佐々弘雄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
佐々 弘雄（さっさ ひろお、1897年（明治30年）1月23日 - 1948年（昭和23年）10月9日）は、日本の法学者、政治評論家、参議院議員。
[編集] 来歴・人物
1897年（明治30年）1月23日、衆議院議員佐々友房の三男として熊本県熊本市に生まれる。1920年（大正9年）東京帝国大学法学部政治学科を卒業する。美濃部達吉と吉野作造の薫陶を受け法学者・政治学者として将来を嘱望される。
東京帝国大学助手、外務省嘱託を経て、九州帝国大学教授に就任し政治学を教える。しかし、1928年（昭和3年）九大事件で共産主義者の嫌疑がかけられて大学を追放される。
1934年（昭和9年）東京朝日新聞社論説委員、論説主幹となる。さらに父も縁があった、熊本日日新聞社社長を歴任する。1937年（昭和11年）昭和研究会に参加し、近衛新体制運動の理論面を担当した。
太平洋戦争中は東條内閣に批判的見解から内閣倒閣を進めるべく近衛文麿、細川護貞、海軍の高木惣吉、陸軍皇道派の柳川平助、小畑敏四郎、五・一五事件の三上卓、血盟団事件の四元義隆などの人物と親しく交友を持って東條暗殺を企てた為に東條一派や憲兵隊から敵視され、監視対象者となった。
ゾルゲ事件の尾崎秀実と交友があり、事件発覚時に、関連の記録を実子の淳行らが、風呂場で焼却したという。
戦後の1947年（昭和22年）第1回参議院議員通常選挙に全国区から立候補し当選したが、1年後の1948年（昭和23年）10月9日死去。
著書に『政治の貧困：転換期の政治批判』（千倉書房、1931年）、『大衆政治讀本』（中央公論社、1932年）『強力政治の將來』（河出書房、1934年）、『哲學と政治學との交渉[岩波講座哲學 哲學と諸科學との交渉 第10巻]』（岩波書店、1932年）『日本ファッシズムの發展過程』（淺野書店、1932年）、『人物春秋[正]・續』（改造社、1933-35年）、訳書に『ファッシズム國家學 』（ H.W.シュナイダー著）（中央公論社、1934年）などがある。
防衛施設庁長官や初代内閣安全保障室長をつとめた評論家の佐々淳行は次男。参議院議員を務めた紀平悌子は娘である。他に尚子という娘がいたが1942年に病気で失った。
