刺殺
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刺殺(しさつ)とは、
刺殺(しさつ、英:put out)とは、野球において、守備側プレイヤーが打者や走者を直接的にアウトにすること、またはその野手に記録される守備記録のことである。間接的にアウトにすることは補殺という。主に、外野手の守備範囲を評価する指標として用いられる。マスメディアは打球を処理して送球するプレイ(多くの場合補殺)をファインプレイとして重要視する傾向にあり、刺殺の注目度は低い。
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[編集] 定義
刺殺が記録されるプレイの定義は以下の5種類である。
アウトが発生すると、必ず守備側選手の誰かに刺殺が記録される。第3アウトが成立すると攻守を交代するのだから、1イニングに記録されるアウトの数は常に3つである。よって、あるチームの守備イニング数(=投手陣の投球回数)の3倍と、そのチームの刺殺数は常に等しい。
[編集] 刺殺記録の事例
- 三塁手がゴロを捕って、一塁手へ送球し、一塁手が一塁に触球して打者がアウト
⇒一塁手が落球すればアウトは成立しないから、直接的にアウトにしたのは一塁手で、一塁手に刺殺を記録する。 - 捕手が二塁へ送球し、遊撃手がこれを捕球して、盗塁を試みた一塁走者に触球してアウト
⇒遊撃手がタッチできなければセーフなので、直接的にアウトにした遊撃手に刺殺を記録する。 - 一二塁間で走者が挟まれ、一塁手も一度ボールに触れたが、最終的には投手が触球してアウト
⇒直接アウトにしたのは投手なので投手に刺殺を記録する。 - 飛球を捕球した外野手が三塁へ送球し、タッチアップを試みた二塁走者が三塁手に触球されてアウト
⇒打者のアウトは外野手の捕球によるものなので外野手に刺殺を記録する。二塁走者のアウトは三塁手の触球によるものなので三塁手に刺殺を記録する。 - 三塁手に対する守備妨害で二塁走者アウト
⇒三塁手の守備行為が妨害をさせたのだから、直接的にアウトにしたのは三塁手であり、三塁手に刺殺を記録する。 - 打球が走者に当たり守備妨害で当該走者がアウト
⇒最も近くにいた守備側選手に刺殺を記録する。 - 走者一塁で三塁手がゴロを捕って二塁手へ送球、二塁手は送球を捕って二塁を踏んで一塁走者をアウトにしたのち、一塁手へ送球し打者走者もアウト
⇒一塁走者のアウトは二塁手が二塁に触球したことによって成立したので、二塁手に刺殺を記録し、打者走者のアウトは、一塁手が一塁に触球したことによって成立したので、一塁手に刺殺を記録する。 - 打者が三振でアウト
⇒捕手が捕球できなければ振り逃げの可能性もあるので、直接アウトにしたのは捕手と考えられるため、捕手に刺殺を記録。同様に、2 ストライク後にバントした打球がファウルボールになった(スリーバント失敗)ケースでも捕手に刺殺が記録される。 - インフィールドフライが宣告された場合
⇒通常の守備をして捕球できると考えられる野手に刺殺が記録される。結果として落球しても刺殺は記録される。 - 走者が前走者を追い越してアウトになった場合
⇒守備妨害同様に、その追い越しが発生した場所の最も近くに位置していた守備側選手に刺殺が記録される。 - 打順間違えによる打者アウトの場合
⇒捕手に刺殺を記録する。
[編集] 記録の見方
基本的に異なる守備位置同士の刺殺数を比較してその優劣を論じることはあまり意味がない。
- 外野手は飛球の処理が刺殺の大部分を占めることから、外野手の刺殺数の多さはその外野手の守備範囲の広さをよく表していると見ることができる。なおメジャーリーグにおいて、外野手でシーズン500刺殺以上を記録した選手は過去5人しかいない。
- 内野手においては、刺殺の数だけアウトを自ら取ったという点でチームへの貢献度を推し量ることはできるが、守備の評価には直結しない。
- 投手は守備機会そのものが少ないため刺殺数自体はあまり参考にされない。充分に大きい守備機会数を母数として、補殺数や守備率などの指標によってフィールディングの良さを見ることになる。
[編集] 記録
[編集] 日本プロ野球
- 外野手シーズン最多刺殺
[編集] アメリカ・メジャーリーグ
- シーズン刺殺数(外野手)上位
順位 | 選手名 | 所属 | 年度 | 刺殺数 |
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1 | テイラー・ドゥーシット | カージナルス | 1928年 | 547 |
2 | リッチー・アッシュバーン | フィリーズ | 1951年 | 538 |
3 | リッチー・アッシュバーン | フィリーズ | 1949年 | 514 |
4 | チェット・レモン | ホワイトソックス | 1977年 | 512 |
5 | ドゥエイン・マーフィー | アスレチックス | 1980年 | 507 |
6 | リッチー・アッシュバーン | フィリーズ | 1956年 | 503 |
6 | ドム・ディマジオ | レッドソックス | 1948年 | 503 |
8 | リッチー・アッシュバーン | フィリーズ | 1957年 | 502 |
9 | リッチー・アッシュバーン | フィリーズ | 1953年 | 496 |
10 | リッチー・アッシュバーン | フィリーズ | 1958年 | 495 |
11 | アンドリュー・ジョーンズ | ブレーブス | 1999年 | 493 |