今様
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今様(いまよう)は日本の歌曲の一形式。
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[編集] 概要
平安時代中期に発生。「今様」とは「現代風、現代的」という意味であり、当時の「現代流行歌」という意味の名前であった。
歌詞が、7、5、7、5、7、5、7、5で1コーラスを構成するのが特徴。様々な歌詞が生み出された。
平安時代末期には後白河法皇が愛好し、法皇自身も熱中し過ぎて喉を痛めたことが史書の記録に残されている。また、法皇が編纂した『梁塵秘抄』の一部が現代に伝わっている。
曲の方も、後述の越天楽今様(シラブル型)の他に各種作られ、長生殿の様なメリスマ型の曲や、中部日本放送のクロージング(1964-1993)に使われたような暗い曲調のもの(原曲は箏曲、シラブル型)もあった。近代以降の歌曲にも、『一月一日』、『我は海の子』、『荒城の月』等、この形式の曲が多い。『蛍の光』、『リパブリック賛歌』等、外国曲に今様形式の歌詞を当てはめたものもある。童謡・唱歌には3/4今様、歌謡曲には5/4今様の形式も多い。
[編集] 『越天楽今様』
中でも有名なのは『越天楽』のメロディーに歌詞を付けた『越天楽今様』である。雅楽の楽器を伴奏に使う場合のみ、雅楽の謡物に該当する(楽部のレパートリーに入らないが民間の雅楽団体のレパートリーに入る場合が多い)。特に有名なのは「春のやよいの…」で始まる慈鎮和尚の歌詞。この曲に舞を付けたものは「今様舞」と呼ばれ、白拍子装束で舞う。この他にも様々な歌詞が付けられた。これが九州に伝わったものが筑前今様となり、後に黒田節と呼ばれるようになった。近代に作られた神楽である豊栄の舞も、現代版「越天楽今様」・「今様舞」といってよい。