三大紀律八項注意
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三大紀律八項注意とは、中国人民解放軍の軍規。1928年、毛沢東により、中国工農紅軍の軍規として制定されたのが始まり。その時は「三大紀律六項注意」として定められており、
三大紀律:
- 行動聴指揮(指揮に従って行動せよ);
- 不拿群衆一個紅薯(民衆のものはサツマイモ1個でも盗るな);
- 一切繳獲要帰公(獲得したものはすべて中央(共産党本部)に提出せよ)。
六項注意:
- 上門板(寝たあとは戸板を上げよ);
- 捆鋪草(寝ワラにした乾草は縛れ);
- 説話和気(話し方は丁寧に);
- 買売公平(売買はごまかしなく);
- 借東西要還(借りたものは返せ);
- 損壊東西要賠(壊したものは弁償しろ)。
であった。1929年から1930年にかけて二項が追加され、八項注意となった。ただし細かい内容は、部隊や時期により若干の違いがあったらしい。1947年10月、中国人民解放軍本部から次のように訓令された:
三大紀律:
- 一切行動聴指揮(一切、指揮に従って行動せよ);
- 不拿群衆一針一線(民衆の物は針1本、糸1筋も盗るな);
- 一切繳獲要帰公(獲得したものはすべて中央に提出せよ)。
八項注意:
- 説話和気(話し方は丁寧に);
- 買売公平(売買はごまかしなく);
- 借東西要還(借りたものは返せ);
- 損壊東西要賠償(壊したものは弁償しろ);
- 不打人罵人(人を罵るな);
- 不損壊荘稼(民衆の家や畑を荒らすな);
- 不調戯婦女(婦女をからかうな);
- 不虐待俘虜(捕虜を虐待するな)。
中国共産党は国家統一までの間、「中国人民解放軍は厳しい軍規により統制が取れた組織である」ということを宣伝するため、さかんに「三大紀律八項注意」というスローガンを唱えている。その考えは、概ね大衆に受け入れられていた。
ただし中国文学の研究家高島俊男は著書の中で「これはあくまで規則である。そういう規則があればその通りに行われた、と考えるのは自動車の制限速度が必ず守られていると考えるのと同様に、現実的ではない」、「他人の物を強奪しないというのはあたりまえのことであり、別段高潔というほどのことではない」という意味のことを述べている[1]。
国家統一後も人民解放軍の本質を表す言葉として使われており、現代では「三大紀律八項注意」をもじった標語が使われることも多い[2]。
[編集] 歌曲
1935年、第25軍の政治部秘書長程坦がこの軍規を歌にした。 その歌詞は、
- 革命軍人個個要牢記,三大紀律八項要注意。
- 革命軍人は心得よ、三大紀律八項注意。
- 第一一切行動聴指揮,歩調一致才能得勝利。
- 第一に行動は一切指揮に従え、一糸乱れぬ行動が勝利を生む。
- 第二不拿群眾一針線,群眾対我擁護又喜歓。
- 第二に民衆の物を盗むな、民衆は我らを援護し歓喜で迎えるのだから。
で始まるもので、当初、第1節は「紅色軍人人人要牢記」(紅軍軍人は心得よ) と歌われていたが、国共合作の時期に現在の歌詞に改められた。中国の軍歌の中で今でも人気がある曲の一つ。
[編集] 注釈
- ^ 高島俊男「中国の大盗賊・完全版」講談社現代新書 (2004) 、ISBN 4-06-149746-4
- ^ 例えば高考飲食『三大紀律八項注意』、家装『三大紀律八項注意』など。(いずれも中国語サイト。)
[編集] 外部リンク
- 中国共産党新聞 『三大紀律八項注意』 全歌詞と合唱演奏が聴ける。(自動演奏なので注意。)
- やさしい(無責任な)中国歴史