夢工場ドキドキパニック
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ジャンル | アクションゲーム |
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対応機種 | ファミリーコンピュータ ディスクシステム |
開発元 | 任天堂情報開発部 |
発売元 | フジテレビジョン |
人数 | 1人 |
メディア | ディスクカード(両面) |
発売日 | 1987年7月10日 |
価格 | パッケージ版:2,980円 (税抜) ディスク書き換え:500円 (税込) |
売上本数 | パッケージ版:約29万本 ディスク書き換え:約32万回 (1989年時点)[1] |
『夢工場ドキドキパニック』(ゆめこうじょうドキドキパニック)は、1987年7月10日にフジテレビジョンから発売された、ファミリーコンピュータ ディスクシステム用のアクションゲームである。開発は任天堂が行った。
目次 |
[編集] 作品解説
1987年当時、フジテレビを始めとしたフジサンケイグループは博覧会に類似したイベント「コミュニケーションカーニバル 夢工場'87」を東京と大阪で同時開催し、これと関連した24時間テレビ『一億人のテレビ夢列島』や各種広報番組の放送、バンド夢工場、アイドル夢工場のデビューなど様々なメディアミックス展開を繰り広げた。
夢工場ドキドキパニックもその一環のタイアップ商品として開発・発売された。ゲームの主人公にはイベントのキャラクター「イマジンファミリー」を採用し、当時ファミリーコンピュータの主要ユーザーであった子供達に対するイベント夢工場の周知を図った。ゲーム誌では『スーパーマリオブラザーズ』開発スタッフによる新作ゲームとして紹介された。エンディングのスタッフクレジットでは宮本茂、手塚卓志、近藤浩治、田邊賢輔らのあだ名を見ることができる。テレビ局と玩具会社による珍しいタイアップ、マリオスタッフ制作の実績、ゲーム内容への評価から、当時のディスクシステム所有者間の知名度は高かった。
パッケージ版にはフジテレビと任天堂のタイアップを象徴する特典として、互いに手を組んだイマジンとマリオのイラストシールが封入された。さらにイマジン、リーナ、マリオ、ピーチ姫をデザインしたテレホンカードが当たる懸賞も実施された。
アメリカ合衆国やヨーロッパなど日本国外では、主人公をイマジンファミリーからスーパーマリオブラザーズのキャラクターに変えて『SUPER MARIO BROS. 2』として販売された。さらに、この変更版は日本国内でも『スーパーマリオUSA』の題名で1992年に市販された。
[編集] システム
縦横スクロール方式のアクションゲーム。先の場面に進んでも画面のスクロールは固定されず、引き返すこともできる。ライフ制を採用し、敵または敵の攻撃、トゲや爆風に当たるとプレイヤーキャラクターのライフが減る。全てのライフがなくなるか穴に落ちるとミスとなり、残機が全てなくなるとゲームオーバーとなる。制限時間や得点の概念はない。
操作できるキャラクターにはイマジン、リーナ、パパ、ママの4人おり、それぞれジャンプ力や物を持ち上げる速さ、物を持っている時の動作など運動能力が異なる。この4人のいずれかを操作してボスキャラクターのマムーを倒し、さらわれた家族のピキとポキを助け出すことが目的。
敵やアイテムを持ち上げたり地面に埋まっている野菜を引き抜いて、それらを投げつける動作がこのゲームの特徴である。この動作で敵を退治しながら7チャプター全20ページを進んでいく。チャプターやページの表現はゲームの舞台が絵本の世界とされていることに由来し、他のゲームではワールドやエリア、ステージなどと呼ばれる区切りに相当する。1チャプター3ページ構成だが、絵本の最後の1ページが破られたストーリー設定から第7チャプターは2ページまでとされている。
スーパーマリオUSAとは異なりチャプター内でのキャラクターの変更はできず、家族4人すべてがマムーを倒さなければ真のエンディングは見られない。その代わり磁気ディスク媒体を活用したセーブ機能が用意されており、電源を切った後も続きからゲームを再開することが可能である。コンティニューの回数に制限はない。
[編集] ストーリー
- 夢宇界の物語
- 夢宇界(ムウかい)はムウと呼ばれる住人たちの見る夢によって天気が決まる不思議な夢の国。ムウたちはよい夢を生み出す「ドリームマシン」を作り、平和に楽しく暮らしていた。しかしある日、怪物マムーがドリームマシンにいたずらをし、モンスターを作る機械に変えてしまう。ムウたちはたくさんのモンスターに困惑するが、ある物を使いマムーを退治する。それはマムーが大嫌いな野菜だった。
- さらわれたピキとポキ
- 双子のピキとポキはサルのルーサから夢宇界の物語が書かれた古い絵本をもらった。しかし2人は絵本の取り合いを始め、マムー退治の場面を描いた最終ページを破り取ってしまう。その瞬間絵本からマムーの手が伸び、2人を絵本の中へ引き込んだ。異変に気付いた家族のイマジン、リーナ、パパ、ママも絵本の中に吸い込まれてしまう。こうして一家の冒険が始まった。
[編集] 登場キャラクター
中ボスには後のマリオシリーズでもおなじみとなったキャサリンが登場する。このほかヘイホーやムーチョなど敵キャラクターの中にはマリオシリーズに吸収された者も多い。
[編集] イマジンファミリー
[編集] プレイヤーキャラクター
- イマジン
- 頭にターバンを巻いた元気な少年。家族の中でも中心となる人物。
- 家族の中でジャンプ力は最も高く、力は2番目に強い。操作に癖のない平均的な能力の持ち主。特殊能力は持っていない。マリオUSAではマリオに相当する。
- リーナ
- イマジンの妹。ベールの付いたピンク色の帽子をかぶっている。説明書内のイラストでは星型のステッキを持っているが、ゲーム内でこれを見ることはできない。
- ジャンプ力はイマジン、ママに次いで3番目。力は弱く、物を持ち上げる速度は家族の中で最も遅い。ジャンプ中ボタンを押し続けるとしばらく宙に浮く「空中歩行」ができる。この特殊能力からゲームに慣れていない初心者向けのキャラクターとされる。マリオUSAではピーチ姫に相当する。
- ママ
- 子供たちの母親。背はすらりと高く、占い師や手品師のようなフード付きのマントを身に付けている。
- ジャンプ力はイマジンと同じく最も高い。力は3番目。飛距離が長いスロージャンプができるが、動作が鈍くなる癖がある。マリオUSAではルイージに相当する。
- パパ
- 子供たちの父親。小太りで鼻の下にヒゲを蓄えており、イマジンと同じように頭にはターバンを巻いている。
- ジャンプ力は家族の中で一番低い。しかし最も力があり、素早く物を持ち上げることができる。さらに物を持っていても移動速度やジャンプの操作感は変わらない。これらの能力からゲームに慣れた上級者向けのキャラクターとされる。マリオUSAではキノピオに相当する。
[編集] ストーリーに関わるキャラクター
- ピキ・ポキ
- イマジン家で一番年下の双子。背中に天使のような羽根を生やしている。絵本の中の怪物マムーにさらわれてしまい「夢工場」に捕らえられる。
- ルーサ
- イマジン家のペットと思われるサル。チョッキとプロペラのような飾りのついた帽子を身につけている。イマジン一家は絵本に吸い込まれてしまうが、ルーサは吸い込まれずに難を逃れた。
[編集] 敵キャラクター
詳しくはスーパーマリオUSA#敵キャラクターを参照。
- ヘイホー
- 本作を代表するザコキャラクター。白い仮面をつけ、地面を歩くだけの最も弱い敵。服の色によっては物にぶつかるまで一直線に歩く者、崖で折り返す者もいる。亜種に羽根を付け空を飛ぶトンダリヤ、鉄仮面の口から弾を吐き出すムーチョがいる。
- 後のマリオシリーズでは定番キャラクターとなり、竹馬に乗る、プロペラを付けて飛ぶ、パチンコで攻撃するなど様々な姿で登場した。
- キャサリン
- 筒状の大きな口とそこから吐き出される卵や炎による攻撃、頭に付けたリボンが特徴の恐竜。キャサリンの多くは各ページの終盤で小ボスとして登場し、次のページや中ボスの部屋へ進むために必要なアイテムの水晶玉を守っている。
- マムー
- 本作のラストボス。カエルに似た緑色の大きな怪物。ドリームマシンのある夢工場で多くのモンスターを作り出し魔夢族(マムーぞく)を組織、その親玉として君臨する。苦手な物は野菜全般。
- マムーは1993年発売の『ゼルダの伝説 夢をみる島』へゲスト出演を果たした。この中では主人公にゲームクリア上必要不可欠となるオカリナのメロディを法外な値段で教える。
[編集] 参考文献
- ^ ファミリーコンピュータMagazine 第5巻第12号付録 『ディスクライター書き換えゲーム全カタログ』 徳間書店、1989年。