ヘルダーの不等式
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解析学におけるヘルダーの不等式(- ふとうしき, Hölder's inequality)とは、数列や可測関数のあいだに成り立つもっとも基本的な不等式の一つであり、 測度空間上のLp空間の構造の解析などにしばしば用いられる。オットー・ヘルダーにちなんでこの名前がついている。歴史的には1888年にレオナルド・J・ロジャーズによって、さらにその翌年にヘルダーによって独立に発見された。
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[編集] 積分形のヘルダーの不等式
(Ω, μ) を測度空間とし, 1 ≤ p,q ≤ ∞を1/p + 1/q = 1 なる実数とする。(p = 1 の場合には q = ∞ とする。)Ω上の可測関数f, g について、
が成り立つ。これは、左辺が無限大になる場合もこめて成立する不等式であり、とくにfが Lp級、g がLq級関数のときに fg はL1級関数になることを主張している。このようなp と q はそれぞれ互いの共役指数とよばれる。p = q = 2の場合のこの不等式はコーシー・シュワルツの不等式と呼ばれる。
[編集] ヘルダーの不等式の特別な形
測度空間 (Ω, μ) が可算集合とその上の数え上げ測度によって与えられるとき、Ω 上の可測関数とはΩの元によって添字づけられた数列のことになり、Lpノルムは 数列の lp ノルムのことになる。1 ≤ p, q ≤ ∞ を共役指数の対、Ω = N とするとヘルダーの不等式は
の形に表される。また 0 < p < 1 のときは、逆向きの不等式が成り立つ。
また、bk = 1 とすれば、
を得ることができる。例えば n = 2 のときは、正の実数 a,b に対して
となる。またこれらは 0 < p < 1 のときには同様に逆向きの不等式が成り立つ。
確率空間 (Ω, Σ, μ) 上の期待値を与える作用素を E とすると、確率変数 X, Y についてのヘルダーの不等式は
となる。この特別な場合として、0 < r < s なる数について
が成り立つ。これは p = s / r と確率変数 |X|r と 1Ω について上の式を適用することによって得られる。
[編集] 一般化
0 < p1,...,pn ≤ ∞ , 0 < p < ∞で 1/p = 1/p1 + ... + 1/pn とし、1 ≤ k ≤ n に対して fk が Lpk に属しているとする。このとき f1,...,fn までの積は Lp に属し、
が成り立つ。
[編集] 例
fα と f1-α に対して一般化されたヘルダーの不等式を適用することにより次を得る。
1 ≤ p ≤ q ≤ ∞ で、f が Lp かつ Lq に属しているとすると、任意の p ≤ r ≤ q に対して f は Lr に属し、1/r = α/p + (1-α)/q なる 0 ≤ α ≤ 1 に対して
が成り立つ。
[編集] 関連項目
- 不等式
- コーシー・シュワルツの不等式
- ミンコフスキーの不等式
- ヤングの不等式
- Lp空間