勝山城 (甲斐国)
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山梨県には、「勝山城」と称する城が2つあった。
[編集] 勝山城（都留市）
市域中部、蛇行する桂川左岸の標高571メートル・比高100メートルの独立峰である城山に位置し、谷村市街を望む。現在では城山公園として整備されている。戦国時代には群内領主小山田氏の居館谷村館の詰城である山城。豊臣系大名時代に近世城郭として整備される。江戸時代には谷村藩庁である谷村城の属城で、絵図に拠れば二本の内橋によって連結されていた。
小山田信有（越中守）は居館を北方の金井にあった中津森館（都留市金井）に構えていたが、国中地方の武田氏に従属すると享禄5年（1532年）には火災による焼失を契機に、山地の多い郡内地方において発展性の見込める谷村へ移し、城下町の整備を進めた（『勝山記』による）。武田氏滅亡の際に小山田氏は織田氏に降るが誅殺され、甲斐国遺領を巡る天正壬午の乱が起こると、地谷村館や勝山城は相模の後北条氏や徳川氏が領し修築を施された。豊臣系大名時代には浅野知近（左衛門佐）による修築が施されており、『甲斐国志』では勝山城の築城者を浅野知近とし、従来は谷村館の詰城はさらに北方にある桂川沿いの岩殿山に築かれた岩殿城（大月市賑岡町岩殿）であると考えられていたが、現在では戦国期の本城と詰城との位置関係から、距離のある岩殿城よりも勝山城が詰城であったと考えられている。
江戸時代には山城としての性格を失い、山頂には東照宮が祭らた。寛永年間には秋元氏が茶壺蔵を設置したと伝わるが、発掘調査では確認されていない。
[編集] 勝山城（甲府市）
勝山城（かつやまじょう）は、山梨県甲府市上曾根（旧東八代郡中道町）に存在した城。
旧中道町域北西の上曾根地区に位置。笛吹川左岸の勝山と呼ばれる小丘上に立地し、現在は果樹園となっている。勝山城の存在は文献に記されているが位置が特定できず、1983年（昭和53年）の農道整備に際して遺構が発掘され、主郭部や土塁、空掘の跡が確認された。
山梨郡油川（旧石和町）に拠った武田氏支流の油川氏が拠点とした城で（『甲斐国志』）、城主であった油川信恵（彦八郎）は甲斐国守護武田信縄の弟で家督を継承した甥の信虎に対抗し、永正5年（1508年）に坊が峰（笛吹市、旧境川村）のおいて敗れて敗死している（『勝山記』、『一蓮寺過去帳』）。
甲斐国と駿河国を結び軍用道として使用された中道往還の沿線にあったため係争の舞台となり、永正12年（1515年）に西郡の有力国人大井信達の救援のため駿河国の今川氏親が中道往還を甲斐へ進行し、、吉田城（富士吉田市）とともに勝山城を占拠し、永正14年に和睦が成立して退去するまで拠点として活動した（『宇津日記』）。また、大永元年（1521年）に駿州往還（河内路）を甲斐へ侵攻した福島正成も拠点としている（『高白斎記』）。武田氏滅亡後の甲斐国を巡る天正壬午の乱においても、天正10年に徳川家康が相模国の後北条氏に備えて家臣の服部半蔵に城の修築を命じている（『国志』。また、徳川氏の甲斐領有後にも再普請が行われている（『家忠日記』）。
