四連装砲塔
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四連装砲塔(よんれんそうほうとう)は砲塔への大砲の装備方法の一つで、1基の砲塔に4門の砲を装備した形式を指す。一般には同口径の砲4門を水平に並べたものが多い。
戦艦ではフランス海軍の超弩級戦艦「ノルマンディー級」(未成)、「ダンケルク級」「リシュリュー級」、イギリス海軍の「キングジョージV世級」のみが採用している。アメリカ海軍のノースカロライナ級戦艦でも14インチ4連装砲塔を搭載予定であったが、これは当初から16インチ3連装砲への換装を考慮しており、結果として建造途中で換装したために4連装砲塔は搭載していない。
4連装砲塔の利点は、連装砲塔2基より軽いことである。たとえば4連装砲塔2基の重量は同口径の連装砲塔3基分と同等とされ、装備門数を8門とすると、4連装にしたほうが連装砲塔1基分軽いことになる。
しかし、砲搭数が連装、3連装と比べて少なくなるため、砲塔1基が破壊された時の戦力減少が激しく、また、砲塔を支えるターレット径が大きくなるので工作が困難になり、艦体全幅の増大につながる等、さまざまな弊害が出るため、主砲口径が増大するにつれ各国とも採用をやめていった。
また構造上、砲座重量が大きく、揚弾機構が複雑化するため、工作・設計が困難で技術的な問題も多いと言われる。しかしながら、本家フランスでも未成艦ノルマンディーの主砲設計を流用したダンケルク級の4連装砲塔では、最初の半年間こそ故障の対処に追われたが、単なる初期故障の範囲に収まり、以後は除籍の日まで大きなトラブルは発生しなかったと言う。続く2番艦のストラスブールでも細かい故障が出たものの、1ヶ月で解決した。これは技術的冒険を避けて連装砲を並列に2基配置し、4連装砲塔としたためで、砲身被弾時の喪失門数を2門に限定できた。
対照的なのはイギリスで、純粋な4連装砲形式としたために竣工当時から故障が続出し、最初の数年間は故障の対処で追われ、実戦どころではなかったと言う。
このことから、キングジョージV世級の事例のみを取り上げて「4連装砲塔は故障が多く、実際の戦闘では被弾で早々に戦闘能力を喪失しやすい」と言う説を掲載している資料もあるが、リサーチ不足であると言える。