五木の子守唄
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五木の子守唄(いつきのこもりうた)は、熊本県球磨郡五木村に伝わる子守唄である。現在では熊本県を代表する民謡としても知られる。伝承については勧進も参照のこと。
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[編集] 子守唄と守り子歌
日本の民謡や童歌などで、「子守唄」とされる歌には、本来の子守唄(子供を寝かしつけるための歌」と、守り子唄(もりこうた)と呼ばれる唄とがあるといわれており、五木の子守唄は、守り子唄のひとつである。
守り子唄とは、子守をする少女が、自分の不幸な境遇などを歌詞に織り込んで子供に唄って聴かせ、自らを慰めるために歌った歌である。かつて子守の少女たちは、家が貧しいために、「口減らし」のために、預けられることが多く、境遇は下女や奴隷とほとんど代わらなかったという。
歌詞にある「おどま勧進勧進」は、「私はこじき」という意味である。
[編集] 正調とお座敷唄
現在一般に「五木の子守唄」として知られているメロディーは、戦後に古関裕而が採譜し、民謡歌手の音丸によって初めてレコーディングされたものであるが、お座敷唄と呼ばれる、芸妓が酒席などで歌っているものである。正調の歌は、五木村在住の堂坂よし子歌唱のものが、CDとして発売されており、五木村公式ホームページ内でも聴くことができるが、子供の背中をカルクたたきながら、語りかけるように唄うもので、楽譜ではとても書き表せない。
お座敷唄・正調の歌の他にも、五木村ではいろいろな歌詞の子守唄が古老らによって伝承されている。村などがそれらの唄の採集に力を入れており、外部リンクの「五木の子守唄の歌詞いろいろその2」は人吉高等学校五木分校の高校生たちが聞き取り調査を行ったものである。
[編集] 歌詞
[編集] お座敷唄
おどま盆ぎり盆ぎり
盆から先きゃおらんと
盆が早よくりゃ早よもどる
おどま勧進勧進
あん人たちゃよか衆
よか衆ゃよか帯 よか着物
[編集] 正調・五木の子守唄
おどまいやいや
泣く子の守りにゃ
泣くといわれて憎まれる
泣くといわれて憎まれる
ねんねした子の
かわいさむぞさ
起きて泣く子の面憎さ
起きて泣く子の面憎さ
ねんねいっぺんゆうて
眠らぬ奴は
頭たたいて尻ねずむ
頭たたいて尻ねずむ
おどまお父つぁんな
あの山おらす
おらすともえば行こごたる
おらすともえば行こごたる
- 前述の通り、これらの歌詞以外にも様々な歌詞が現代まで伝わっているが、節回しや音階等は共通したものである。
[編集] 関連作品
- 福連木の子守唄 - 天草郡天草町福連木(ふくれぎ・現天草市)に伝わる子守唄。五木の子守唄と発生の由来や歌詞などがよく似ており、こちらの方が最初に発生したという説もある。
- 美空ひばりの『哀愁波止場』に、この歌の一部が使われている。
- 竹田の子守唄
[編集] 外部リンク
- 五木の子守唄の歌詞いろいろその1・その2 - 熊本国府高等学校ホームページより