ブレイク ブレイド
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『ブレイク ブレイド』は吉永裕ノ介のロボット漫画作品。英語表記は『BREAK BLADE』。
『月刊少年ブラッド』(ソフトバンククリエイティブ)2006年10月号から連載開始されたが、同誌の休刊に伴い2007年1月よりウェブコミック『FlexComixブラッド』に移行。以後、月1回のペースで連載している。
目次 |
[編集] ストーリー
地中から化石燃料が採れないクルゾン大陸。ここに住む人間は、生まれつき(強弱の差はあるが)石英に命令を与える能力──『魔力』を持っていた。
そんな世界で『魔力を持たない』希有な存在のライガットは、ある日、士官学校時代の親友で現クリシュナ国王のホズルに召喚される。王都に赴いたライガットが、ホズルとやはり士官学校時代の親友で現クリシュナ王妃のシギュンから知らされたのは、軍事大国・アテネス連邦の領土侵犯と、その前線部隊の隊長が3人共通の士官学校時代の親友で、アテネス軍総司令官の弟・ゼスであるという、驚愕の事実だった。
動揺するライガットを、ホズルは石英採掘場に案内する。そこにあったのは、古代人が作ったロボット──古代(アンダー)ゴゥレムだった。動力用石英が搭載されておらず、誰1人動かせなかった古代ゴゥレムだが、敵の襲撃に巻き込まれたライガットが偶然にも起動に成功。操縦することになる。
国同士の戦乱に否応なく巻き込まれていく、かつて固い友情で結ばれた4人。彼らが選ぶ道と、その先に待っているものは──
[編集] 登場人物
作品の人名や用語は、ギリシア神話・北欧神話から取られていることが多い。
[編集] クリシュナ王国関係者
- ライガット・アロー
- 作品主人公。作品世界では希少な魔力無者(アン・ソーサラー/用語の項目を参照)だが、何故か古代ゴゥレムを動かすことができる。
- 魔力の顕現を諦められなかった父親が入れたアッサム国立士官学校でホズル、シギュン、ゼスと出会い、彼ら4人で「問題児4人衆」を形成。軍事大国総司令官の弟(ゼス)と一国の皇太子(ホズル)の喧嘩を止められた唯一の人物だった。ただし、彼本人は金銭的事情で学校を中退している。シギュン曰く「追試王」。
- なし崩し的に巻き込まれた戦争と、目の前で起こった敵味方の死に激しく動揺するが、逡巡の末、クリシュナ軍に入隊。バルド将軍旗下二等重騎士[1]として古代ゴゥレム──デルフィングの副責任者兼専属搭乗士となる。
- シギュン・エルステル
- クリシュナ王妃にして高名な魔動技術研究者。国民からの人気は高いが、王妃としての自覚と愛想が足りないと噂されている。ライガット曰く「マッドサイエンティスト」または「不感症(どんかん)女」。
- 学生時代は魔動工学女子部の才女であり、三日三晩、飲まず食わずで学校の研究室に篭ることもあった。スタイルは良いが、近眼で、「筋力、運動神経ともに皆無」。
- 今や親友の妻だが、結婚指輪をしていない(これは夫のホズルもである)など、ライガットに対し思いを残しているような描写が見られる。
- デルフィングの分析を進める中で、「自分たちは古代人の末裔ではないのでは」という疑問を持つようになる。
- 名前の由来は、北欧神話のロキの妻・シギュン。
- ホズル(クリシュナ9世)
- 現クリシュナ国王。王族出身であることを感じさせない気さくな性格で、臣下や国民からの人望も高い。その反面、どこか自分の運命を諦観しているところも。ライガット曰く「奥手(むっつり)王子」。
- 学生時代は王位を継ぎたくないがために、空ばかりみて落第点を取ろうとしていた。
- アテネス側から(シギュンも含めた)王族の全員処刑を条件に含んだ降伏を迫られ、苦悩する。
- 名前の由来は、北欧神話の戦神・ヘズの別名。
- バルド
- クリシュナ王国二大将軍の双璧。背が高く、サングラスを常に着用している。
- ホズルやシギュンと親しいライガットのことを気にかける。
- 敵の新型に対抗するために装甲を犠牲にした軽量化を指示する、味方の混乱時にも正確に対処するなど、冷静沈着な人物。
- しかし、ホズルの決定した降伏に異を唱えるなど、国や国王を想う心は強い。
- トゥル
- クリシュナ王国二大将軍の双璧。背の低い小太りの男性。ドラウプニル重騎士団を指揮する。
- 熱い心をもった人物で、戦法にもそれが現れる。バルド将軍の慎重な態度を弱腰と表現することも。バルド将軍とは内面も外見も対照的な人物。
- 私財のほとんどを王都中の孤児院の設立や運営に使っており、時間があれば孤児院を訪問し、子供達と遊んでいる。ナルヴィ曰く「国民の人気はバルド将軍より上」。
- ナルヴィ・ストライズ
- トゥル将軍の特別戦術顧問を務める女性。24歳。スペード形の髪留めをしており、搭乗するゴゥレムの右肩にも同様のマークをつけている。
- トゥル将軍を尊敬しており、彼の下で戦えることに誇りをもっている。彼と同様に熱い心をもつ上等重騎士。
- 口が悪く、故郷へ逃げようとするライガットに対して悪態をついたりもする。しかし、初陣で敵新型ゴゥレムを撃破したライガットを褒める場面も。
- クリシュナ王国中央兵軍養成学校に在学中に上級戦術士官模擬試験をトップで通過したが、当時は平民が本試験を受けることはできなかった。反乱鎮圧、盗賊討伐、御前試合優勝1回などの功をもつ。
- 名前の由来は、北欧神話のロキとシギュンの息子・ナルヴィ。
[編集] アテネス連邦関係者
- ゼス
- ワルキウレス部隊を率いる天才魔動戦士。兄はアテネス軍総司令官のロキス書記長。25歳。
- その血筋故に、自分を色眼鏡で見る周囲を避ける傾向が強かったが、ライガットたちとの出会いが彼の心を変えていった。ライガット曰く「堅物」。
- かつての友の国を攻め落とそうとしている自分の姿に悩みながらも、アテネス軍人としての任務を遂行しようとするが、クリシュナからの撤退戦でライガットのデルフィングにより自機を大破。自身も脚に重傷を負う。
- エルテーミスを1週間で慣らし、エレクトに賞賛されていた。
- 妻(エキディナ)との間に、2歳の娘がいる。
- エレクト
- ワルキレウス部隊に所属する眼鏡をかけた禿頭の男性。部隊の副官的立場でゼスをサポートする。
- ゼスを信頼し、他の部隊員達を気遣っている。クレオに対し厳しい評価をゼスに述べているが、それは彼女を心配してのこと。
- 対ゴゥレム戦ではゼスの僚機を務めることが多い。クリシュナからの撤退戦では、クレオの時間稼ぎの間にゼスを救出。(稼働可能なゴゥレムでは唯一)アテネス領への撤退に成功している。
- エルテーミスの慣らしには1ヶ月かかった。
- クレオ・サーブラフ
- ワルキレウス部隊所属の少女。名門軍閥サーブラフ家の一人娘で12歳。歳のわりに巨乳。心優しく、ゼスの体や撤退する敵を気遣う一面も。
- 普段はおっとりしており、同期のリィからはトロイと言われ続け、エレクトにも魔動戦士としての適性を疑問視されていた。
- 優秀なリィとは違い、学生時代はカード占いばかりして落ちこぼれていたが、ゴゥレムの長時間稼動ができ、ゼスですら1週間かかったエルテーミスを1日で慣らすほど。
- 戦闘能力のなさからか、見張りや後方での援護射撃を務めることが多かった。しかし、ゼスが危険に陥った際に軽快なフットワークでクリシュナ軍を翻弄。たった1機でゼスとエレクトが撤退する時間を稼ぐが、ナルヴィ機に自機の脚を撃たれ、捕虜になってしまう。
- 特技は豆料理で、かなりウマイらしい。
- リィ
- ワルキレウス部隊所属の少女。部隊では陽動や別働隊などを担当している。功を焦るような言動が目立つが、それはゼスの為を想ってのこと。
- まだ若いが、エルミーテスを使いこなし、クリシュナ軍を手玉にとるなど魔動戦士としての腕は確か。初めてデルフィングと戦闘を行い、その規格外の動きに翻弄される。
- ビノンテンへの第2アタックで再びデルフィングと交戦。手負いのエルテーミスでデルフィングの援護にやってきたダンを討ち取る意地を見せるが、デルフィングの反撃により自機は完全に沈黙。投降の勧めを拒絶し、自ら命を絶った。
- 同期のクレオに対してはきつい言動が目立つが、学生時代は落ちこぼれの彼女を授業に連れていっていたり、自決前に「(軍人には向いていないから)早く除隊した方がいい」と彼女の将来を按じているなど、仲は悪くなかった模様。
- エルテーミスの慣らしには2ヶ月かかった。
- アルガス
- ワルキレウス部隊所属の青年。部隊では別働隊や機体メンテナンスを担当している。撤退時には率先して殿を買って出るなど、目立ちはしないが熱い人物。
- クリシュナからの撤退戦にて、多重装甲モードのデルフィングの突撃により自機が大破。死体や墓など明確なシーンは出ていないが、おそらくは戦死したと思われる。
- エルテーミスの慣らしには2ヶ月かかった。
[編集] 登場メカ
- 魔動巨兵(ゴゥレム)
- 作品世界での戦闘用ロボットの呼称。今のところ唯一登場している機動兵器で、通常の機械より多くの魔力と靱帯を必要とする。
- パイロットは魔動戦士と呼ばれ、ゴゥレム用プレスガンの使用の可否で高位と下位に分かれる。
- デルフィング
- 全長11メイル(8.9メートル)。ビノンテン郊外の石英採掘場で発見された、推定千年前の古代(アンダー)ゴゥレムのコードネーム。
- 発見からしばらくコードネームが付いていない状態が続いていた(機体の分析や敵の急襲で、それどころではなかったのもあるが)が、10話でようやく決定した。[2]
- 現代の物と異なり、動力としての石英を搭載しておらず[3]、今のところ動力源は不明だが、コクピットのモニターに「内蔵冷却炉」「予測臨界(緊急停止)」の言葉が出ることから、核融合の可能性がある。尚、モニターに出てくる古代文字は、日本語と英語。[4]
- 最新型ゴゥレムを遥かに凌ぐパワーや跳躍を見せる反面、ライガット以外の人間では起動しない、突貫的に作られたことを思わせる部分がある等、機体には未だ謎が多い。
- 操作は手動[5]だが、緊急時には自動稼働システムが働く。
- 名前の由来は、北欧神話に登場する魔剣・ティルヴィング。
- ・多重装甲モード
- 防御力を重視した装備。中破したファブニルの装甲板を寄せ集めてシギュンが設計した。上半身がほぼ稼動不可であり、格闘性能は80%ダウンしている。
- 手動で装甲の分離が可能。規格外の機体にあわせた規格外の重量となっており、ナルヴィ曰く「立っているだけでも異常」。
- それでも加速力、走行スピードは高く、アルガスのエルテーミスを体当たりで粉砕するほどの突貫力を見せる。
- 正面からのプレスガン集中射撃を受けても止まることないその姿は、エレクトを「まるで城壁が走っているようだ」と戦慄させた。
- エルテーミス
- アテネス連邦軍の最新型ゴゥレム。全長12メイル(9.9メートル)。軽量な分、高い機動力を持ち、大口径・長射程のプレスガンを操ることができる。
- 欠点は、動力管制の難しさと着地時の脚部の脆さ。そのため操縦できる魔動戦士は限られ、「欠陥機」というのがアテネス軍内での大方の評価。
- 10台製造されたが、4台は訓練中の着地失敗で大破。死亡事故が多かったことから実戦での配備は見送られていたが、ゼスが再設計して安全性を向上させた。
- 名前の由来は、ギリシア神話の女神・アルテミス。
- ファブニル
- クリシュナ王国で正式採用されているゴゥレム。
- 名前の由来は、北欧神話などに登場するドワーフ・ファフニール。
[編集] 用語
[編集] 地名
- クルゾン大陸
- 作品の主舞台。ストーリーの項目にもあるとおり、地中から化石燃料が採れず、石英を使った文明が発達している。
- クリシュナ王国
- 大陸中央部に位置する王国。現在の元首はクリシュナ9世。
- ゴゥレムを約200台弱保有する。
- 王都・ビノンテンは反応系石英の採掘量が大陸一で、水産業も盛ん。尚、後述のアテネス連邦・アッサム王国とは同一の言語を持つ。
- アテネス連邦
- 大陸西部に位置する軍事大国。首都はイリオス。
- ゴゥレムを700台強保有する。
- 資源の豊富なクリシュナの土地を欲し、クリシュナがアッサムへのオーランド軍の国内通過を許した[6]のを口実に、侵攻を開始する。
- アッサム王国
- ライガットたちが通っていた士官学校があった国。
- 中立の立場を取っていたが、軍のクーデターが原因でアテネスとオーランドの武力介入を許した結果、アテネスに併合されてしまう。
- オーランド
- 大陸東部に位置する大国。アテネスとは敵対関係にあるが、先の戦いにおいてアテネスに敗戦しており、国内は非戦派が勢いを得ている。
- ソリラ王国
- 大陸から離れた島にあること以外、詳細不明。
[編集] 施設
- アッサム国立士官学校
- ライガットたちの母校。名前は軍学校だが、学部は多岐に渡り、卒業生は軍以外の分野で活躍することが多かった。クーデターの発生により創立31年目で廃校。
- イリオス連邦兵軍学校
- クレオとリィの母校。2人は2年で卒業しているが[7]、通常は最短で6年かかる。
[編集] その他
- 石英
- 作品世界では、人間が『命令』を与えることのできる鉱物のこと。精製して靱帯を作り、カムやピストンの動力源とする。
- 大きく分けて反応系と無反応系があり、反応系石英は照明や熱源、機械の動力に使われ、無反応系石英は、ゴゥレムの装甲から日用品まで、様々な物に加工されて使われている。
- 独立大戦
- 80年前に終結した、旧アテネス帝国と当時併合されていたクリシュナ・アッサムの独立戦争。
- 最終的にクリシュナ・アッサム側は主権を取り戻したものの、戦いの泥沼化によって双方の非人道的行為が多発。リィの最期やクレオの言動を見る限り、アテネス(少なくとも軍部内)では事実を省略・歪曲した歴史が教えられている可能性が高い。
- ワルキウレス部隊
- ゼスが隊長を務めるアテネス軍の先発部隊。エルテーミスの機動力を使い、今までのゴゥレムでは越えられなかった大渓谷を越えてビノンテンまで侵攻してきた。
- ビノンテン近辺に潜伏していたが、敵国中心部まで入り込んでいるために補給がままならない弱点に加え、リィの戦死(実際は自決)による戦力ダウンもあり、襲撃はあと1回が限度という状態だった。そこにクリシュナ軍の急襲を受け、撤退戦の末、ほぼ壊滅状態となる。
- 名前の由来は、北欧神話に出てくる戦乙女・ワルキューレの複数形。
- ドラウプニル(黄金指輪)重騎士団
- クリシュナ王国トゥル将軍率いるゴゥレム部隊。ナルヴィも所属している。部隊員の士気は高く、国民からの信頼も厚い。
- 迅速にして臨機応変を信条としている。
- 名前の由来は、北欧神話に出てくる黄金の腕輪・ドラウプニル。
- 魔力無者(アン・ソーサラー)
- 100万人に1人の確率で生まれるといわれる『魔力を持たない者』。一切の機械を動かせないため、「能無し」と蔑称されることが多い。
- 現時点で明らかになっているのは、ライガットとその弟のみ。
[編集] 脚注
- ^ その後、一等重騎士に昇進。
- ^ 作品のメインタイトルである「ブレイクブレイド(壊れた刃)」は、当機を見たナルヴィの発言から。
- ^ インナーフレームは石英で作られている。
- ^ 日本語がメイン言語で、サブ言語として英語が出る形式。
- ^ 現代のゴゥレム(というより、機械全般)は出力石英や操作石英に命令する操作方法のため、現代人の感覚だと奇妙、あるいは非効率な方法の模様。
- ^ 表向きはクリシュナ軍との合同演習だったため、クリシュナ側からしてみたらオーランドに嵌められた形。
- ^ エルテーミスを操縦できたことによる、ワルキウレス部隊入隊のための特例措置。
[編集] 既刊一覧
フレックスコミックスより刊行。また、2007年7月12日よりYahoo! コミックにて配信開始。
- 1. 2007年4月12日発売 ISBN 9784797341423
- 2. 2007年9月12日発売 ISBN 9784797344332
- 3. 2008年3月12日発売 ISBN 9784797347043
[編集] 外部リンク
- FlexComixブラッド(Yahoo! コミック)
- FlexComix Web
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