半熟卵
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半熟卵(はんじゅくたまご)は、鶏卵を茹でた料理で、固ゆでのゆで卵のように完全に凝固させない状態のもの。一般には、卵白部分は凝固状態、卵黄部分は半凝固状態に茹でたものをさす。調理方法としては殻付のまま茹でるものと、卵を割って中身を出した状態で茹でるものの2種類がある。
殻付の半熟卵はゆで卵と調理方法は同じだが、黄身を固まらせないために茹で時間を短くしなければならない。一例として、一般的なM~Lサイズの鶏卵であれば、80℃程度の湯に鶏卵を入れて沸騰させ、7分ほど茹でたあとさらに火を止めて30秒ほど置き、その後冷水に2~3分つけておくと半熟卵になる。茹でた後冷水に入れるのは、黄身に熱が過剰に加えられることを防ぐことと、卵殻膜と卵白の間に水滴を凝結させることで双方の固着を防ぎ、殻をむき易くするためである。
この半熟卵は、殻をむいた後縦に半分に割って、ラーメンやサラダなどにつけあわせることが多い。また、エッグスタンドに立てて専用の卵割り機で上の尖った部分に丸いヒビをいれ、そこにナイフを入れて黄身が見えるようにすることがある。この場合は主に黄身の部分を食べる。イギリスではトーストした食パンを細く切ったものに半熟卵の黄身を浸けて食べる。
中身を出した状態で茹でるものは、黄身を固めない状態に仕上げた目玉焼きがその代表例として挙げられる。また、日清食品の卵スポット付チキンラーメンに卵を入れると、湯の温度が十分であれば完成時に白身が固まって半熟になる。これらは、卵白より卵黄のほうが凝固にかかる時間が長いという性質を利用したものである。
一般的な半熟卵とは逆に、卵黄よりも卵白が柔らかい状態になるように茹でた鶏卵は温泉卵と呼ばれる。半熟卵では卵の内部への熱伝導のタイムラグを考慮し卵白が時間的に先に加熱される現象を利用して、卵黄が完全に凝固状態になる前に加熱停止しているのに対して、温泉卵では熱凝固を起こす温度が卵黄のほうが低いことを利用して、卵黄が熱凝固する温度と卵白が熱凝固する温度の中間温度でゆっくり加熱する。