモンスターを「進化」させるだけではなく「特化」させる事も可能となり、進化させず召喚コストの低いままモンスターを強化していく事が可能となっている。また、新しい系統のモンスターの召喚や大魔法の修得には、マスターをレベルアップさせ、ポイントを割り振り、技能を開発していく必要が有る。
- マスターオブモンスターズ4~光と闇の争覇~
- 基本的なシステムはIIIと同様。ストーリー性が重視され、3人のマスターを交代で使って前進していく形態となっている。
- マスモンKIDS
- マスターオブモンスターズ(PCエンジン版)(1991年2月15日)
- マイクロキャビンより発売。オリジナルとはモンスターの進化が異なる、精霊の攻撃が格闘攻撃となっていて反撃されやすいなどの違いがある。
- マスターオブモンスターズ(メガドライブ版)(1991年7月26日)
- マスターオブモンスターズ~ネオジェネレーションズ~(1996年10月26日)
[編集] その他
シリーズ当初はパソコンゲーム全盛時であり、かつ家庭用ゲーム機の能力が低かったため、ソフトの売れ行きも好調であったが、家庭用ゲーム機の性能アップに伴いファイアーエムブレム等の良質なファンタジー・ウォーシミュレーション(厳密に言えばシミュレーションRPGに分類される)が登場することにより、本シリーズの人気も低下していった。ファイアーエムブレム等のソフトでは、核となる戦闘シーンを多彩なエフェクトで表現していたが、本シリーズはシリーズが進化するにつれて非常に戦闘シーンの表現が貧弱(もちろんグラフィックの色数やきめ細かさなどは進化したが、効果音・アニメーションに迫力がなかった)であった。
本シリーズの原型といえるファンタジーナイトも、ファンタジーナイト2としてウィンドウズ版が制作された。