交響曲第3番 (ラフマニノフ)
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《交響曲 第3番 イ短調》作品44は、セルゲイ・ラフマニノフが作曲した最後の番号つき交響曲。ドイツ流の4楽章制ではなく、フランス流の3楽章制を採っており、中間楽章の緩徐な主部が、スケルツォの役割を果たすトリオ(中間部)に対比付けられている。演奏の所要時間は約40分と、かなりの力作である。楽章構成や所要時間から見る限り、《交響的舞曲》と姉妹関係にあることが分かる。
管絃楽曲としては、《パガニーニの主題による狂詩曲》に次いで作曲され、1935年6月に着手、1936年6月に完成された。ルツェルン湖のほとりの別荘で筆を進めたという。1936年11月6日に、レオポルド・ストコフスキーの指揮とフィラデルフィア管弦楽団の演奏により初演された。
ラフマニノフはこの作品に自信を持っていたようで、指揮者としてフィラデルフィア管弦楽団と共演して録音を残した。
[編集] 楽器編成
金管楽器が充実していることや、卓抜した管弦楽法の手腕のために、いかにも巨大なオーケストラが鳴っているかに感じられるが、実際はさほど大きくない。したがって、むしろ最小限の編成から最大限の効果を引き出すことに成功していると言ってよい。
- ピッコロ1、フルート2、オーボエ2、コーラングレー1、クラリネット2、バスーン2、コントラバスーン1、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1、ティンパニ、シロフォン、シンバル、タンバリン、バスドラム、スネアドラム、トライアングル、ハープ、チェレスタ、弦楽五部。
[編集] 楽曲構成
すでに《パガニーニ狂詩曲》においてもその傾向は見えていたが、甘く切ない旋律を歌い上げるロシア時代の作風から離れ、ラフマニノフ作品としては比較的リズミカルな楽想が追究されている。しかしながらも第1楽章と第2楽章は牧歌的な性格も兼ね備え、調性はより旋法に傾きやすいなど、いくぶんヴォーン・ウィリアムズの作風に近い。半面、音色やデュナーミクの鮮烈な対比のほか、楽想やテクスチュアの急転が全般的に際立っており、特殊奏法の効果も相俟ってハリウッドの映画音楽を連想させる部分もある。
- Lento - Allegro moderato - Allegro
- Adagio ma non troppo - Allegro vivace
- Allegro - Allegro vivace - Allegro (Tempo primo) - Allegretto - Allegro vivace.
緩やかな序奏つきの第1楽章は、きわめて自由なソナタ形式を採り、展開部の代わりに劇的に昂揚する中間部が置かれている。柔和な第1主題はイ短調と言われるが、むしろ旋法的である。ホ長調に始まる勇壮な第2主題は、やがてヘ長調に転調する。再現部においては、ヴァイオリンやチェロ、ハープ、フルート、オーボエの独奏が目立つなど、室内楽的なテクスチュアに書き換えられている。
第2楽章は三部形式による。先行楽章の余韻を引きずりながら、室内楽的なテクスチュアによって牧歌的な雰囲気のうちに始まり、弦楽合奏が牽引する主旋律によって夢見るような世界が繰り広げられていく。中間部において、打楽器の伴奏に乗ってワルツのリズムをもった粗野な楽想に転じるが、この構成はすでに《ピアノ協奏曲 第3番》に現れていた。
第3楽章は、ラフマニノフに典型的な軍楽調のフィナーレだが、精神的・内容的には、《絵画的練習曲「音の絵」》作品39の第9曲の異国趣味にきわめて近い。