ヤマネ
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?ヤマネ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Glirulus japonicus (Schinz, 1845) |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
ヤマネ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Japanese dormouse |
ヤマネ(山鼠、冬眠鼠)は、ネズミ目(齧歯目)ヤマネ科に属する小型哺乳動物の総称。また、狭義には、特にその中の1種で日本固有種である Glirulus japonicus を指す。以下、本項では後者について詳述する。広義のヤマネについてはヤマネ科を参照。
狭義のヤマネは、ヤマネ科の他種と区別するためにニホンヤマネと呼ばれることがある。また、マリネズミ(鞠鼠)、コオリネズミ(氷鼠)、コダマネズミ(小玉鼠)の別名をもつ。1属1種で、日本固有種。準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)に指定されている[1]。
目次 |
[編集] 形態
頭胴長: 60~80mm
体重: 15~20g(冬眠時は増加)
体毛は背面が茶褐色で、腹面は淡い。ネズミ類に似ているが、尾は長い毛で覆われている。背中に1本の黒条(黒い線)をもち、これによって子リスなどと容易に区別される。また、この黒条はニホンヤマネに際立った特徴である。
体重は鶏卵(約50g)の半分もなく、人間の手のひらに乗るほど小さい。
[編集] 生態
本州、四国、九州、隠岐の森林に、広く分布する。樹上で暮らし、夜行性で、通常は単独で生活する。
昆虫や種子、果実、花(花粉や蜜を含む)を食べる。ネズミのような盲腸をもたないため、木の葉のような繊維質のものを消化することができず、また、クルミなどをかじるのに適した歯や筋肉ももっていない。
平たい体で木に張りつくようにして移動し、垂直な幹を頭を下にしてスルスルと降りることができる。水平な枝では、枝の下面を逆さまになって移動することが多い。30cmほどの距離なら、幹から幹へ飛び移ることもできる。
春、冬眠から目覚めて1~2週間ごろに交尾するが、ムササビなどと同様の交尾栓をもつ。後30~39日で出産し、一時に出産する子の数は、3~6(通常は3~4)。繁殖期は地域により差がある。
大陸産ヤマネからは、数千万年前に分岐したと推定され、日本列島に高い固有性を誇る。遺伝学的研究によれば、分布地域によって、別種と言ってよいほどの差異が見られる。
寿命は、約5年(飼育下では、雄で約9年)。体長の大きさの割には非常に長寿である。
敵に襲われると、尾(骨以外)を残して逃げることがある。ただし抜けた尾の毛は再生しない。
[編集] 冬眠
ヤマネ類は異温動物であり、哺乳類でありながら冬眠をするという特徴をもつ。日本のヤマネも冬眠をする。
冬が近づくと、ヤマネは体内に脂肪を蓄え、普段15~20gである体重が、2~3倍程度に増加する。これによって冬眠中の栄養をまかなっている。
冬眠の場所は、落ち葉の下、土の中、大木の樹洞、柔らかい朽ち木や倒木の中や表皮の下、雪の中など。冬眠中は体をボールのように丸めているが、別名の「マリネズミ」はここから来ている。
普通、冬眠動物は単独で冬眠を行うことが多いが、ヤマネでは数匹がかたまりになって冬眠することが時々ある。
[編集] 人間との関わり
冬に木を切ると、冬眠中のヤマネが転がり出てくることがあることから、林業に携わる人々は、ヤマネを山の守り神として大切にしてきた。
[編集] 種の保全状態評価
準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
[編集] 関連項目
[編集] 参考資料
- 中島福男 2006 日本のヤマネ[改訂版]. 信濃毎日新聞社.
- 湊秋作 2000 ヤマネって知ってる?-ヤマネおもしろ観察記. 築地書館.
[編集] 外部リンク
[編集] 脚注
- ^ Glirulus japonicus (環境省絶滅危惧種情報 by 生物多様性情報システム J-IBIS)