佐原真
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佐原 真(さはら まこと、1932年 - 2002年7月10日)は日本の考古学者。
[編集] 来歴・人物
大阪府出身。幼稚園児のときに公園で拾った土器片が考古学を志す契機となる。大阪外国語大学ドイツ語学科を経て、京都大学大学院博士課程修了(考古学専攻)。弥生時代を中心とした考古学研究に携わり、日本人の起源から衣食住にまでわたるその研究範囲は非常に幅広い。分かりやすく面白い考古学を提唱し、考古学の普及啓発を積極的に推し進め、特に博物館の充実・設立に取り組んだ。また、吉野ヶ里遺跡の保存など考古遺跡の保存運動にも尽力するなど、自身の研究にとどまらない広範な活動を進めていった。こうした佐原の研究・活動は、日本考古学を新たな段階へ導いたと評価されている。
江上波夫ととは騎馬民族論争を展開した事で話題となった。対談を収録した記録は小学館より、『騎馬民族は来た!?来ない!?-<激論>-江上波夫VS佐原真』として刊行されている。また、戦争の起源にも強い関心を持ち、戦争という現代的課題と考古学を結びつけ「人間が始めた戦争は人間が終わらせることができる」との信念を持ち続けた。
奈良国立文化財研究所埋蔵文化財センター長、国立歴史民俗博物館副館長を歴任し、1997年~2001年まで国立歴史民俗博物館館長を務めた。2001年の退官時には、7000冊にのぼる蔵書を沖縄県北谷町立図書館へ寄贈し、佐原文庫として保存されている。
没後、佐原の業績をまとめた『佐原真の仕事』(全6巻)が岩波書店より刊行された。
[編集] 主な著書
- 『日本人の誕生』、小学館、1987年
- 『騎馬民族は来なかった』、日本放送出版協会、1993年
- 『考古学千夜一夜』、小学館、1993年
- 『斧の考古学』、東京大学出版会、1994年
- 『城の語る日本史』、朝日新聞社、1996年(共著)
- 『食の考古学』、東京大学出版会、1996年
- 『銅鐸の絵を読み解く―歴博フォーラム』、小学館、1997年
- 『原始絵画』、講談社、1997年
- 『稲・金属・戦争―弥生』、吉川弘文館、2001年
- 『銅鐸の考古学』、東京大学出版会、2002年
- 『考古学つれづれ草』小学館、2002年