反フェミニズム
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反フェミニズム(はんフェミニズム)またはアンチ・フェミニズム (anti feminism) とは、フェミニズムに反対する思想や運動のこと。反フェミニズム論者のことを、アンチ・フェミニストという。バックラッシュもほぼ同意。「ポスト・フェミニズム」や「ジェンダー研究」などと称するもののうち、一部のフェミニズムそのものを希釈化する思想や運動を含む意味で用いられることもある(出典:『フェミニズム理論辞典』明石書店)。
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概要
フェミニズムやフェミニストへの批判は過去から現在まで根強く続いている。ただし、フェミニズム自体が多義的な概念であるために、「フェミニスト」と一括りにして批判しても、一括りにすべき実体が無いという皮肉な事態を招いている[1]。フェミニズムやフェミニストが「男女平等の実現」という基本概念が共通している以外は多種多様なものである[1]。
反フェミニズムを主張する人々にとっては、フェミニズムとは男女の役割分担を否定する思想であり、家族の解体を促進させ、男女が敵対する社会を到来させるものである。それゆえにフェミニズムへ反対する。男女共同参画社会基本法の廃棄を目指す「美しい日本をつくる会」などが典型例である。こういった主張の背景にあるのは、固定的な性別役割分担社会でそれなりのメリットを享受していた男女がフェミニズムに抱く不安感である、というのがフェミニズム側の見解である。
また宗教団体や政治団体が自前のメディアを通じて、彼らの考える性別役割分担論とフェミニズムへの反論を信者や支持者に広めている場合もある。たとえば統一教会系の世界日報は男女行動参画社会基本法の抜本的見直しを唱えているし、自由民主党は公式サイトでジェンダーフリー教育の批判を行っている(過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査)。
性別役割分担論とは別に「フェミニズムは男性を差別するための思想である」とする主張もある。これによれば、電鉄会社が女性専用車両を設け、デパートの女性トイレを男性トイレより広くするのはフェミニズムに加担した民間企業による男性差別であるとして批判する[2]。これについては男性差別も参照のこと。同様の主張は、インターネット上にもしばしば現れ、フェミニズムをナチズムと同一視するフェミナチという呼び方で揶揄している。
これらの反フェミニズム思想の背景には女性嫌悪(ミソジニー)が存在することもある[要出典]。 ミソジニーは男性だけのものではなく、女性も抱き得る感情である。現在では昔より少なくなってきてはいるが、伝統的な姑の嫁いびりなどがその代表例であるし、女性が学校の担任の先生を「だから女の先生は駄目なのよ」と評したり、銀行などの受付で「あなたみたいな女の子じゃ話にならないから男の人を出して頂戴」などと言うのもその例である。そして、こうしたミソジニーを背景にして女性が反フェミニズム思想を持つことは珍しくない。
またイヴァン・イリッチのように、「今よりももっと多くの女性が「男並み」を目指して賃金労働を始めると、女性たちの境遇はもっと悪くなる」(イリイチ『ジェンダー』岩波書店)という指摘もされている。これには多くのフェミニストが反発したが、全てのフェミニズムが「すべての女性が男性並みに働くこと」を目標に置いている訳ではない。
参照
参考文献
- 『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(千葉展正著)ISBN 4886562469
- 上野千鶴子・小倉千加子『ザ・フェミニズム』 筑摩書房・ちくま文庫 ISBN 4480863370 他
- 三砂ちづる『オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す』 光文社 ISBN 4334032664
- 荷宮和子『なぜフェミニズムは没落したのか』中央公論新社 (2004/12)ISBN 4121501594
- 林道義『フェミニズムの害毒』(草思社)
- 林道義『家族を蔑む人々-フェミニズムへの理論的反論』(PHP研究所)