吊り広告
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吊り広告(つりこうこく)とは、鉄道の車両内に、通路に沿って吊り下げる横長の長方形の紙による広告のこと。広告内容によって、掲示期間は各々の契約期間によりまちまちであるが、半永久的な掲示はなく、契約期間が経過すると、他の広告と置き変わる。
材質は薄い紙である場合が多く、通常、表面は平らであるが、まれに表面にモノ(飲料瓶の模型、小さな暖簾などの例がある)を貼り付けてあるケースもある。
内容としては雑誌(月刊誌、週刊誌)の広告が比較的多いが、その鉄道の沿線にある店舗(百貨店、専門店が多い)や催し物の広告、新刊書(文庫・ノベルス・単行書など)、大学入学試験、食品、飲料、家電製品(携帯電話やデジタルカメラなどデジタル家電を含む)、音響製品、医薬品、不動産(マンション、分譲住宅など)、テレビ番組等の広告など、内容は多岐にわたっている。変わったものでは、エイズ検査が保健所で無料・匿名で受けられることを告知する、公共広告の例もある。
特に満員電車で立っている場合には、本を読むこと等ができず、他にすることもないため、見るとはなしに見ることが多く、そのため、意図せずにその広告を記憶にとどめていることも多い。したがって広告効果はかなりあると予想される。
また、網棚の向こうにある広告(サイズはほぼ同じだが、通常は厚紙である)と異なり、その前にものが置かれて見えなくなるということがないため、その点において優位性がある。
一方、地方の線区では、車内に吊り広告を吊るす金具はあっても、吊るす広告が皆無である場合や、あったとしても自社の案内程度のものしかない場合もある。鉄道の利用客が少なく、たとえ業者が車内に広告を掲示するだけのお金を払っても、その費用対効果が見込めないためであると考えられる。
[編集] 掲示場所
電車の天井から吊るすものは「中吊り(なかづり)」、幕板部のものは「面額(めんがく)」や「窓上(まどうえ)」などと慣例的に呼ばれる。
一般的に中吊りのほうが掲出料は高い。窓上は、ポスターの裏面にボール紙を貼って補強して貼る車両も、広告枠にプラスチックの留め具がついていて、ポスターを固定するタイプの車両もある。
ボール紙で裏貼りする場合、その裏貼り料金が必要である。ドアの脇など、車内の壁面の広告は、社により異なる。透明アクリル板の下にはさむタイプの場合は中づり用ポスターがそのまま使用できる。アクリル板を使用しない場合、ボール紙で裏貼りして紙に強度を持たせて掲出する。
[編集] 傾向
中吊り広告は張替えの頻度が高い。そのため、情報が頻繁に入れ替わる業態、すなわち定期的に刊行する雑誌や新聞、また季刊セールや限定フェアが多い百貨店などの広告が多く見られる。
対して、窓上広告は中吊りに比べ、張り替えの頻度が少ない。そのため、頻繁に張り替える必要のない沿線の建物の宣伝広告が多い。
また、車両ドアのガラス部分に手のひらサイズのシールを貼った広告(ドアシール)もある。ここでは企業の広告主が多く、ビジネス客を狙った医薬品(ドリンク剤やビタミン剤など)、文房具などの広告が多い。