アウト (野球)
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野球でアウト (out) とは、攻撃側プレイヤー(打者や走者)が規則によりプレイから除かれることである。守備側が攻守を交代して攻撃側となるためには、攻撃側から3個のアウトを取らなければならない。
打者や走者がどのような場合にアウトになるかについてはそれぞれ、以下の記事を参照のこと。
審判員がアウトを宣告する際には、右手の拳をつき上げるジェスチャーとともに、「アウト」とコールする。
打者は一塁に走者となり、走者はなるべく次の塁を狙って走塁するのが一つの目的であるから、アウトとはその攻撃側の打撃や走塁におけるミスや反則行為に対する一種のペナルティーと考えることができる。アウトの対義語としては一般に「セーフ」が考えられるが、「セーフ」とは判定に際して「アウトではない」という意味にすぎず、野球ルール上での対義語は守備側のミスや反則に課される「安全進塁権」である。テレビ中継や球場内電光掲示板のボールカウントにおいては、outの頭文字より『O』と表示される(上に『S』、『B』が存在するが、これは「ストライク」「ボール」を略したもの)。電光掲示板では赤色のランプで示される。
[編集] 触球
走者をアウトにするためにボールを持った野手が行う行為は、主に次の2つであり、これを触球(しょっきゅう)という。
- 塁への触球
- 手またはグラブ・ミットにボールを保持した状態で、身体の一部あるいは身につけているもので塁に触れる。例えばグラブにボールを持って塁を踏んだり、右手にボールを持って左手のグラブで塁に触れたりしても、塁に触球したとみなす。
- 走者への触球
- 保持したボール、またはボールを持った手またはグラブ・ミットで走者の身体に触れる。塁への触球と異なり、ボールを保持した手またはグラブ・ミットで触れなければ、走者に触球したとはみなされない。
英語ではtag(タッグ)という。日本では、触球・タッグに代わってしばしばタッチ(touch)という言葉も用いられている。
野手の塁への触球を触塁(しょくるい)という者もいるが、触塁は、走者が塁に触れて塁を占有する行為を指す用語である。
[編集] 日本語におけるアウトの表現
野球用語では、「殺」や「死」といった言葉はアウトを意味し、攻撃側プレイヤーをアウトにすることを「殺す」とか「刺す」などと表現することもある。例えば、一度のプレイで2つのアウトをとるダブルプレイ (double play) は併殺、3つのアウトをとるトリプルプレイ (triple play) は三重殺といい、フォースアウトのことは封殺ともいう。捕手が一塁走者の盗塁を阻止するために二塁に送球してアウトにすることは「二塁で(一塁走者を)刺した」と表現することがある。
アウトになった攻撃側プレイヤーの数はアウトカウントといい、日本語では、ノーアウト、ワンアウト、ツーアウト、スリーアウトと数えるのが一般的であるが、文章に書く際にはしばしば、無死、一死、二死、三死と表す。また、野球記録におけるプットアウト (putout) は刺殺、アシスト (assist) は補殺という。日本では刺殺・補殺の用語を用いるのが一般的である。補殺を捕殺と勘違いし、飛球を捕らえて打者をアウトにすることを捕殺、送球して走者をアウトにすることを刺殺と言う者もいるが、これらは誤りである。なお、捕殺とは生物を捕らえて殺すことをいい、野球用語ではない。